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【NEXT 12月特集】世界に学ぶ保険のしくみとフィットネス "アメリカ"篇

2016.11.25 金 スキルアップ
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日本でフィットネス参加率が3%から大きな伸びが見られない要因の一つに、保険制度の違いが挙げられることは少なくない。
保険の仕組みとフィットネスの関係を良く見ると、フィットネス参加率の高い国では、保険の仕組みと深い関係にある医療サービスの仕組みと、民間保険サービスの両方で、フィットネスの参加が促されていることが分かる。

今回は、改めて世界の保険の仕組みとフィットネスの関係を理解することで、日本の人々の健康増進に、フィットネス関係者としていかに関われるのかヒントを得るべく、この分野に詳しい専門家と、各国のフィットネス関係者に話を訊いた。

【世界に学ぶ保険のしくみとフィットネス】
概要篇
CASE #1 -アメリカ篇
CASE #2 -イギリス篇
CASE #3 -オーストラリア篇
CASE #4 -ドイツ篇
CASE #5 -日本篇

アメリカの医療制度

アメリカでは、公的保険は高齢者や低所得者など一部の生活者を対象としたもので、一般生活者が加入できる公的保険はありません。2014年にオバマケア(ACA: アフォーダブルケアアクト)が制定されましたが、一般生活者が民間保険に入りやすくする措置であり、依然として全国民が保険で保護されるには至っていません。

国の制度は、メディケア(65歳以上)、メディケイド(低所得者)、SCHIP(子ども)のみで、一般生活者は民間保険に加入するか、医療費を全額自己負担することを覚悟で保険に入らないかの選択となります。

民間保険料は高額(安いものもあるが、たとえば4人家族で10万円程度)で、選ぶ保険商品やプランにより、保険でカバーされる内容にも制限があります。保険会社も民間企業なので利益を追求し、コストとなる医療費負担を少なく抑えようと、さまざまなインセンティブをつけて、加入者の健康的なライフスタイルをサポートしています。

提供される民間保険の種類は大きくPPO系とHMO系に分けられ、それぞれが医療機関と契約を結んで独自の保険システムを構築しています。PPOやHMOを扱う代表的な保険会社には、ブルークロス、ブルーシールド、パシフィックケア、エトナ、カイザーなどがあります。PPOはどんな専門分野のドクターでもネットワークの中から自分で選べるのに対して、 HMOは必ず主治医を指定して、主治医を通さないと他の専門のドクターに行けないという違いがあります。

また、アメリカの病院は日本のような勤務医制ではなく、開業医が病院の設備を利用できる オープンシステムと呼ばれるシステムを取っているところが多くあります。そのため、充実した設備を使用できる開業医も多くみられます。

※ピンチインで拡大可(スマートフォンの場合)

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アメリカの保険のしくみとフィットネス


民間保険会社は、保険負担を減らし利益を確保すべく、保険加入者にさまざまなインセンティブを提供して健康的な生活を送ることを後押ししてきた。

オバマアケアにより、1,600万人が新規で保険に加入したという調べもあり、米国疾患対策予防センターの報告でも、保険への加入率が確実に増えている。オバマケアでも保険主体は民間保険会社であり、多くの保険商品がフィットネスクラブへの参加にインセンティブを提供している。こうした動きを背景に保険会社からの補助でフィットネスに通う人が確実に増えてきている。

被保険者がフィットネスクラブを一定回数以上利用すると、会費の補填が出る仕組みが一般的で、月あたり10回程度以上利用すると、会費20ドル程度の補助金が出るサービスが多い。米国フィットネス産業協会のIHRSAもこの分野の調査研究を進めており、下記のメリットが報告されている。

①保険会社のプランにクラブの利用インセンティブがついていることで、これまでクラブがリーチできなかった層がクラブに参加し始めており、集客への効果が認められる。

②保険プランによるが、補助を受けるための1ヶ月の最低利用回数が決められているため、ユーザーの利用頻度が高まる。利用頻度が高まることで、定着率も高まる。保険の補助を受けているクラブメンバーの平均定着率は85%で、IHRSAクラブの平均定着率の78%より高いという調査結果もある。

③クラブの利用頻度が高まることで、付帯サービスを利用する頻度が高まり会費外収入も増える。

こうした背景もあり、保険会社と積極的に関係を持つクラブが増えている。クラブ側の手続きとしては、ユーザーの利用履歴をとり、それを保険会社に報告すると、保険会社からユーザーに直接補助が支払われる仕組みが一般的。

また、企業も従業員の健康づくりを積極的にサポートしている。民間保険の保険料が高額なため、企業が従業員の保険料を一部負担することが、魅力的な福利厚生となっている。企業が従業員のロイヤリティを高めるべく、充実した民間保険と契約する動きもある。企業が保険料を負担する場合には、従業員が健康なほど企業の保険料負担も少なくなることから、企業も従業員の健康づくりに積極的に取り組むことになる。職場に充実したフィットネス施設を備えたり、フィットネスクラブの法人会員になり、企業がフィットネス参加費を一部負担することも多い。

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