FITNESS BUSINESS

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フィットビット・ジャパン福田社長に訊く(前編) Venture Spirits

2016.01.29 金 オリジナル連載

フィットネス業界唯一の経営情報誌『FitnessBusiness』の連載企画「Venture Spirits」がWEB版でも掲載スタート!

本連載では2012年4月に独立を果たし株式会社FiNCを立ち上げた溝口勇児氏が名立たる企業で卓越した経営手腕を発揮されている経営者や起業家と対談していく。今回のゲストは、フィットビット・ジャパン合同会社社長福田強史氏です。

溝口:現在はフィットビット・ジャパンで社長を務められていますが、これまでの経歴について教えてください。

福田:真面目に仕事について考えるようになったのが、大学3年生のときです。当時の出雲市長に出会って感銘を受け、市長になりたいと思うようになりました。英語で自分の町を宣伝したりするために英語は話せたほうがよいだろうと、1年間休学してカナダに留学、卒業後は議員秘書になりました。
28歳で地方議員、36歳に市長になることを目標としており、その後、大前研一さんの事務所で政策を勉強しながら、地域の活動をする充実した日々を送っておりました。そのなかで、多くの経営者や起業家との出会いがあり、それまでとは違う視点で物事を考えるようになりました。税金もほとんど納めたことのない人間が若いというだけで市長になるのは説得力がないと思うようになったのです。

まずは10年間働き、税金を納めてから政治の道に入っても遅くないだろうと考え、’99年、デル株式会社に入社しました。ITの知識もなく未経験でしたが、営業担当として入社することができました。デルモデルで急成長を遂げるデルで多くの経験をして、ノキア・ジャパン株式会社に転職しコンシューマー事業に携わりました。ノキアは当時世界最大のシェアをもっていましたが、日本での認知度は低くローカライズするのに苦労しました。’09年にノキアが日本から撤退することになり、私は再度転職しソフトウェアのシマンテックに入社しました。その後、日本マイクロソフト株式会社でハードウェアビジネス(Surface)をリードする機会があったので転職しました。

溝口:長くIT系の名だたる企業で働いていたのですね。フィットビットとはどのように出合ったのですか。

福田:IT 企業で長く働いていて、テクノロジーが進んで便利になると同時に、その分、企業が人に「生産性」を必要以上に求めるようなっているのではないかと感じていました。そんなときにフィットビットを知り、「ウェアラブルという新たなテクノロジーで、人々の健康やライフスタイルに直接貢献できる、世の中に変革を起こせる会社」だと直感しました。

一方で、45歳ぐらいで企業の代表を務めたいという思いが以前からあったので、フィットビットが日本で展開するならぜひ代表としてやってみたいと強く思いました。

溝口:社長の候補者はたくさんいたと思いますが、何が求められていたと思いますか。

福田:フィットビットは’07年にアメリカで創業し、グローバル展開を始めたばかりでした。日本の市場を理解していることはもちろん、英語でのコミュニケーションを通じて、本社と信頼関係を構築できる、戦略的思考がある、実行力があるという条件で探していたようです。

私の経験がこれらに当てはまったので採用されたと上司からは聞いています。前職の日本マイクロソフトは大企業でしたから、周囲からの反対はありましたが、私自身は、この会社とカテゴリーに強いシンパシーを感じておりましたので、迷いはありませんでした。

溝口:フィットビットは1兆円規模の企業です。日本で同規模の企業は、50年、100年続いている企業がほとんどです。一方、フィットビットはまだ操業して数年ですが、それだけ成長しています。ウェアラブルを提供している企業が数あるなか、フィットビットが伸びた理由は何だと思いますか。

福田:多様なニーズに対応した幅広い製品群を提供していること、ユーザーエクスペリエンスやユーザーインターフェースを常に改善・進化させていること、150を超えるデバイスに対応していること、バッテリーライフ改善など、ウェアラブル分野のパイオニアとして、顧客志向を常に大事にしながら、信頼を積み上げているためではないでしょうか。

後編:フィットビット・ジャパン福田社長に訊く Venture Spirits

インタビュー:溝口勇児
’84年生まれ。’03年、フィッ トネスクラブ運営企業に入社。同社では新店のオープン、新規事業の立ち上げに参画、並びに約2年間で営業利益1億円の増収を達成。’12年4月、株式会社 FiNC を創業し、代表取締役に就任。

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