“コンディショニング”という言葉をメディアで耳にする機会も増えている。従来はプロ選手やアスリートが試合に向けて行うという印象が強かったコンディショニングだが、最近では、一般生活者の生活をより豊かなものにするための手法としてプログラムを積極的に導入するスポーツクラブも増えている。そこで、今回は、fitbox FunC岩切誠さん、Body Work Space EVOLVE.有馬康泰さん、お二人方の有名トレーナーに、日常に取り入れるべきパフォーマンスアップに向けたコンディショニング、ケアの方法を訊いた。
「ジム以外での“宿題”で コンディショニングを習慣化させる」 ― fitbox FunC岩切誠さん
「『運』を動かす 運動はメンタルコンディションも向上させる」 ― Body Work Space EVOLVE.有馬康泰さん
東京都大田区でスモールグループセッション中心のマイクロジム「fitbox FunC」を運営する岩切誠さん。パーソナルトレーニングに近いトレーニングをグループで提供する運営システムを確立し、機能改善ニーズを持つ成人から小学生メンバー層まで、幅広い層を指導する。
ジムでは入会後、初めの3回はパーソナルセッションで股関節のモビリティ、コアの安定、膝関節の安定などグループセッションでも安全にかつ効果的に動ける基本を学べる機会を提供している。また、同社HPでは「今週のエクササイズ」として専用のYouTubeチャンネルとリンクさせている。チャンネルでは、翌週のグループセッションで行うメインエクササイズ、トレーニング実施前に必要なコンディショニング、ケアの方法について、動画を通して分かりやすく解説をしている。
「我々の役割は、日常生活やスポーツを楽しむための“動けるからだづくりのお手伝い”だと考えています。ここで、あえて“お手伝い”という表現を使っているのには理由があります。1日の活動時間は睡眠時間を除くと約16時間、1週間だと112時間です。週1回セッションに参加いただくと考えて、我々がジムでサポートできるのは112時間のうちのわずか45分間のみです。これは、1週間の総活動時間の1%にも足りていません」
セッションの際には、日頃から身体のコンディショニング、ケアを行っている方と、いない方では、動き方が全く違ってくるため、お客さまに対しては自宅でのコンディショニング、ケアを“宿題”として課すことにしている。特に同じ姿勢で過ごすことが多い現代人の場合には、ストレッチや筋膜リリースなど、1日5分間だけでも 身体のコンディショニング、ケア行うことで、身体のパフォーマンスは格段に向上する。グループセッションを見ていても、身体をうまく使えていない方は、肩甲骨周りや股関節の動きに課題がある方が大半だと岩切さんは分析する。
セッション前には筋膜リリースギアを用いて肩甲骨周りのコンディショニングを行う
「このため、ランブルローラーなどの筋膜リリースギアについて、できるだけお客さまに購入してもらうようにしています。その際、お客さまには“買わせる” のではなく“必要”と思ってもらうことが非常に重要です。スタッフに対しても『買ってください』ということばは使わないよう指導を徹底しています。セッション時に『身体を変えるためには、自宅での日々のコンディショニングが大事です』とお話すると、ほとんどの方が購入してくれます」
現在では入会時に、「筋膜リリース用ギアの購入」を必須項目として追加している。それでも、会員の中には『家族や友人にも』と追加で購入する方も少なくないという。
自身の身体の変化を実感したいのであれば、日々のコンディショニングやケアを、お客さま自らが習慣化する必要がある。そうした考えを持つ同ジムのエントランスには、大きく「正しい動きと姿勢の学習塾」との文字が並ぶ。岩切さんは 「今後は、トレーニング指導に加えて、日常から身体づくりに取り組んでもらえる環境をつくりあげることが、トレーナーに求められるスキルとなるでしょう」と話している。
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【記事出典】
月刊NEXT 2016/December No.117
【企画・構成】
株式会社クラブビジネスジャパン
オンライン事業部フィットネスビジネス編集部:庄子 悟