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【NEXT 3月特集】 マインドフルネス ヨガ&ピラティス "Yoga"篇

2017.02.25 土 スキルアップ

【Yoga】

CASE #1 -『マインドフルネス瞑想』に詳しい松村憲さんに学ぶマインドフルネス
 
CASE #2 - 心理学的治療に活かす長谷川洋介さんに学ぶマインドフルネス
 
CASE #3 - ヨガスタジオチェーンのリーディングカンパニースタジオ・ヨギーにおけるマインドフルネス
 
CASE #4 - フィットネスクラブチェーンオージースポーツにおけるマインドフルネス
 
CASE #5 - 一流アスリートや芸能人、経営者が通うデポルターレヨガスタジオにおけるマインドフルネス

 ※特集内容はインストラクター・トレーナーのキャリアマガジン誌「月刊NEXT3月号」でもご覧いただけます。

CASE #2 心理学的治療に活かす長谷川洋介さんに学ぶマインドフルネス


マインドフルネスの研究が各所で進む中、うつ病や不安などの精神疾患の症状が改善されるエビデンスも数多く認められている。長谷川洋介さんは、マインドフルネスの原型となっている、心理学的治療として開発された「マインドフルネスストレス逓減法」を元に、日本で治療としてのマインドフルネスを広げている。

マインドフルネスの原型は心理学的治療法


マインドフルネスのコンセプトが、さまざまな形で広く社会に浸透する中、その原型となる「マインドフルネス ストレス逓減法」の学びを深める長谷川洋介さんは、現在もたびたび米国に足を運んでは、治療としてのマインドフルネスを追求している。

治療法としてマインドフルネスが生まれたのは1979年。マサチューセッツ大学医学大学院教授のジョン・カバット・ジン氏が「マインドフルネスストレス逓減法」(MBSR)としてスタートした。

この治療プログラムは8週間で、週1回の実習と、毎日のヨガと瞑想の実践で構成したもの。このプログラムにより、慢性疼痛や、不安症、パニック障害をはじめ多くの症状に改善が見られ、エビデンスが増えたことで、現在、精神疾患の治療法としても世界的に注目を集めている。長谷川さんも日本の精神科・心療内科と連携して、患者の方々にマインドフルネスプログラムを提供している。

長谷川②

日本でもマインドフルネスが注目される背景に、企業でストレスチェックが義務づけられるなど、ストレスによる病気増加が社会的な問題になっていることがあります。ストレスが病気を引き起こしてしまう原因は、本人がストレスを感じていることに気づかないこと。

ここにあらずの状態をマインドワンダリングというのですが、ストレスがかかると、脳が勝手に過去の同じような体験を思い出したり、再びストレスがかかるかもしれない未来を想像して、脳がストレスに巻き込まれていってしまう。ここから抜け出すには、まず気づくことが大切なんです。

そのために、客観的に呼吸や今の自分に意識を向けて、その状態をありのままに感じて、手放す練習が有効です。瞑想で雑念が出てきても、その状態をそのまま感じて手放し、もとの呼吸や自分への意識に戻す。これができるようになると、ストレスの渦から抜け出して、おちついて次の行動を選びとることができるようになるのです。

集中する瞑想と、観察する瞑想


現在マインドフルネスは、その手法も効果もさまざまに訴求されているが、マインドフルネスで利用されている瞑想法は、大きく2つに分けられるという。

集中する瞑想の「サマタ瞑想」と、観察する瞑想の「ヴィパッサナー瞑想」である。

「サマタ瞑想」では、何か一つに意識を集中させる。呼吸や声、音、身体の一部など、心を一に集中させることで脳の動きを止める瞑想。一方「ヴィパッサナー瞑想」では、全身の感覚を開いて状態をそのまま感じる。全身で、意識的に気づきを得ていく瞑想。

長谷川①


順番としては、まずサマタ瞑想で今この瞬間に集中し、次にサマタ瞑想でありのままに体験を観察したうえで、客観的な気づきを得ていくという流れとなる。
長谷川さんは、瞑想にも練習が必要で、まず自身が日々実践し、体感することでこそ理解が深まり、ヨガやピラティスの指導に活かせるようになると話す。

【マインドフルネスセンターオープンクラス】

120分間のプログラム。60分間ヨーガでゆっくりと身体をほぐした後に、30分間の座る瞑想を行い、最後にシェアリングを行う。

ヨーガを始める前に、一度座った状態でゆっくり呼吸に意識を向けながら自分の状態を確認する。ヨーガは、瞑想に入りやすくするためのものでもありマインドフルネスの練習の意味も持つ。簡単にできる動きをゆっくりと行い、自分の身体感覚に意識を向けながら、動きたいように動く感覚を味わう。

瞑想はインストラクターが言葉でガイドしながら、マインドフルネスへと導いていく。シェアリングは体験を共有し、その体験を評価せずそのまま話したり聞いたりすることで、新たな気づきや発見を得て、マインドワンダリングから抜け出すきっかけが得られることになる。

お話を聞いた方 長谷川洋介さん
東京マインドフルネスセンター長。学生時代にジャズドラムのスキルを高めたいと身体や心の使い方の探求を始める。サラリーマン時代にヨガを体験し、身体や心づくりの疑問が一気に解決する感覚を得たことをきっかけに、マインドフルネスの探求が始まる。米国マサチューセッツ州立大学メディカルスクールの各種MBSRコースを修了している数少ない日本人。ヨーガ療法学会ヨーガ講師、鍼灸師(国家資格)、あんまマッサージ指圧師、介護予防運動指導員などの資格も持つ。

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