アスリートパフォーマンス情報サイト『CNC mag』 の中から スポーツパフォーマンス向上に役立つ記事をご紹介します。
海外のトップアスリートがトレーニングにヨガを取り入れてるケースを調査してみるとメンタル面のトレーニングだけでないことが浮き彫りに。ヨガのテーマである自己の対話は自分の身体の様子を観察することですが、筋神経系の刺激と意識化を重視するファンクショナルトレーニングとの関係もあり、これらに共通点が見られるのです。
トレーニングとして取り入れられるヨガ
最近流行りのヨガ。至る所にヨガスタジオやインストラクターが存在していますね。ヨガは運動といっても、動作中は呼吸と心拍数がゆっくりになるので、跳んだり走ったりする運動とは異なるように思われますが、実際に海外ではこのヨガをトレーニングの一つとして取り入れているトップアスリートが数多く存在しています。※1
海外のトップアスリートがヨガをトレーニングに取り入れるのはメンタル面の効果を期待してのものと思いますが、実はそれだけではありません。それは何か?
何故トップアスリートがヨガを?
アスリートのトレーニングとは全く関係なさそうですが、実際ヨガは体型を整えたり柔軟性を向上させるだけではなく、体幹を意識しながらの連動した動きを向上させたり、弱い部分を認識/強化することができます。
ヨガをする上で、常に正しいポーズ(ヨガ用語で「アーサナ」と言われる)を意識し、保つことを重要視されます。この正しいポーズを取る為には、自分が頭の中で描いているイメージを再現することが必要で、その為にはイメージ通りに身体を動かすことが求められます。身体を思う通りに動かすには、脳から神経を通して動かしたい部位に指示を伝達して意図する方向に動かすといった、神経と筋肉の筋神経系をうまく作用させることが重要になります。
つまり、この経路を意図的に作用させなければ、ヨガのポーズを正しく行うことは難しいということです。
ファンクショナルトレーニング 重視がヨガを取り入れるきっかけとなる
また、ヨガは呼吸をしながら無駄な力を抜きつつ、必要な部位だけに力を入れてポーズを作ります。従って、身体が力んでいない心身がリラックスした状態で正しいフォームを作り、安定することができます。この能力は、良いパフォーマンスを発揮するのに大いに役立ちます。
筋神経系を刺激し、必要な筋肉だけ動かして、それ以外は力を抜いて脱力する。そして、イメージ通りの動きを生み出す。この考え方は以前に書いたファンクショナルトレーニングの考え方と非常に似ています。
ヨガを知れば知るほど、ファンクショナルトレーニングがテーマとしている筋神経系への刺激・意識化と共通点あることがわかるのです。
ヨガはただポーズを取れば良いというものではありません。身体の細部にまで自分の意志と神経を張り巡らし、部位ごとに脱力と緊張を意図的に行い、自身の身体をコントロールすることがヨガのポージングをする上で必要な身体的機能です。
その身体的機能こそがトップアスリートの求める物なのです。
進化するヨガ
ヨガは本来、根本経典のヨーガ・スートラに基づいて行われる物で古代から受け継がれています。※2 自己の対話の結果として解脱をすることが最終目標とされますが、その過程ではポーズと呼吸を同期させ、自分の身体と対話すること。さらに瞑想を融合したものだとわかります。このヨガのプロセスは普段は意識化しにくい自分の身体の意識化を促進するもので、これもまた最新のスポーツ科学でテーマとすることにも近いのです。
また、最近ではこのヨガのムーブメントに注目し、様々にアレンジされたヨガが多く見られます。
ヨガにピラティス/太極拳などの動きを取り入れた物や、SUP(Stand Up Paddle Board)のボードを用いて行うSUPヨガ等。海外では、このSUPヨガに更にStroopsという器具を組み込んだヨガを行っています。
VIDEO
ヨガは「女性がする運動」、「身体を柔らかくする為のストレッチみたいなもの」といったイメージをお持ちだった方々、一度トレーニングとして試しに行ってみては如何でしょうか?
Photo Credit – モデル: 早坂理恵 写真: 三浦大輔
参考記事:
※1 Top 15 Athletes Who Do Yoga via THE SPORTSTE R
※2 パタンジャリの「ヨーガスートラ」とヨガの八支則 via TULA
ヨガイベントのご案内
CNC MAGのパートナーでもあるTULAがヨガのワークショップを開催します。TULAの代表である女優・モデルの早坂理恵さんをイベントナビゲーター、講師はヨガの達人、チャックこと村井千晶先生の講座です。全3回で太陽礼拝という連続したポーズを行うヨガで、ヨガをはじめるにはとても良いワークショップ。講座は全3回一括か、もしくは個別にも申し込み可能です。
アスリートでヨガを取り入れたいと思ってもきっかけがない、という方は良い機会になると思いますので、是非、参加してみてください。
>>Write By TOSHIHIRO MIZUKAWA
アメリカのカルフォルニア州立大学ノースリッジ校卒業。 専門はストレングス・コンディショニング。サッカーをはじめ、多種目のスポーツ選手の怪我予防・リハビリ・トレーニング指導を行っている。トップアスリートだけでなく、老若男女、人種問わず、全ての人々を対象に幅広く活動。トレーナーの知識や技術はプロだけでなく、全ての人が受けることのできる恩恵である。怪我をしたがどうすればいいのか分からない。何のトレーニングをどう行えばいいのか分からない。どの情報を信じていいのか分からない。そんな“分からない”を失くす為、Change the Value of Sportsを信念に、株式会社CORE ‘N CODEでスポーツの浸透と普及を目標に日々精進中。STROOPS FUNCTIONAL PERFORMANCE TRAINER.