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共同体での取り組み進む、指定管理事業

2018.11.25 日 オリジナル連載

プレイヤーが交代する大きな変化

ここ数年の指定管理者制度の応募状況を見てみると、組成される共同事業体のメンバー・主役が大きく変わっていることがわかる。昨年決定した横浜文化体育館のPFIの応募メンバーが適例と思われるので見ていただこう(表:横浜文化体育館のPFIの応募メンバー)。

表:横浜文化体育館のPFIの応募メンバー

大手広告代理店が統括管理を行っている例も珍しいが、公益財団法人の横浜市体育協会がPFI事業に参画していること、公的な団体も特定目的会社(SPC)に出資していることも注目に値する。特定の音楽プロモーターと組成するより、広告代理店自らがもつスポーツコンテンツや各種団体と構築した友好関係などを活かして、コンテンツ(アリーナで行われるスポーツ大会やコンサート)分野にも触手を伸ばしてきたことが伺える実例である。この事実からいえるのは、スポーツ業界の争いであったアリーナなどのスポーツ施設の指定管理者が、業界の垣根を越えた「異業種による総合格闘技化」していることであろう。なお、横浜市文化体育館は、スポーツとエンタテインメントどちらも開催できるシアター型アリーナに近づき、かつプレミアムラウンジを設定するなど、今後建設されるアリーナの方向性を大きく変えることになると断言してもよいだろう。2024年の開業が待たれる。詳細はHPを参照願いたい。

一般の指定管理者制度にもこのムーブメントはPFIに限定したことではなく、次の例である昨年選定された「武蔵野の森総合スポーツプラザ」にも現れている。詳細は、「指定管理者選定委員会審査報告書」を読んでいただきたいが、アシックスジャパン、コンベンションリンケージ、キョードーファクトリー、シダックス大新東ヒューマンサービス、公益財団法人東京都水泳協会などコンベンション運営企業、音楽プロモーター公益社団法人などが共同事業体を組んで、組成し、応募している。「異業種による総合格闘技化」に対応するには早めの共同事業体としての組成が必要になることはいうまでもない。例えば、今後再公募が開始される中野サンプラザは、ゼネコン、不動産会社、広告代理店、音楽プロモーターなどが共同事業体を組成し応募することが予想される。こうなると、もはやスポーツクラブを運営している企業がアリーナ運営だからといって、単独で応募しても安易に勝利できないケースが出てくるだろう。

コンテンツを獲得できる企業と組む

1万人以上の大型アリーナの場合、コンサートやスポーツイベントを誘致・獲得できるかどうかが選定の大きな要因になっていくことが容易に推定できる。これに対応するためには、公募情報を早めに察知し、(飛び込み営業でもよいので)音楽プロモーターや広告代理店に構成企業をお願いしておく以外に方法はない。十年一日がごとく、運営会社+維持管理会社の組成では、新たなイベント獲得のエビデンス(証拠)を出すのも難しくなってくる。

さらに高度な体制へ

広告代理店やシンクタンクと組成することも視野に入れるべきであろう。彼らと組むと、イベントを誘致するだけではなく、「イベントを創造できる」からにほかならない。単なる誘致から創造へ、戦いは激しさを増していくと思われる。

将来はコンセッション型へ

今後PFI方式を活用したコンセッションも増加すると思われる。その顕著な例は、台風の直撃で話題となった関西国際空港のコンセッションだ。国が100%出資する関空の運営会社・新関西国際空港株式会社(新関空会社)が2015年12月15日、オリックスと仏空港運営大手バンシ・エアポートの企業連合に関空と大阪国際(伊丹)空港の運営権を売却する正式契約を結んだ。オリックス・バンシ連合は新会社「関西エアポート」を設立。昨年4月から、同社による44年間にわたる空港運営を始め、新関空会社は両空港の所有権を保持したまま、施設の運営権だけを売却する。この「コンセッション方式」と呼ばれる事業方式により、新関空会社は年間490億円、総額2兆2,000億円超の運営権料を受け取り、巨額の負債の返済に充てる。加えて、収益が1,500億円を超えた額の3%分を「収益連動負担金」として追加的に利益配分する条件も付加されているなど、民間のノウハウを活用し、空港の活性化につなげたいという意向になっている。このように、ますます多様・高度化する応募方式には、学習能力を蓄え、確実に対応していくことが要求されるのである。

スポーツメーカーも参画へ

最近豊島区、兵庫県三木市などを獲得し存在感を増しているのがアシックスジャパンだ。それにならってかどうかは不明だが、SSK、ゼットも参戦してきている。応募動機は各社それぞれだが、本業がシュリンク(縮小)するなかで、新たな収益源を求める姿勢を見せていることも特筆すべきだろう。今後このようなスポーツアパレルメーカーブランドの知名度を取り込むのか、思案のしどころといえよう。

