dely株式会社 堀江裕介氏に訊く Venture Spirits
2016.11.30 水 オリジナル連載フィットネス業界唯一の経営情報誌『FitnessBusiness』の連載企画「Venture Spirits」がWEB版でも掲載スタート!
本連載では2012年4月に独立を果たし株式会社FiNCを立ち上げた溝口勇児氏が名立たる企業で卓越した経営手腕を発揮されている経営者や起業家と対談していく。今回のゲストは、dely株式会社 堀江裕介氏です。
溝口:まず、事業内容についてご説明いただけますか。
堀江:料理動画のレシピサイト「KURASHIRU」を運営しています。レシピサイトはたくさんありますが、動画で見せているものはなかったため、需要があると考えました。わかりやすく、1分間以内で見せることを重視しています。在学中に起業して、フードデリバリーのアプリの提供を行っていましたが、そのまま事業を続けていくのは難しいと考え、2015年に事業転換しました。
溝口:若くして起業していますが、それまでの経緯を教えてください。
堀江:高校生のとき、大学受験当日に東日本大震災がありました。その後ボランティアに行ったのですが、そこで自分の無力さを感じたのです。孫(正義)さんが100億円寄付しているのを見て、影響力のある人になりたいと思い、大学時代に起業しました。
溝口:創業して3年目になりますが、創業期に苦労したことは何ですか。
堀江:フードデリバリーの事業を行っていて、資金を注入してもこれ以上このサービスは伸びないとわかったときです。半年ほど続けましたが、すべての手を尽くしてもこの事業では伸びない、利益は出ないと悟りました。それと同時に、多くの社員が辞めてしまったことです。
溝口:そこから学んだことはありますか。
堀江:サービスに対する細かい失敗、誤った施策はたくさんありましたが、それはたいしたことではありません。それよりも、サービスが伸びないとわかったときに社員がどんどん辞めてしまったことに自分の無力さを感じました。会社が行き詰まったときに、どれだけの人が残って助けてくれるかが、経営者の力量だと今では思っています。結局、当時いた社員は皆、ビジネスとして成功しそうだから集まった人ばかりだったのです。私自身のマネジメントの仕方も、理念やビジョンではなく、会社を大きくするということしか共有できていなかったのだと思います。今は、給与が低くても会社やサービスに魅力を感じてくれて、ビジョンを共有できる人と働きたいと考えています。