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【NEXT 1月特集】フィットネス注目動向2016"インストラクター・トレーナー・オブ・ザ・イヤー 受賞者"篇

2016.12.28 水 スキルアップ

2016年、フィットネス業界ではどんなムーブメントがあったのか?NEXT1月号の特集では、以下の4つの視点から今年の注目動向をまとめています。

「“フィットネスクラブ”が注目した2016年のフィットネス動向」 

「“インストラクター・トレーナー・オブ・ザ・イヤー受賞者”が注目した2016年のフィットネス動向」

「“プログラムディレクター・オブ・ザ・イヤー 受賞者”が注目した2016年のフィットネス動向」

「“フィットネス・スポーツ・健康情報誌の 一般メディア”が注目した2016年のフィットネス動向」  

※特集内容はインストラクター・トレーナーのキャリアマガジン誌「月刊NEXT1月号」でもご覧いただけます。

フィットネス注目動向2016"インストラクター・トレーナー・オブ・ザ・イヤー 受賞者"篇


トレーナー・オブ・ザイヤー2015 田沢優さん(株式会社トップキャリア代表取締役)

インストラクター・オブ・ザイヤー2015 吉田かおりさん(株式会社ソニックアーツ代表取締役)


田沢: 2016年は、自分の仕事の軸を経営や研究によりシフトしたことで、社会の動向に目がいくことが増え、「AI」「VR」「IoT」といった分野の動向に注目しました。フィットネスやトレーニング業界はこうした分野に遅れをとりがちな印象がありますが、業界をとりまく環境も大きく変化しようとしています。

吉田: 私は、引き続き現場での指導と養成コースでの指導者育成を続けてきていて、来年指導歴30年を迎えます。特に長くフリーインストラクターと接してきてますが、2016年は現場指導者の意識に変化が生まれ、環境変化に対応しようと実際に行動を起こす人が増えました。

ここ数年、フリーインストラクターが業務受託できるレッスン本数が減っていく中でも、なかなか自分の枠から抜け出せないでいる人も多かったのですが、今年は、そうした人も、ファンクショナル系のレッスンを自ら進んで担当したり、クラブの仕事しかしなかった人が、企業フィットネスや高齢者指導を始めたり。独立してジムやスタジオをオープンする人も増えました。

田沢: そうですね。ピラティスインストラクターでも以前は自分の合うスタジオに所属しようとする人が多かった印象がありますが、2016年は独立する人が増えました。マイクロジムの経営運営が学べるセミナーをはじめ、ジムやスタジオ運営を成功させている人の話しを訊く機会も増えてきていて、経験値が増えていることが、こうした動向を後押ししていると思います。

小規模ジム・スタジオ経営者として注目した動向

田沢: 会社として2016年のトピックは、10月にエニタイムフィットネスをフランチャイジーとしてオープンしたことです。当社にとっては5店舗目のマイクロジムになります。これまでは、「スタジオB&B」という名称で、パーソナル指導のピラティスが主なサービスで、月会費は30,000円。

それに対して「エニタイムフィットネス」はカーディオからストレングスまでマシンが充実しているものの、オペレーション的には無人に近く、月会費は7,000円。反応する顧客層も全く違い、スタジオB&Bは30〜50代女性が中心で、男女比率は3対7で女性が多い。エニタイムフィットネスは、20〜30代男性が中心で、男女比は7対3で男性が多い。

エニタイムフィットネスは、4〜5年前に日本1号店ができたころに、知人のトレーナーが同社に入社して、自分が住むエリアにも出店が決まっていたこともあり興味をもっていました。当初は自分のジムとビジネスモデルがまるで違い、出店立地もあまりパッとしないところだったので、「こんなの日本で流行るのかな」と懐疑的だったんです。

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ところが、オープン直後に定員に達して入会がストップされるほどの集客力を目の当たりにして「なんだこれは!」と思ってから、その動向から目が離せなくなり、ビジネスモデルも研究して、今年の出店に至りました。当社では錦糸町に60坪強で出店しましたが、経営指標も想定通りに推移しています。新たなマーケットにリーチでき、フィットネスマーケットの理解が深まりました。

吉田: 私の会社も2016年に2店舗目を出店しました。2012年から運営している「ワークアーツ」はヨガやピラティスのグループレッスンを中心としたスタジオですが、2号店の「ワークアーツテトラボーテ」はパーソナルトレーニングが提供できるスペースを広くとり、エステサロンとのコラボで個別性の高いサービスを拡充しています。

会費も1号店は月4回利用で12,000円のところを、2号店はパーソナルセッションにも参加できる会員種別が15,000円、パーソナルセッション8,000円など少し高い料金設定としています。顧客層は、1号店は20代〜60代まで比較的広いですが、2号店は40〜80代と一世代違う層の方々が中心層となっています。パーソナルトレーニングの拡充は、1号店のお客さまからの要望が増えたことがきっかけです。パーソナルトレーニングは、地域によって時間差こそあれ、市場はまだまだ拡大すると思います。

2016年に個人的に注目したこと

吉田: 2016年4月に発生した熊本地震は、地元熊本の人々の人生を変える大きな衝撃を与えました。家をなくした人もいれば、仕事をなくした人もいる。私たちのスタジオは幸い大きな被害は受けなかったものの、震災後の1ヶ月はスタッフや契約インストラクターたちも仕事がなく、ただスタジオに集まっては自分たちに何ができるかと考えました。フェイスブックで身の回りの状況を発信していると、ありがたいことに、全国からたくさんの支援物資をいただき、それを無駄にしないようにと炊き出しをしたり、避難所にボランティアで体操指導に行ったり。

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5月には、より組織的に支援活動をしようと『熊本運動支援団体〜がまだす隊〜』と任意の団体名もつけてインストラクター仲間で支援活動を始めました。活動を続けていると地元の自治体などからも支援金をいただけることになり、継続的な活動に繋げることができました。「自分たちが動くことで、何かができる。新しいことを創り上げられる」という体験をしたインストラクター仲間は、自立心が強くなって、仕事に向き合う姿勢も変わりました。

自分でサークルを立ち上げたり、地域支援の取り組みを企画して自治体に提案に行くなど、与えられる仕事に頼らない働き方に変わりました。

田沢: 2016年の個人的なイベントとしては、5月に第1子となる女の子が生まれました。さらに、なんとスタッフ7家族が子どもに恵まれるベビーラッシュの1年となりました。経営的には産休や育休でスタッフの調整が難しい時期もありましたが、ママになったスタッフも、パパになったスタッフも、変わらず元気に働き続けてくれていることがとても嬉しく感じています。

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特に、ママになったスタッフの一人は、臨月までレッスンをして、出産後数週間で復帰して、出産経験を活かして指導内容に厚みが出たり、フリーの強みを活かして育児も楽しんでいるようです。そうした職場環境を提供できるのもマイクロジムならでは。今後もさらにスタッフのライフステージに合わせて働きやすい環境づくりをしていきたいと思っています。

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