FITNESS BUSINESS

facebook twitter googleplus

【ICT×フィットネス】2025年の生活者のフィットネスライフと生き残るクラブの条件

2016.09.18 日 テクノロジー

毎年、ヘルス&フィットネス分野のプロフェショナルがトレンドを選ぶ、ACSM(アメリカスポーツ医学会)による調査の2016年版の調査結果「Top Fitness Trends of 2016」では、 これまでとは大きな変化が見られた。これまで挙げられたことがなかった「ウェアラブル技術」がいきなりトップとなったことである。これまでの過去の日本のトレンドの軌跡を振り返ると、世界のトレンドが数年遅れてトレンドになっていることもある。そこで”ICT×フィットネス”コーナーでは国内はもちろん、海外での「ウェアラブルデバイス」、「モバイルアプリ」など、テクノロジーを駆使した新たな潮流のニュースに加え、先進事例や活用方法についても紹介していきます。
【バックナンバー】
ウェアラブルの躍進
企業での健康管理に広がるウェアラブル
海外事例① 米国のデジタルフィットネス市場とは
海外事例② テクノロジーは”脅威”か”チャンス”か?
心拍数の可視化で広がりをみせる グループトレーニング
DATA FITNESS”に学ぶデータ活用法 -前編
2025年の生活者のフィットネスライフと生き残るクラブの条件

業務の効率化だけではなく、革新的なサービスの創造という点で、ICTやAI、ロボットなどがヘルスケア・フィットネス市場において将来キーファクターになってくるものと思われるが、そうしたなかでどのように、それらを活用することが望ましいのか、それを活用することでどんな未来が描けそうかなどについて、SPORTEC2016にてビジョナリーなプレイヤーや有識者を集めて開催されたWellnessPost特別セミナーの模様をレポートする。

前半:2025年の生活者のフィットネスライフと生き残るクラブの条件

後半:ICT・AI時代にトレーナーやインストラクターが身につけるべき能力とは

【パネリスト】
株式会社FiNC 代表取締役社長 溝口勇児氏
CLIMB Factory 株式会社 代表取締役 馬渕浩幸氏
フィットビット・ジャパン合同会社 社長 福田強史氏
株式会社アクアビット 代表取締役 田中 栄氏
【コーディネーター】
株式会社スポルツ 代表取締役 大川 耕平氏

2025年の生活者にとっての フィットネスライフはどのようなものになっているでしょうか?

溝口:長年、ヘルスケア・フィットネス業界では生体データ(睡眠・歩数・カロリーなど)をいかに蓄積するかということが大きなテーマとなっていました。テクノロジー技術が進歩していない時代には、データを取得、蓄積するということが非常に手間のかかる作業でした。しかし、近年の技術発展により、主体的にデータを記録しなくても、端末を身に着けるだけで受動的にデータを蓄積できる時代となってきました。近い将来、体内への埋め込 み型端末が開発され、無意識にデータ が蓄積されていく時代がやってくるでしょう。

今後は、蓄積されたデータに応じてAIがパーソナライズされた運動メニューを提供することで、個々のライフスタイルに合わせたかたちでのフィットネスが可能となり、日常の生活習慣にフィットネスがより浸透してくるのではないかと考えています。

mainパーソナルデータからAIが自動で運動メニューを提供するサービスも増えてくる

馬渕:我々はトレーナーの方に向けたシステムを提供している会社ですので、そうした観点も含めてお話しをさせていただきます。先日、ある球団幹部の方とお話しをした際、「昔の時代と違い、トレーニングや栄養などあら ゆる情報がデータとして管理することができる。今の時代の選手たちは恵まれているな」と語っていました。一方で「データが蓄積されるのはいいことだが、選手たち自身が十分に活用できていないのがもったいない」 とも述べていました。

先ほど溝口さんもおっしゃっていましたが、今後はあらゆるデータの取得や蓄積が容易になる一方、蓄積されたデータと選手の間に人がしっかりと介在し、選手のパフォーマンスアップにつなげていけるかが重要になってくると考えています。 また、’25年の一般生活者のフィットネスライフという意味では、パーソナルデータの蓄積により、現在プロスポーツ選手やオリンピック選手など一部のトップアスリートのみが受けているトレーニングや栄養指導を一般の方でも簡単に受けられるようになるのではないかと考えています。

福田:私は仕事柄、アメリカへ出張する機会も多いのですが、アメリカでは個人のライフスタイルの中にフィットネスが溶け込んでいる印象を強く感じます。 確かに、日本においてはフィットネス参加率、運動への意識が欧米ほど高 くないのが現状だと思います。

しかし、アンケート調査によると「約87%の日本人が自分の健康に不安を抱えている」という調査結果も存在します。漠然とした健康への不安をどのように フィットネスにつなげていくことができるか、日本のフィットネス参加者の拡大に向けてはここがポイントになってくるのではないかと考えています。

あわせて読みたい! Venture Spiritsフィットビット・ジャパン福田社長に訊く(前編)

p82-83venturespirits8月から提携しウェルネスパッケージ提供を開始した両社(左:溝口氏、右:福田氏)

 
田中:昨今の世界的なヘルスケア・フィットネス動向を観察してみると、 健康に対する意識が非常に高まってきているように感じます。例えば、オー ストラリアではたばこが1箱2,500 円まで価格が上昇しています。アメリカでは州によって、肥満の大きな原因とされているソフトドリンクに対して課税するソーダ税の導入が開始されています。

また、WHO(世界保健機関)では、設立以来初めて糖尿病をテーマとした会議も開催されました。世界の潮流をみると、日常生活における健康増進に向けた制度、企業の動きが活発化しており、日本においても、同様の取り組みが出てくるのではないかと思います。

forbesjapan_3546_16fe_1肥満対策としてアメリカではソーダ税の導入がすでに始まっている

<次ページ:フィットネスクラブはどう変化していくのか?>

< 前のページ1 / 2次のページ >