【ICT×フィットネス】DATA FITNESSに学ぶデータ活用法 -前編
2016.09.15 木 テクノロジー毎年、ヘルス&フィットネス分野のプロフェショナルがトレンドを選ぶ、ACSM(アメリカスポーツ医学会)による調査の2016年版の調査結果「Top Fitness Trends of 2016」では、 これまでとは大きな変化が見られた。これまで挙げられたことがなかった「ウェアラブル技術」がいきなりトップとなったことである。これまでの過去の日本のトレンドの軌跡を振り返ると、世界のトレンドが数年遅れてトレンドになっていることもある。そこで”ICT×フィットネス”コーナーでは国内はもちろん、海外での「ウェアラブルデバイス」、「モバイルアプリ」など、テクノロジーを駆使した新たな潮流のニュースに加え、先進事例や活用方法についても紹介していきます。
【バックナンバー】
・ウェアラブルの躍進
・企業での健康管理に広がるウェアラブル
・海外事例① 米国のデジタルフィットネス市場とは
・海外事例② テクノロジーは”脅威”か”チャンス”か?
・心拍数の可視化で広がりをみせる グループトレーニング
・DATA FITNESS”に学ぶデータ活用法 -前編
昨年秋、医療×運動×食事×ITによる次世代型フィットネスクラブ「DATA FITNESS」が東京・六本木にオープンした。予防医療の観点から文字通りデータを重要視し、医療機関とフィットネスジムが一体となってメンバーをサポートしていくメディカルフィットネスクラブである。
テクノジムのキネシスやアルティス(Wellnessキー対応)などが並んだジムでは、マシンによるセルフトレーニングだけでなく、FMS(ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン)を始めとする独自の機能解剖学的・医学的な身体機能評価に基づいて、体系化されたなかから選択された個別のプログラムをパーソナルセッション形式を受けることができる。また、会員全員にFitbitを無償貸与し、グループで歩数などを競いながら、日常的な身体活動量を高めるためのサービスを提供している。
今回はそんな最先端フィットネスクラブ「DATA FITNESS」の事例を参考にフィットネスシーンにおけるICT活用のヒントを前編・後編でお伝えします。
前編: 「クラブにおけるデータ活用・継続へのポイントとは?」
後編: 「”トレーナー”にとってのICTとは」(9月22日公開予定)
前編:クラブにおけるデータ活用・継続へのポイントとは?
近年、ウェアラブル端末などを利用し、クラブ内での運動履歴だけでなく、クラブ外での活動量や運動データの計測に力を入れるフィットネスクラブが増えてきている。
なぜ、クラブ外での活動量や運動データを把握する必要があるのだろうか?
「例えば、3か月後までに5kg減量したいと思っているお客さまがいるとしよう。従来であれば、目標達成に向け、トレーナーはトレーニングメニューを作成し週1回トレーニング指導を行う。それ以外はお客さま個人の努力に任せることしか出来なかった。しかし、お客さまとトレーナーの間に日常の運動データが介在することで、目標までのプロセスを可視化できるようになるため、トレーナーもそのギャップを埋めるための方法を模索し、的確にアドバイスを行うことが可能となる。」
今回、お話を伺ったメディカルフィットネスラボラトリー 白岡 亮平氏も「計測することが目的ではなく自分がどうなりたいか?を考えるための指標として継続してデータを測ることが重要」と述べている。
今回お話をお伺いした、左から白岡氏、村田氏、舛澤氏
結果とプロセス
DATA FITNESSではあらゆるデータを測定しているが、その中でもお客さまの反応が良いデータの一つが『体組成データ』である。体組成は体重と並び、認知度が高いデータではあるが、なぜ反応が良いのだろう?それは、シンプルに『結果』を確認できるものだからではないだろうか。
前回と比較して「筋肉量が増えた、体脂肪が減った」など、現時点での『結果』を確認するデータとして、体組成データは非常に分かりやすいデータと言える。 その一方でお客さまを目的達成に導くためのデータとして、『体組成データ』は十分なデータとは言えない。
「なぜ、その結果になったのか?」「どこを改善すれば目標に到達するのか?」などの要因を見つけ出すためには、結果が出るまでの過程(活動量・消費カロリーなど)のデータが重要であり、そういったデータをもとにお客さまをサポートすることこそが、本来の正しいデータ活用方法なのではないだろうか。