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2015.09.24 木

チームの勝敗を分ける個の運動連鎖 – スプリントスタートを強化しよう-CNC mag

トレーニング

アスリートパフォーマンス情報サイト『CNC mag』の中からスポーツパフォーマンス向上に役立つ記事をご紹介します。

CNCmag

今回は実際のトレーニングとして、野球・サッカー・バスケットボールなど、これらのスポーツ競技特性で共通する動作「スプリントスタートの運動連鎖」についてのトレーニングの一例を取り上げて説明してみたいと思います。部活やプロチームのコーチの方々が分かるように、なるべく丁寧に解説します!

野球サッカーバスケットボールなどでは、競技の中で、瞬間的に走り出すという「スプリントスタート」の場面が多くあります。今回はそのスプリントスタートという共通する競技特性動作を活かした運動連鎖を考えます。

身体の各部位の安定性や可動性を意識してトレーニングする事が大切です。

野球・サッカー・バスケなど多くの競技に共通した「スプリントスタート」動作

先ず、いくつかのスポーツの場面をイメージしてみてください。

野球のセカンドがアスレティックポジション(以下、A.P.)で構えた所から、バッターがセンター方向へ打ったボールに素早く反応し、走る動作に移行していく瞬間のイメージができますか?

サッカーのFWがセンターサークル付近でボールを待っていたら、MFの選手から素晴らしい縦パスが出て、一気に走り込む動作へ移行していく瞬間のイメージができますか?

バスケットボールでも同様です。ポイントガードがカットインして切り込む初動は、爆発的な瞬発力を発揮してデフェンスガードを抜き去るために必要です。

上記に共通するように、複数の競技において「スプリントスタートに近い動作(Acceleration)」になる瞬間があることです。

また、これらの瞬間は、そのゲームの勝敗を分ける可能性があり、「スプリントスタート」という個人のパフォーマンスがチーム全体の勝敗に直結しているわけです。

スプリントスタート理解のための3つのポイント

では、スプリントスタート向上の為に、どのような身体の使い方が必要なのでしょうか?簡単に3つほど列記してみましょう。

  1. A.P.から一気にスプリントスタートで、加速させる為の爆発的なパワー
  2. 地面を蹴り出し、身体が真っ直ぐ前に傾斜する時の体幹部の強さ
  3. 大きなストライドと速いピッチ(=短い接地時間)の為に脚の動作を生み出す大きなアームスイングとそれを脚に伝える連動性(運動連鎖)

前回のコラムにも記載しましたが、上記の運動連鎖を作り出すにはJoint by Joint Approachの考え方も非常に重要で、機能的に動作しない身体の部位がある場合、力のダイナミックかつスムーズな伝達が滞ってしまうのです。

これ以外にも各スポーツには方向転換(Cross Over)などの要素もあるのですが、別の機会にご紹介します。

誰にでもできる運動連鎖を作り出す為のトレーニング

今回は、子供でもできる簡単なトレーニングを2つ紹介しましょう。また、どのような意味があるのかを考えてみましょう。常に意味を考え、トレーニング中に意識してみてください!

1. スプリントスタートの姿勢を維持する事にフォーカス!!

  1. 先ず、身体を少し斜めにして、壁に向かって両手を付きます。
    • 軸足の踵が若干浮くくらいの角度を作りましょう。
  2. 頭から踵まで、一直線になるように腕と胸部・腹部・腰部を安定させて、股関節だけ可動させます。=体幹の安定性・股関節の可動性
  3. 可動させる片脚の股関節・膝・足首の3箇所を屈曲させて、維持します。
    • 股関節は約90°に保ちます
    • この時に、身体が傾かない事を意識する事が大切です。=体幹の安定性・トリプルフレクション(股関節・膝・足首の3箇所の屈曲、以下E.F.
  4. ある程度の時間を維持できるようでしたら、左右交互に行ってみましょう。

※ フレクションは通常「屈曲」を意味します。

分かりやすい動画を見つけましたので、参考にしてください。

動画では実際に左右の脚を交互に動作していますが、上記で説明したトレーニングは姿勢維持ための一番初歩的なトレーニングです。(動画の前半で約1分20秒までを参考にしてください。)

2. スプリントスタートの競技特性動作をミックス!!

次は軸足の股関節・膝・足首を可動させる事(トリプルエクステンション、以下T.E.)にフォーカスします。

CNC1.上記、3.の姿勢がスタートポジションです。(youtubeのスタートポジションを指します。)

2.挙上しているE.F.の脚はキープしたまま、軸足の股関節と膝、足首を屈曲させて、臀部に力が溜まる(Loading)姿勢になります。=パワーローディング。 実際にはもう少し股関節が屈曲できれば良いですね。でも、股関節がもし硬い場合は、そのようなチェックポイントもコーチングで修正していく方が良いです。

3.そこから股関節を中心に軸足を瞬発的に真っ直ぐになるように、臀部を意識して、スタートポジションに戻ります。(=体幹の安定性と股関節の可動性(トリプルエクステンション)

※ エクステンションは通常「伸展」を意味します。

まとめ

これらの簡単なトレーニングには、スプリントスタートという競技特性を意識し、円滑な運動連鎖が生まれる為の要素、つまり実際の動作に近づけて、身体の部位の役割を理解しながらトレーニングできる特徴があります。

普段から身体の各部位の安定性や可動性を意識してトレーニングする事で、試合中の瞬間的な動作時には無意識にスムーズな運動連鎖が可能となるのだと思います。

これはほんの一例に過ぎませんが、競技特性を活かした運動連鎖のトレーニングはたくさんあります。是非、研究してみてください!!


Image Credit: “David Wright (June 2012)” by Cbl62 – Own work. Licensed under CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons

>>Write By ROKIYA WASEDA

rikiya-150x150専門はストレングス&コンディショニング。プロ格闘技の選手及びキッズアスリートの指導が中心。それと並行して、アメリカの最新スポーツビジネスにおけるサービスを幅広く手掛けるネットワークが強み。現在、ELEMENT ATHLETIX、STROOPSなどを国内へ導入しライセンス普及を推進。また、スポーツに欠かせない身体パフォーマンス向上をデータで実証するコーチング事業を展開する株式会社CORE N’ CODEを設立し、日米の企業から様々なオファーを受けている。STROOPS Master Trainer, NSCA-CSCS

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