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アスリートを育てた父 vol.3 太田雄貴選手(フェンシング) 「子育てで大切にしてきた5つのこと」


世界で活躍するアスリートは、競技パフォーマンスはもちろん、精神力にも優れています。

そんな彼・彼女らの両親は、どのように子育てしてきたのでしょうか。


第3回目は、フェンシングの選手として3回のオリンピックに出場。

北京オリンピックで個人銀メダルを、ロンドンオリンピックで団体銀メダルを獲得した太田雄貴選手のお父さま、太田義昭さんにお話をうかがいました。

(この記事は公開日時: 2017年7月25日 に公開されましたが、一部編集して再公開しております)


―太田雄貴選手はどんなお子さんでしたか?

勝気で負けず嫌い、運動が好きな子どもでした。

兄の影響で2歳からスキーを始めて、3歳から水泳を始めました。ほかにも、陸上、サッカー、体操など、小学校3年生でフェンシングを始めるまで、いろいろなスポーツを習っていました。

共働きだったので、放課後の時間を有意義に安全に過ごすために、スポーツ以外にも公文、習字、ピアノ、そろばんなどを習っていました。


負けず嫌いだったので、スキーやマラソンの大会、運動会でも上位にならないと気が済まない性格でした。

人に「すごい」と言われるのが好きで、のせられやすく、フェンシングもそれで続けられたのだと思います。

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―お父さまもフェンシングをやっていたとうかがいました。お子さんにはフェンシングをやってほしいと思っていたのですか?

私自身、すごく強かったわけではなく、高校の3年間でやめてしまいましたから、子どもにもどうしてもやってほしいとは思っていませんでした。

でも、楽しんでやってくれるならいいと思い、長男と雄貴に勧めました。長男は数ヶ月で辞めてしまったのですが、雄貴は続きました。


小学3年生というのは、一般的にのせやすい時期なんです。ゲームソフトを買ってあげるという条件で始めました。


最初は週1回教室に通って、家で毎日一緒に30分ほど練習していました。30分といっても、半分ぐらいは遊んでいました。

遊ぶ時間が楽しかったことも、続いた理由のひとつだと思います。

―始めたころからオリンピックを目指していたのですか? また、お父さまもオリンピック選手になってほしいと思っていましたか?

小学生から全国大会に出られることを知り、3年生の12月に初めて試合に出場したところ、優勝できました。

ほかのスポーツと比べて競技人口が少ないので、世界で活躍できる可能性があるとはそのころから思っていました。


中学3年生、高校1年生のときは全日本選手権の予選で敗れてしまいましたが、高校2年生のときに本選に出ることができました。

ベスト8を目指していたのですが、優勝でき、ナショナルチームに入ることができました。そこから大きく変わりました。

中学生になったころから、もしかしたら2008年の北京には出られるかもしれないと思っていましたが、アテネに行けるとは思っていませんでした。雄貴も思っていなかったと思います。

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―雄貴さんの健康や競技パフォーマンス向上のために、お父さまがしてきたことはありますか。

大学2年生までは、学校の練習が休みの日には毎晩一緒に練習をしていました。

実際に私が教えられることはほとんどありませんでしたが、練習を続けたことは雄貴にとって自信になっていたと思います。
中学に入ったころからは、食事をつくっていました。それまでは妻が食事をつくっていましたが、いつからかそのような習慣になったのです。

妻の作戦かもしれません(笑)。

特別な栄養管理はしていませんが、バランスのよい食事をつくることを心掛けていました。


―子育てにおいて気をつけていたことはありますか。

子どもたちに話していたことは、「嘘をつかない」ということです。

これは、妻とともに徹底して言い聞かせていました。

あとは、相手のことを考えること、褒める・叱るのめりはりをつけることを心掛けてきました。

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父親として(小学校)教師として、大切にしていることは、知・食・体・遊・徳の5つです。


知で大切なことは、幼少期の読み聞かせです。絵本を見ながら料理や工作をしてみる、本に出てきた場所へ旅行してみるなど、子どもの興味を示したことを実践していました。そのためには、子どもが何に反応したかを常に見ておくことが必要です。

忙しいからといってどんどん進めてしまうと、いい反応をしていても気づけません。そのようなことを続けていると興味の幅が広がっていきます。


食については、3食きちんと食べる、栄養のバランスを考えるなどです。

身体をつくるのは食事ですから大切なことです。


体は、運動することです。外で遊ぶだけでも子どもにとっては運動になります。

勉強ばかりするのではなく、身体を動かす習慣をつけることも、親の役割だと思います。


遊ぶことも大事なことです。

友だちと遊ぶことで人との関係性を築くことを覚えますし、遊びを通して自分で考えられるようになります。

我が家では、キャンプに行くときに箸を忘れてみるなど、遊びを通して考えさせるような機会をつくりました。


徳とは、道徳・マナーを身に付けさせることです。

我が家では特に嘘をつかないということを大事にしていました。家庭でルールを決めて、小さいうちからきちんとルールを守るようにしておくことが必要だと思います。

―今、子育てをしているパパ、ママへ、メッセージをいただけますか。

子育ては、最終的に自分に返ってくると思います。

私は食事をつくり始めたころ、料理はそれほど得意ではなく大変なこともありました。でも、そのお陰で今も楽しく過ごしています。

雄貴だけでなく、長男や長女、孫たちともよい関係をつくることもできています。

子育てを通して、私自身の人生が豊かになったと感じています。


今の時代の共働きは私たちのころよりも大変なこともあると思いますが、すべて将来の自分の糧になると思います。

当時は気づきませんでしたが、私は子どもと一緒に成長できたことがたくさんあります。


お話を聞いた方
太田義昭さん
 

4


太田雄貴さん

螳」譚・


1985年京都府生まれ。小学校3年生からフェンシングを始める。平安高校在学中、史上初のインターハイ3連覇を達成。高校2年生のときに全日本選手権優勝。2004年アテネオリンピック9位。2008年北京オリンピック2位。2012年ロンドンオリンピックフルーレ団体2位。2016年WIN3株式会社を設立、代表取締役に就任。



☆LIVE編集部

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