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【ICT×フィットネス】心拍数計測はフィットネスクラブの救世主となるのか?

2016.10.15 土 テクノロジー
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毎年、ヘルス&フィットネス分野のプロフェショナルがトレンドを選ぶ、ACSM(アメリカスポーツ医学会)による調査の2016年版の調査結果「Top Fitness Trends of 2016」では、 これまでとは大きな変化が見られた。これまで挙げられたことがなかった「ウェアラブル技術」がいきなりトップとなったことである。これまでの過去の日本のトレンドの軌跡を振り返ると、世界のトレンドが数年遅れてトレンドになっていることもある。そこで"ICT×フィットネス"コーナーでは国内はもちろん、海外での「ウェアラブルデバイス」、「モバイルアプリ」など、テクノロジーを駆使した新たな潮流のニュースに加え、先進事例や活用方法についても紹介していきます。
【バックナンバー】
ウェアラブルの躍進
企業での健康管理に広がるウェアラブル
海外事例① 米国のデジタルフィットネス市場とは
海外事例② テクノロジーは“脅威”か“チャンス”か?
心拍数の可視化で広がりをみせる グループトレーニング
・“DATA FITNESS”に学ぶデータ活用法 -前編
2025年の生活者のフィットネスライフと生き残るクラブの条件
ICT・AI時代にトレーナーやインストラクターが身につけるべき能力とは
・“DATA FITNESS”に学ぶデータ活用法 -後編

昨年から今年にかけて、心拍センサーを身に着けてトレーニングを行うプログラムが多数生まれている。大手クラブでは、ティップネスの「カロリーバーナーHR」、ルネサンスが運営する女性専用スタジオ「バニスタ」、メガロス市ヶ谷などが、ハートレートシステムを利用したトレーニングプログラムを導入している。セントラルスポーツの「Pulse Series(パルスシリーズ)」はすでに全国115店舗で展開されている。

来月には、全米で急速に展開を拡大しているフィットネス業態「オレンジセオリー・フィットネス」がついに日本でもオープンする。同クラブでは 運動後過剰酸素消費量(EPOC)をコンセプトとするグループ・パーソナルトレーニングをベースとしており、モニターに表示された心拍数を確認しながら、少人数グループで有酸素エクササイズと筋力トレーニングを交互に行う。また、最近では特定のプログラムに参加したときだけでなく、日常生活でウェアラブル端末を身に着けてもらい、クラブ外での運動習慣のカウンセリングを行うクラブも増えている。

なぜ心拍数が注目されているのか

毎年、新年には多くの方が『今年こそは!』と意気込み“ダイエット”や“健康維持”を目標に掲げてフィットネスクラブへ入会する。しかし、半数以上は半年も経過せずに挫折してしまう。理由としては、いきなり高い強度の運動を行うことで、次第に身体への負荷が大きくなり、運動へのモチベーション自体が下がってしまうことがある。

この身体への負荷を理解するための指標が“心拍数”である。心拍数が高いほど、身体への負荷が高くなり、反対に心拍数が低ければ、身体への負荷は低くなる。既述したオレンジセオリー・フィットネスなどでは運動中の心拍数をリアルタイムで計測し、最大心拍数の84~91%の「オレンジ・ゾーン」に12~20分入ることを目標にして、脂肪燃焼効果を高めている。

また、自分自身への負荷を確認できることで、「この運動は(自分にとって)運動強度が高すぎる」あるいは「この程度ではもの足りない」などを把握することができる。

目標心拍数=(最大心拍数-安静時心拍数)×運動強度(%)+安静時心拍数

最大心拍数の計算方法としては「220-年齢」という簡易的な計算が用いられることがあります。安静時心拍数が分からない場合には以下の方法でも算出することができる。

目標心拍数=最大心拍数×運動強度(%)

たとえば、年齢が30歳の場合、最大心拍数は「220-30」で「190」となる。一般的に脂肪燃焼が効果的に行える強度は最大心拍数の60~70%程度の運動と言われているため「114~133」の心拍数を維持した状態で運動を行うことがダイエットには有効ということになる。

参考_Polar参考:Polar SportsZone

心拍数データを介して身近となったフィットネス

一方、近年では一般生活者のフィットネスを取り巻く環境も大きく変化している。ウェアラブル端末のひろがりに伴い、心拍数データや消費カロリーのデータをもとに、日常生活で行うべきトレーニングメニューを提供するサービスも多く誕生しており、近い将来にはAIを利用することで、よりパーソナライズされたトレーニングメニューが提案されるようになるだろう。今後、フィットネスクラブにとってはこうしたフィットネス・トレーニングなどを支援するサービスも競合となりえるのである。

実際に世界のウェアラブル端末出荷台数は、Fitbitなどのリストバンド端末を中心として2016年末までに前年比29%増の1億190万台に達する見込みで、2020年の出荷台数は2億1360万台に達すると予測される。国内市場でもメーカー出荷台数ベースで2020年には1,160万台と予測されている。(参考:IDC、矢野経済研究所)

fitstar-672x372昨年、fitbitが買収を行ったトレーニングプログラム系フィットネスアプリ「FITSTAR」

では、フィットネスクラブはこうした時代の変化にどう対応していくべきか。

クラブにおいては、こうしたサービスを排除するのではなく、積極的にサービスデザインの中に組み込み、付加価値として提供していくべきだろう。

アプリやAIによって心拍数データから最適な運動負荷を算出し、トレーニングメニューが提示されても、それ自体が運動へのモチベーションを高めてくれるわけではないからである。運動へのモチベーションを高めるためには、対象顧客のライフスタイルに合った魅力ある施設、思わず参加したくなるようなエンタテインメント性のあるプログラムの提供に加え、クラブに来れば健康に対することを何でも相談できる「健康パートナー」となることが重要であり、これこそがフィットネスクラブが提供できる独自の価値ではないだろうか。

そのためには、日常生活での心拍数の管理、目的にあった運動強度によるトレーニングを行うなど、顧客と同じ立場に立ってサービスを実際に利用してみることが大事になる。

s_img_1634アクセサリー嫌いの筆者もfitbitを使い始め、早いもので4か月!

現在、米国でも成長を遂げているクラブは共通して、対象顧客自身がライフスタイルのなかにフィットネスを習慣化しやすいようにサービスをデザインしている。クラブに来館したときだけの存在ではなく、心拍数という定量的なデータから顧客のウェルネスライフをデザインできるクラブが今後、より一層価値を高めていくのではないだろうか。

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【企画・構成】
株式会社クラブビジネスジャパン
オンライン事業部フィットネスビジネス編集部:庄子  悟