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【NEXT 2月特集】 テクノロジーが変える ジム運営 "総合フィットネスクラブ"篇

2017.01.25 水 スキルアップ

2007年にスマートフォンが登場し、2013年頃からウェアラブル、2015年頃からIoTが急速に浸透し、テクノロジーが多くの生活者にとって身近なものとなった。この動向を受けて、新たな新商品や新サービスを提案しようとベンチャー企業が設立される分野として、「医療/ヘルスケア」「住宅」「スポーツ/教育/エンターテインメント」が特に多く、フィットネス業界も大きく市場が変容しようとしている。今回は、こうしたテクノロジーの進化と業界環境の変化をいち早くとらえて、テクノロジーを活用してジム運営を進化させている事例をまとめ、将来のフィットネスの姿を探る。 

【総合フィットネスクラブ】

CASE #1 -東急スポーツオアシスは、「OASIS LINK(オアシスリンク)」と「WEBGYM (ウェブジム)」で 自宅を“オアシス”に

CASE #2 -フィットネス&スパ マグレブは、「マイウェルネスクラウド」で初期定着を促進

CASE #3 -東急スポーツシステムは、「からだステーション」でクラブを健康づくりのハブに

CASE #4 -エイムは、「タニタ健康プログラム」で地域の人にフィットネスをマーケティング

CASE #5 -プライムフィットネス&スパは、「プロジェクションワークアウト」でスタジオで“暗闇フィットネス”を実現

【マイクロジム】

CASE #6 -FiNCプライベートジムでは、「FiNCアプリ」で行動変容を実現して「成果とステキづくり」を提供

CASE #7 -SAWAKI GYM 澤木一貴トレーナーは、「Fizit」で時間と空間の壁を超えて、 パーソナルトレーニングの価値を提供

CASE #8 -3D Body Labは、「3D Body Pocket」でトレーニングによる姿勢改善効果を可視化

 ※特集内容はインストラクター・トレーナーのキャリアマガジン誌「月刊NEXT2月号」でもご覧いただけます。

CASE #1 東急スポーツオアシス

OASIS LINKとは?

「OASIS LINK(オアシスリンク)」は、フィットネスクラブの会員動向をデータ化して運営に活かすことで、顧客維持や業務効率化をサポートするべくNTTドコモが開発した「Fit Link」をベースにして、東急スポーツオアシス専用に開発したシステムとアプリ。

クラブメンバーが携帯するスマホに内蔵されているセンサーが取得する日常の活動量データを、1日単位で自動的にクラウドに吸い上げる。クラブでは、来館時のチェックインデータ、体組成測定データ、有酸素マシンの運動量データ、スタジオの参加履歴と活動量データが専用端末で記録され、自動的にクラウドに蓄積されていく。

メンバーの日常の活動量と、クラブの利用データは、個別のアカウントに統合されて、メンバーは、いつでもどこでもアプリで運動履歴と目標に対する進捗が確認できる。

【OASIS LINK サービスイメージ動画】

https://youtu.be/60ts4cFb-To


WEBGYMとは?

「WEBGYM (ウェブジム)」は、「いつでも、どこもでもオアシスを使える」をコンセプトに2015年にオープンした動画配信サービス。24時間オンラインフィットネスクラブとして、オアシスメンバーも、一般生活者も無料で利用できる。400種類以上のトレーニングやレッスンが選べる。

「GYM」の2時間も、「LIFE」の6日22時間も、目標達成をアプリがサポート

東急スポーツオアシスでは、2015年4月にもりのみやキューズモール店で「オアシスリンク」を導入。2017年7月に全店導入を計画している。無料アプリをダウンロードすれば、いつでも利用開始が可能で、現在はオアシスメンバー向けのサービスとして位置づけている。

メンバーは、オアシス来館時のチェックインで館内用ウェアラブルを端末にかざすと、個人アカウントとのデータの紐付けができ、館内での利用履歴がクラウド上の個人アカウントに自動的に集積されていく。日常のスマホから取得された活動履歴データと、館内での活動履歴データは統合されて、アプリ上でいつでも閲覧できる。

オアシスで特に力を入れているのが、メンバーの目標を形式知化することで、目標達成をサポートすること。これまでも、カウンセリングでは「フィットネスモチベーター」の資格を持つトレーナーが、メンバーの目的に対する動機を「動因」としてヒアリングし、それに応じた運動メニューやプログラムを提案してきた。

この内容をアプリでいつでも確認できるようにし、目標と運動量を日々確認できるようにすることで、メンバーは目標達成へのモチベーションも行動習慣も維持しやすくなる。日々の目標と運動履歴は、アプリ画面上では「GYM」(ジム内での活動履歴)と「LIFE」(日常生活での活動履歴)で確認でき、メモ機能も充実していることで、日々のレコーディングに活用するメンバーも多い。

これまでは生活者が確認できるデータとして、ジムでの活動量、日々の歩数、スポーツ参加などが、バラバラに管理されていたが、統合したデータとして管理、表示されることで、メンバー自身が自主的に計画的に運動機会を確保するようになるという。

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各種経営指標や利用動向データ分析が可能に。プッシュ通知でメンバーへの伝達力もアップ

クラブにとってはメンバーフォローやメンバーサービスが、格段に効率的に行えるようになる。メンバーの来館状況やプロフィール、メンバーそれぞれの目標やプログラムの利用履歴などのデータベース同士の連携もとれ、効率的に検索し分析できるようになった。今後、マシンやスタジオの利用状況もデータ化されていくことで、よりメンバーニーズに応えるソフトとハードのリニューアルも可能となる。

また、アプリのプッシュ通知を使うことで、各種の集客力が高まっている。利用頻度が落ちがちなメンバーにも確実にアプローチができ、イベントやキャンぺーンの目的である、利用頻度や体験価値を高め、定着に繋げる効果も高まる。満足度アンケートなども同様で、アプリで行うことで回答数が大幅に増えたという。アプリのプッシュ通知の開封率は、メール通知に比べて約2倍にのぼっており、顧客とのコミュニケーションが増やせることで、より的確な施策が打てることになる。

今後、クラブでの「シェイプナビ」や「Nagatomoメソッド」など有料サービスのレコメンドや、ウェブジムの利用促進やオンラインショップの商品開発などで、付帯収入増にも繋げていくことを計画している。


お話を訊いた方 竹尾賢二さん
株式会社東急スポーツオアシスホーム フィットネス事業グループコンテンツ 企画兼ヘルスケア事業推進グループシニア事業推進マネージャー

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