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ウェルネスの科学 第8回−

2016.02.06 土 オリジナル連載

ヘルスケア業界に突如現れた新星 “石川善樹”。本連載では、予防医学研究者・医学博士としての立場から見た、業界でのイノベーション創造に向けた考え方・ヒントを伝えていく。
【バックナンバー】
ウェルネスの科学ー
ウェルネスの科学 第2回ー
ウェルネスの科学 第3回ー
ウェルネスの科学 第4回ー
ウェルネスの科学 第5回ー
ウェルネスの科学 第6回ー
ウェルネスの科学 第7回ー

こんにちは。

予防医学研究者の石川善樹です。

「健康づくりのあたらしいトレンドは何ですか?」

と問われたら、おそらく私は、グーグル本社で大人気を博している、「Code 4 Cooks」という料理教室のことを紹介します。

意外かもしれませんが、デジタルの総本山ともいえるグーグルで、「料理を習う」というなんともアナログな方法が採用されているのです。なぜかというと、ヘルシーな料理を提供しても、結局グーグルの社員が選んだのが「脂と糖にまみれた料理」だったからです。

そこで考え出されたのが、「Code 4 Cooks」という料理教室です。栄養学の最新知見を学ぶのはもちろん、それこそ包丁の持ち方から料理の基礎を習うことで、「ヘルシーで美味しい料理」を自分で作れるようになるのです。

グーグルで総料理長をつとめるリヴ・ウー氏によれば、このプログラムの最大の特徴は、「レシピ本からの解放」だといいます。

「レシピ本をみても料理ができるようになりません。Code 4 Cooksの哲学は、家で料理をすることにあります。それは、レシピではなく、キッチンにあるもので料理をするということです」

実際、私もこのプログラムに参加してみて、食に対する意識が明らかに変わりました。自分が何を口にしているのかよく理解できるようになったし、何より料理をするようになりました。

・・・さて、話は全然かわりますが、この度、本を出させていただくことになりました。

「疲れない脳をつくる生活習慣(プレジデント社)」という本です。
石川善 図1

健康経営という言葉がにわかに話題になっているように、働く人の健康づくりは大きなテーマとなっています。このテーマを考えるうえで最も前提となるのが、「長時間働く」という考え方から「長期間働けるか?」へとパラダイムが変わったことです。別の言葉でいえば、「24時間働けますか?」という考え方から、「50年間働けますか?」へと変わったということです。

ただ今はまだその過渡期なので、がむしゃらに頑張りすぎている人が多いように思います。その結果として、朝起きた瞬間から疲れ、夜も疲れ果ててベッドに入る人がほとんどではないでしょうか?

もっと言えば、日中は疲れて、眠くて、肩が凝って、イライラして、集中しにくい人が多いのではないでしょうか?

そんな状態を改善するにはどうしたらいいのかという観点から、最新かつ最善の知見をまとめたのが今回の本になります。ぜひビジネスパーソンの健康づくりをサポートされている方は、お手に取っていただけると嬉しいです!

>>>Write by Yoshiki Ishikawa

石川 善樹

予防医学研究者・医学博士。(株)Campus for H共同創業者。1981年、広島県生まれ。東京大学医学部卒業後、ハーバード大学公衆衛生大学院修了。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとして研究し、常に「最新」かつ「最善」の健康情報を提供している。専門分野は、行動科学、ヘルスコミュニケーション、統計解析等。
NHK「NEWS WEB」第3期ネットナビゲーター。ビジネスパーソン対象の講演や、雑誌、テレビへの出演も多数。著書に『友だちの数で寿命はきまる 人との「つながり」が最高の健康法(マガジンハウス)』。