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2019.09.24 火

様々な状態の高齢者に対して、シームレスにサービスを展開

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株式会社ルネサンスは、リハビリ特化型デイサービス「元氣ジム」のほか、脳卒中特化型デイサービス「リハビリセンター」、訪問看護「リハビリステーション」など、様々な介護事業に携わっている。それだけでなく、地域の介護予防事業やスポーツクラブでのシニア向けプログラムなど、高齢者との接点を多くもち、健康に寄与している。

【お話しを訊いた方】

株式会社ルネサンス 執行役員 アクティブエイジング部 部長 鈴木有加里氏

様々な状況のシニア層へ健康づくりを提供

同社のスポーツクラブは、業界のなかでもいち早くシニア層が通いやすい料金制度の導入、プールの階段設置、ヨガや太極拳、青竹ビクスといった参加しやすいプログラムの導入などの取り組みを行ってきた。今では50歳以上の会員が約53%を占めるまでになっている。

一方、フィットネス参加率3%というなかで、スポーツクラブに入会していない高齢者にどのようにアプローチしていくかを課題としていた。そこで、2005年から介護予防事業に取り組み始め、’06年からは行政と連携し、介護予防教室をはじめた。介護予防教室は、スポーツクラブの休館日を利用して、地域の高齢者にスタジオやプールで3ヶ月間介護予防運動を提供するもの。現在は123自治体で取り組んでいる。

介護予防事業が定着する一方、年齢を重ねて介護が必要になる人も増えてきた。そこで、’12年からはスポーツクラブや介護予防教室では対応が難しい人に向けて、元氣ジムの事業を始めた。

さらに、元氣ジムを運営していると、3割程度は脳血管性の疾患の既往歴があることがわかった。そこで、片麻痺の障がいがある人が早く改善するようにと、’18年に脳卒中特化型デイサービス「リハビリセンター」をつくった。また、進行性疾患によって症状が進行し、施設に通うことが難しい人に向けた訪問看護のサービス「リハビリステーション」も’14年から始めている。

「スポーツクラブには比較的お元気な方が通われています。地域のご高齢者向けに介護予防事業を始め、さらに疾患やリスクの高い方向けに元氣ジムを始めました。元氣ジムのお客さまは、元気になったら介護予防教室、そこで自信がついたらスポーツクラブと、次のステップがわかりやすく、目標をもって取り組むことができます。様々な立場の方へ、地域のなかでルネサンスができることを点ではなく面で展開しています」

スポーツクラブの育成ノウハウを活用、効果を実感できるプログラム

元氣ジムは、50坪前後の施設で、トレーニングマシンやレッドコード、施術用ベッドなどがある。現在、FC含めて23施設あり、各施設130 〜190名が在籍し、90 〜180分、各25名前後が利用している。男女比はおよそ5:5で、介護度では要支援1,2、要介護1,2の人が多いが、なかには要介護3,4,5の人もいる。いずれの施設も開設から半年ほどで100名を超える状態になっている。

元氣ジムでは利用者に対して理学療法士がアセスメント(評価)を行い、一人ひとりに合わせたマンツーマンのリハビリプログラムのほか、ウォーミングアップ、ストレッチ、体幹トレーニングなどをグループで行う。リハビリ特化型のデイサービスは増えているが、特徴的なのは指導者とプログラムだ。

「スポーツクラブの指導者育成のノウハウがあるので、お客さまがグループの運動を楽しめるように運動指導することができます。楽しむことで、継続につながり、効果が高まります。また、シナプソロジーをはじめ、エビデンスのあるプログラムを提供し、低体力の方も無理なく安全に効果を出すことができます」

元氣ジムのスタッフは、運動指導員2人、理学療法士1人、看護師1人のほか生活指導員などが常駐している。運動指導員は運動指導経験のない主婦や新卒社員もいるが、同社の育成ノウハウを用いることで、お客さまに正しく楽しい指導ができる。同時に、リハビリのプロである理学療法士を社員として採用し、初回利用時にマンツーマンでアセスメントしている。

「お客さま自身に、そのときの身体の状況や、それを改善するためにどのような運動をするかを丁寧に説明しています。ご自身だけでなく、ケアマネージャーさんやご家族も理解して納得していただけます。体験時に、運動の前後で姿勢や可動域、歩行の違いを映像で見ていただくことで、身体が変わることを実感してもらうことができます」

