ファンクショナルトレーニングの中でスポーツを行う方に広く認知されているのが「体幹」「体軸」といった身体の中心部分の筋肉を鍛える「体幹トレーニング」ではないでしょうか?
その効果とトレーニング方法について、サッカー日本代表の長友佑都選手、なでしこジャパンエースの大儀見優季選手ら多数のトップアスリートが信頼を寄せるトレーナー木場克己さんにKOBAトレ体幹トレーニング理論を基に解説してもらいます。
どのスポーツにも当てはまりますが、動きを始動したり、動きをコントロールする部位が体幹部であるという視点に基づき、
「柔軟性」
「安定性」
「バランス」
「連動性」
の4つの能力をパフォーマンスアップが肝になります。そこで、より多くの人のトレーニングに採り入れて貰えるよう具体的ガイドラインにまとめたものが「KOBAトレ」です。
4つの能力を高めるうえで着目するのが、固有受容器(カラダの動きを感受するセンサーのようなものでここに刺激が入るとその情報は脳に伝えられる)でここを刺激することで関節可動域を広げることインナーマッスルを強化することで体幹部の安定性をつくり、そのうえで上半身と下半身の「連動」の中で、安定した動きをつくっていきます。
固有受容器に刺激が入ると血流循環が促進され、筋肉にも柔軟性が生まれるため、関節可動域が増大、腕や脚の振り幅が大きく、しなやかになります。肩甲骨や股関節など、関節周りの筋肉の柔軟性は、ケガ予防やパフォーマンスアップに必須であり、柔軟性に富んだ筋肉は力も入りやすです。通常はカラダを温めるためには30分程度かかるが、KOBA式体幹トレーニングのメニューをこなせば10分程度ですぐに運動できる身体が出来るため、ウォームアップの時間短縮にもなります。
木場克己さんがFC東京のヘッドトレーナーとして、当時強化選手でありながらヘルニアでプレイができなくなっていた明治大学生の長友佑都選手を紹介されたのが2000年。
「長友選手に会ってまず普段行っているトレーニングを見せてもらうと、腹筋と背筋だけのバランスの悪い体幹トレーニングになっていました。体側の筋力が弱く、股関節が硬かったことが腰痛に繋がっていると分かり、最初の2週間は股関節のストレッチしかしませんでした。その後、体幹部のインナーマッスルや腹圧を高めて動くことで体幹部の動きを安定。そのうえで、徐々に上半身や下半身との連動をつけて全身の動きの効率を高めながら、サッカーの特徴的な動きである『全力で走った後に片足で止まって蹴る』という動作を効果的に行えるトレーニングも工夫していきました」
長友選手に限らず、競技の特性や日常生活の動作一つにしても、負担がかかる筋肉は異なります。
サッカーを例に出せば、大腿四頭筋やハムストリングスに大きな負荷がかかるため、肉離れなどのケガを起こしやすくなります。しかし、中臀筋や内転筋、腓腹筋などの脚の筋肉をバランスよく鍛えれば、連動性も高まるためその負担を分散でき、ケガのリスクは大幅に減少します。
トレーニングは基本的には自重で行うため、基本的には必要なものは身体だけです。ただ日常的にスポーツを行っている方はそれでは物足りないため、「ファンクショナルマット」や「チューブ」を利用し、付加のかかった状態でトレーニングを行うとより効果が実感できます。
まずは以下のトレーニングを行ってみてどれだけ身体がブレずにいられるか試してみましょう。
【レッグリフト】
このトレーニングではお腹の中にある大腰筋、上半身を支えるお尻の大でん筋、姿勢を良くする脊柱起立筋を同時が鍛えられるため、接触プレーなどがあるスポーツを行う場合であっても転びにくい身体を作ることが出来ます。
1.足を肩幅に開き、足を素早く上げ、おへそのあたりまできたらそのまま5秒間キープします
2.これを片脚づつ各3回行います
↓足元が不安定なファンクショナルマットの上で行うことで、バランス感覚がより一層高まります。
【サイドブリッジ】
このトレーニングでは腹筋(腹斜筋、腹横筋)と中殿筋(お尻の上側部)を強化をすることでバランス感覚を鍛えます。
1.床に横向けに、両脚を伸ばした姿勢になり、下になった方の肩の真下に肘をつきます
2.頭から足を一直線にした状態から、一気に腰を上げ、最後に上部の足を腰と一直線になるように上げます
3.この状態を10秒間キープします
※必ず頭・腰・足が一直線となるようにフォームをキープします
KOBAトレをきっかけに、有名選手に憧れるジュニアアスリートにもファンクショナルトレーニングを広げており、最近ではジュニア世代~中高生に対しての体幹トレーニングを浸透してきており、スポーツクラブルネサンスなどのフィットネスクラブでもコバトレ理論に基づいたトレーニングが導入されている。
スポーツパフォーマンス向上に向けて、まずは全て動作の軸となる体幹を鍛えることを始めの一歩にしてみてはどうだろうか。