スイミングスクールからスタートし たスポーツクラブNAS株式会社は、全 国72店舗中54店舗でキッズスクール を展開している。さらに、2013年か らは保育園・学童保育施設NAS KIDS UNIVERSITY(以下、キッズユニバーシ ティ)を開校し、現在2校展開している
【お話しを訊いた方】
スポーツクラブNAS株式会社 営業本部 事業推進統括部 商品開発部 マネージャー 窪 孝枝氏(左)
同 営業本部 第一グループ キッズユニバーシティ担当 マネージャー 目崎 亮氏(右)
同社は’12年以降にオープンしているクラブにはキッズ専用スタジオとアリーナスタジオを設けており、それに伴いキッズスクールの種類も増加、現在、21種類のスクールを展開している。スイミングが安定した人気を誇るなか、近年在籍数が増えているのがチアダンスだ。同社のチアダンスはプロの野球やサッカーチームと連携していることが人気の理由だ。また、アリーナスタジオで展開するサッカーやフットサル、バスケットボールなども在籍を伸ばしている。年齢層は、スイミングは年長〜小学3年生がボリュームゾーンだ。一方、ダンスなどのスタジオ系スクールは小学生が多く、テニスやフットサルなどは小学校中学年〜中学生が多い。
「幼少期からスイミングを始めて、小学3〜4年生でほかのスクールに移る方が多く、複数受講よりも単独受講が多い傾向にあります。子どものモチベーションを上げるために発表の場を設けることは重要で、チアダンスはプロチームと連携していることが非常に魅力的なようです」(窪氏)
キッズユニバーシティは、現在、文京と三鷹の2校を運営しており、在籍数は開校以降右肩上がりで伸びている。2歳〜小学校6年生を対象とした認可外施設で、施設内の会話は基本的にすべて英語で行う。施設内で行う英語のプログラムと、近隣のスポーツクラブNAS(以下、NAS)店舗で行うスイミング、ジムプログラム(ダンス・体育・オリジナルプログラムを週替わりで行う)を受けることができる。コースはPreschoo(l保育園)とAfterschoo(l学童)があり、Afterschoolでは小学1〜2年生の在籍が最も多く、公立の学童などと併用していることが多い。
未就学児は、保育園・幼稚園の後に、「長時間預けられ、複数のプログラムを受けられる習い事」として通う子もいる。
「幼少期からの英語教育が必要と考えている方、働きながらスポーツを習わせたい方などが選んでくださっています。共働き世帯が増えるなか、ワンストップで多くのプログラムを提供できる施設は今後ますますニーズが高まるのではないかと考えます」(目崎氏)
オープン後すぐには人が集まらなかったが、保護者のクチコミが広がっている。現在の保育園の在籍数は、文京は定員一杯、三鷹は数名の空きがある程度まで増えている。「一般的な保育園や学童と比べると高単価ですが、インターナショナルスクールに通わせたいと考える方からは非常に好評です。会話が基本的にすべて英語なのはもちろんですが、日本人としてのマナーや礼儀の教育も行っていることが支持されているようです。運動プログラムやイベントにも力を入れて、様々な体験をできるようにしています」(目崎氏)
スタッフは、外国人講師各校5人、バイリンガル保育士各校3人、事務担当文京2人・三鷹1人。文化が違う人材を管理・教育することは大変な面もあるが、しっかり面接を行って日本での保育・教育経験者を採用し、1ヶ月間のOJT研修、毎月の面談など万全を期している。
今後の課題として最も重要なのが、指導者の確保だ。そのほか、スクールについてはコンテンツの充実、キッズユニバーシティについては店舗数拡大も課題だ。また、地域のニーズに応える事業の必要性も感じている。
「習い事への関心が高まっているなか、固定概念をもたずにニーズに合ったアイテムを増やしていきたいと思います。また、現在、スイミングについて幼稚園の受託事業を行っていますが、今後は小中学校の授業や部活の指導も行っていきたいと考えています」(窪氏)
キッズユニバーシティについては、商圏の所得水準や施設の立地など、条件に合う物件を見つけることに苦慮している。
「スポーツクラブの1フロアで運営したいと考えており、保育園または学童だけで運営することも視野に入れています。内容についても、NASで行っている多くのプログラムを受けられるようにして、よりニーズに沿った運営をしていきたいと考えています」(目崎氏)
同社は、施設・プログラム・人材を活かし、社会のニーズに沿って事業を展開している。