なぜ、山崎は業界に復帰したのか

かつてもっていた本誌の連載を終了して約4年が経過するが、私、山崎も指定管理業界に戻ってきた。復帰には、2つのきっかけがあった。

1つは綜合ユニコム社から「多目的アリーナの開発・運営計画資料集」(アリーナの運営方針に沿った営業・管理実務のノウハウの解説)の執筆を依頼されたこと。そして前記した「武蔵野の森総合スポーツプラザ」の応募提案書類の作成を依頼されたことである。某社より「武蔵野の森総合スポーツプラザの提案書執筆が一向に進まない、手伝ってもらえないだろうか」という打診があったのは、’17年5月。当時、UCCグループの役員を務めていたので大いに悩んだ。業界から離れて足かけ5年のブランクもあり、昼の営業活動が中心で、夜9時には寝る体質に戻っていた身体。再び、徹夜して事業計画書を執筆する仕事に戻れるか、また、自分のもっていた知識が陳腐化していて、もう勝利できないのではないかという恐怖感もあった。そこで、UCCの副社長に相談したところ、「60歳を過ぎて、仕事を依頼してくれる会社があれば、喜んでやるべきだ。人生の戦いは、60歳を過ぎてから、いかに長く仕事を継続できるか、稼げるかが、幸せに直結する」というありがたいお言葉をいただいた。そこで、意を決してUCCの役員を中途退任して、再び指定管理者の事業計画書作成の世界に戻ったわけである(また、感謝すべきことにUCCグループからは、顧問として残留することも許可いただき、現在も仕事を継続できている)。また、同時に会社を興して独立もした。

私は自称「実現する詐欺師」

私は、会社概要に次のような挨拶文を書いた。「コンサルタント業務は、名刺1枚で開始することができる安易な起業方法です。しかしモノをいうのは、『過去の実績』と『施設に合致し、個別の魅力的な提案内容』のはずです。当社の作成する提案書は決してコピー・ペーストをせずに、提案内容が施設ごとにガラリと違います。加えて、業界に長きに渡り身を置くプロデューサー山崎隆司が『実現する詐欺師』として、記載した内容を確実に実行させるために、各団体と交渉します。そして関心表明書や事前協定書を取得するなど、応募前から『飽くなき勝利への執念とネットワークの成立』を担保します。『事前営業こそ正義』と信じ、勝てる応募団体の組成までを実践できる。まさにこの1点がフラッシュアイデアの提案にとどまるコンサルタントと大きな違いです。どうぞ皆さま、エセコンサルタントが跋扈するこの業界で、高い勝利と提案内容を実現するクラブサクセスジャパン株式会社に提案書作成を任せてください。『そこまで考えていたのですか』と驚かれるはずです。皆さまの驚かれる顔に出会えることを社員一同楽しみにしております」「実現したら詐欺師ではない」という意味で自分を卑下して書いたつもりであり、ネガティブなフレーズで、記憶に残るよう配慮したつもりだ。私は、生涯、売文業(五木寛之が自分の職業はと問われていう言葉、実際は「しがない売文業」といっているのだが)を続けていきたいと思っている。

勝利した提案書

私が主に執筆をリードした「武蔵野の森総合スポーツプラザ」の事業計画書は、「隣接する味の素スタジアムおよび西競技場との一体的な活用により、’20年東京オリンピック・パラリンピックやラグビーワールドカップ2019の際の円滑な運営、多摩地域の一大スポーツ拠点として、地域にも貢献し、親しまれるための具体的で質の高い提案がなされている。また、’17年1月25日の確実な開業やその後の地域特性にも配慮した円滑な運営が期待できる」という講評をいただき、2点差で辛勝した。こうなると昔の虫が騒ぎ出し、いくつかの企業から提案書の作成依頼が舞い込み、勝率50%の確率を維持できている。これもありがたいことで、今まで関わりをもった企業さまには本当に感謝している次第です。きに渡り身を置くプロデューサー山崎隆司が『実現する詐欺師』として、記載した内容を確実に実行させるために、各団体と交渉します。そして関心表明書や事前協定書を取得するなど、応募前から『飽くなき勝利への執念とネットワークの成立』を担保します。『事前営業こそ正義』と信じ、勝てる応募団体の組成までを実践できる。まさにこの1点がフラッシュアイデアの提案にとどまるコンサルタントと大きな違いです。どうぞ皆さま、エセコンサルタントが跋扈するこの業界で、高い勝利と提案内容を実現するクラブサクセスジャパン株式会社に提案書作成を任せてください。『そこまで考えていたのですか』と驚かれるはずです。皆さまの驚かれる顔に出会えることを社員一同楽しみにしております」「実現したら詐欺師ではない」という意味で自分を卑下して書いたつもりであり、ネガティブなフレーズで、記憶に残るよう配慮したつもりだ。私は、生涯、売文業(五木寛之が自分の職業はと問われていう言葉、実際は「しがない売文業」といっているのだが)を続けていきたいと思っている。

※横浜市文化体育館整備事業に関する資料:http://www.city.yokohama.lg.jp/shimin/sports/buntai/kishahappyo170914.pdf※東京都体育施設指定管理者選定委員会審査報告書http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/08/10/documents/01_01.pdf

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