リハビリセンターは、’18年に神奈川県鎌倉市に1号店を開設した。片麻痺の改善には、100回以上の動作の反復が必要という考えから、促通反復法によるプログラムを提供する施設が必要だと考えた。川平促通反復エクササイズという運動法を採り入れているほか、電気刺激やロボットを活用して、麻痺改善や歩行再建のプログラムを行う。約30坪で定員は15名。介護認定を受けた人が通うことができる。オープン半年で満員となり、現在100名以上が在籍している。病院でのリハビリ終了後にリハビリできる施設が少ないことから、今後の出店へのニーズも高い。同施設は40 〜50代も多く、週2〜3回のペースで来ている人や元氣ジムと両方利用している人もいる。

また、’14年から展開している「リハビリステーション」は、送迎車の乗り降りが難しいがリハビリしたいという人のためにつくった。疾患の状態により、看護師、理学療法士、作業療法士のいずれかが訪問して、自宅での看護や機能訓練を行ったりする。現在3事業所を展開しており、これから人材を採用できれば増やしたい考えだ。

ドミナントで展開し効率化、互いに送客し合う

同社はスポーツクラブ、元氣ジム、リハビリセンターをドミナントで拡げている。例えば、石神井公園(東京・練馬)はスポーツクラブのなかに元氣ジムがある。同クラブでは休館日に介護予防教室も行っているため、元氣ジムのお客さまは卒業後に介護予防教室に参加しやすく、さらにその後スポーツクラブへも通いやすい。逆に症状が進行してしまった人が介護予防教室から元氣ジムに移行することもある。そのほかの店舗も、スポーツクラブの近くに元氣ジムを開業するケースが多く、互いに連携し合っている。

「元氣ジムとリハビリセンターは、人材の配置基準が決まっています。ドミナント化してスタッフが複数施設に通えるようにすることでサポートし合え、送迎車なども互いに活用することができます。元氣ジムに通っていて症状が改善した方に運動を続けていただくためにも、スポーツクラブが近くにあることは大切です。また、スポーツクラブの会員さまが親御さんに元氣ジムを紹介してくださったり、反対に元氣ジムのお客さまがお子さまにスポーツクラブを紹介してくださったりすることもあります。また、ドミナント化することで、その地域のケアマネージャーさんからの認知度が高まり、紹介してもらいやすくなります」

身体機能改善によりステップアップ、運動の継続につなげる

リハビリセンター→元氣ジム→介護予防教室→スポーツクラブと、身体機能が回復し、最終的にスポーツクラブに入会してもらうのが望ましい。とはいえ、身体機能だけではなくそれぞれの精神的、経済的な状態から、必ずしもスポーツクラブへの入会がゴールではない。介護予防教室では、終了後、近隣のスポーツクラブを紹介すると同時に、自分たちで運動を続けていけるようなサークルの立ち上げのサポートなどもしている。

「元氣ジムや介護予防教室に来ると、運動によって身体も気持ちも変わることを実感してもらえます。運動できる場所は地域にたくさんありますから、通いやすい場所を紹介しています。ルネサンスのスポーツクラブに通っていただければそれがベストですが、それ以上に運動を続けることで健康な方が増えることが大切だと考えています」

保険外サービスにも着手、ニーズに応じて拡大していく

日本では、’40年ごろまでは高齢者は増え続けるといわれる。75歳以上で介護認定者の比率は急激に増えることから、軽度の方は通所介護施設の対象から外れる可能性も大いにある。これらを見据えて、同社ではすでに保険外サービスにも取り組んでいる。

「元氣ジムの施設で、土曜日や平日夜の空いている時間に、腰痛を運動で改善するための“腰痛改善”プログラム、運動に関する講義やシナプソロジー、ストレッチ、サーキットトレーニングなどを行う“Fit90”などを展開しています。“Fit90”はスポーツクラブに行っても何をすればよいのかわからない方、スポーツクラブに行く自信がない方に向けたクラスで、90分間×週1回のスクール制です。これらは介護認定を受けていない高齢者をメインターゲットとしていますが、40 〜50代の方や元氣ジムの利用者さまも通っており、定員の7割ほどが埋まっています。今後、介護保険制度の対象が変わったときに、この枠を増やすこともできます」

日本では全国で高齢化が進み、介護施設やシニア向けサービスはあらゆる地域に求められている。まずは、同社のスポーツクラブがある地域を中心に開業し、FC展開も拡げていく。

「元氣ジム、リハビリセンター、リハビリステーション、いずれもニーズはあり、当社としても拡大していきたいと考えています。そのために必要なのが、人材と条件に合う物件です。運動指導員については未経験者でも育成できるノウハウがありますが、看護師や理学療法士は病院との採用競争があり、今後一層獲得が難しくなることが懸念されます。当社で働きたいと思ってもらえるよう努めていきます。そして、多くの方が心も身体も健康になり、人生を楽しんでいただくためにサポートしていきます」

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