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【ICT×フィットネス】企業での健康管理に広がるウェアラブル

2016.07.26 火 テクノロジー

毎年、ヘルス&フィットネス分野のプロフェショナルがトレンドを選ぶ、ACSM(アメリカスポーツ医学会)による調査の2016年版の調査結果「Top Fitness Trends of 2016」では、 これまでとは大きな変化が見られた。これまで挙げられたことがなかった「ウェアラブル技術」がいきなりトップとなったことである。これまでの過去の日本のトレンドの軌跡を振り返ると、世界のトレンドが数年遅れてトレンドになっていることもある。そこで”ICT×フィットネス”コーナーでは国内はもちろん、海外での「ウェアラブルデバイス」、「モバイルアプリ」など、テクノロジーを駆使した新たな潮流のニュースに加え、先進事例や活用方法についても紹介していきます。
【バックナンバー】
ウェアラブルの躍進
企業での健康管理に広がるウェアラブル
海外事例① 米国のデジタルフィットネス市場とは
海外事例② テクノロジーは”脅威”か”チャンス”か?
心拍数の可視化で広がりをみせる グループトレーニング
DATA FITNESS”に学ぶデータ活用法 -前編

ウェアラブル技術などのテクノロジーに注目が集まっているのはフィットネス分野に限った話ではない。米国においてはウェアラブル機器を利用する一般生活者が多く、FitbitやJawboneは爆発的な人気を博している。これらの売り上げは、2014年は7億ドル(およそ840億円を上回り、アメリカ人の5人に1人が使っていると推定される。また、15年4月時点でアメリカ成人の64%、人口の3分の2近くがスマートフォンを所有しており、若者層におけるその比率はさらに高いと発表している。そして、同様に膨大な数の人々がDaily Burnのような予約制のサービスやYouTubeのようなフリーサイトでエクササイズ関連の動画を利用している。

従業員の健康増進を促す動きが進む

これに加え、企業によるウェアラブル等を活用した健康促進も盛んである。米国では医療保険制度改革法が成立して以来、企業は現金や商品券から保険料の割引まで、さまざまな報奨を用意して従業員が健康増進に努める環境づくりが活発である。同法では、従業員に健康増進を促す報奨に医療保険の30%を充てることを認めている。

米資産運用大手フィデリティ・インベストメンツと健康に関する企業団体のナショナル・ビジネス・グループ・オン・ヘルス(NBGH)によれば、企業が昨年、従業員の健康を促進するための報奨に費やした金額は平均693ドルと、14年の594ドルから増加している。大半の企業は報奨を使って、従業員が病気の検査や健康危険度評価(HRA)を受けるよう促している。これにより企業は、労働者の健康や潜在的疾患に関するデータを集めることができる(参考:THE WALL STREET JOURNAL  “Employees Get Apple Watch for $25 (But There’s a Catch)” )

ウェアラブルデバイスでシェアトップであるFitbit社によると、同社の顧客企業1000社超が従業員にフィットネストラッカー(健康管理機器)を提供しているという。例えば14年秋には、米国小売りチェーン大手のターゲットが米国内の従業員30万人にfitbitを無償ないし割引価格で提供し、ウオーキングや運動量増加を促した。

また顧客企業の中には「睡眠コンテスト」を実施している企業もある。ハーバード大学医学部の調査の結果、米国では不眠症により、平均的な従業員の生産性が勤務日数にして年間11.3日、金額にして同2280ドル(約28万円)失われており、国全体としては年間およそ623億ドル(約7.5兆円)の損失を被っていることが明らかになっている。

従業員約30万人にfitbitを配布したターゲット社(米国)

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