年老いていく親に、期待しすぎていませんか?
2016年12月19日
自分に子どもができて初めて親の有り難みがわかった…
という綺麗な言葉はよく耳にしますが、実際のカウンセリングでは「自分の親だからこそまいっている」という相談が後を絶ちません。これは、両方とも、真実だと思います。
年老いていく親
私は両親とも若いうちに亡くしています。ですから、年老いた姿を見ていません。
でも、二人ともしばらく病気を患ってから亡くなっていますので、今までしっかりしていた人が衰えていく姿をもの凄いスピードでみています。
痛いほどわかります。なぜ、皆さんが親に対してイライラするのかが。
甘えているのですよね。自分の中にいる子どもがそれを過剰にしています。
自分は大人になったつもり、一人前に家庭を築いているつもりでも、親をみると子どもに戻っているのです。自分では気がつきません。だから「わかっているのに、イライラしてきつい言葉をかけてしまう」ということがあるのです。
老いていく親にしっかり向き合えていないのです。
「私たちのやり方にいちいち口を出す。時代が違うのに」
「いくら言ってもいうことを聞かない。それで、こっちが迷惑する」
気持ちはよくわかります。でもなんだか、勝手な言いぐさですよね。
いくつになっても、子どもが大切な親
皆さんが子育てで抱いた感情を思い出してください。
初めて寝返りした日、初めて話した日、歩き始めた頃…ささいなことにも一喜一憂しましたよね。
私たちはこんな風に思われて、育てられてきたのです。
でも、もう独立したから親は私たちへの感情を捨てろと?
そんな簡単に感情は捨てられるはずがありません。
死に向かう親をみていて感じたことは「もう、これから甘えたいのに甘えられない」という私本意のことでした。
そのさみしさが当時、イライラを招いていたのかもしれません。自分が成長したのなら、年老いた親の気持ちもわかろうと努力すべきなのですが。
いくつになっても、親に甘えたい子ども
人間は絶対的な安心感がない人には、心から甘えることはできません。
思春期や青年期に心の病気に多く見られるのは、大人の評価や機嫌ばかり気にして甘えられなかった「優等生」といわれる子どもです。
人間は、何歳でも親に甘えたいのです。
年老いていくことに、子どもも親も不安があるでしょう。
動きも鈍くなります。同じことを何回もしゃべります。いらないというのに、物をたくさんくれます。
でも、最後に自分がきちんと「親を甘えさせて」あげましょう。
人間はいつか死にます。
普通に考えれば、親は先に亡くなります。
看病や介護の最中、とても辛いと思っていました。でも、亡くなってから思うのは、解放感ではなく「寂しさ、むなしさ」です。
人は悲しみには耐えられるけれど、むなしさには耐え難いというのは本当ですね。
親への寛容さは欠けていませんか。期待しすぎていませんか。
相手が大切であればあるほど「何も期待しない」というのも関係を良化するひとつの方法です。
☆土屋 未来