日本において、病気やケガ等で自覚症状のある痛みで多いものは、女性では肩こりが1位(腰痛が2位)、男性では肩こりが2位(腰痛が1位)となっています(厚生労働省国民生活基礎調査)。国民のほとんどが人生で経験したことがあるだろう「肩こり」について、その原因と解決策を解説します。
前回は肩こりの解消に向けた簡単な筋トレ方法を紹介しましたが、今回は身体の血流を良くしてくれるストレッチの効果と、方法について解説したいと思います。
ストレッチは大きく分けると“静的(スタティック)ストレッチ”と“動的(ダイナミック)ストレッチ”の二つに分けることができます。静的ストレッチとは関節を動かさないストレッチのことで、動的ストレッチは逆に関節を動かすストレッチのことを言います。それぞれのストレッチには目的に応じて以下のような特徴があります。
【目的】
静的ストレッチの目的は筋肉に蓄積した老廃物を排出することにあります。このため静的ストレッチでは、可動域ギリギリまで身体を伸ばすことで老廃物を排出する循環を作ります。運動後や同じ姿勢での作業を行うことなどによって筋肉には多くの疲労物質が溜まります。そのままの状態にしておくと疲れが抜けない状態が続き、パフォーマンスが低下してしまいます。そのため、静的ストレッチは運動後にクールダウンとして行うのが効果的です。
【方法】
静的ストレッチは、体を伸ばすための各姿勢を20〜30秒間維持することが重要になってきます。運動後は筋肉が硬くなっており難しいかもしれませんが、可動域ギリギリまで伸ばした状態を維持することを意識して行うことがポイントになります!
【目的】
動的ストレッチの目的はスポーツで使う足や腕、体幹などの部位をいろいろな方向に回すことで、関節の可動域を広げると同時に、関節や周辺の筋肉を柔らかくすることです。運動前の硬い筋肉をほぐすことですぐに運動が行える状態に身体を整えます。練習の前に行うウォームアップが動的ストレッチにあたります。関節や周辺の筋肉を柔らかくしてくれるため、運動を行う人に限らず、血流の流れが悪く、肩に凝りが残る方などにも有効です。
【方法】
動的ストレッチは、関節の可動域を大きく動かすトレーニングとなるため、事前に心拍数をあげることで身体が温まった状態で行うことが重要です。このためウォームアップメニューを作る際には以下の流れで作るとケガを防止しながら効果的に動的ストレッチが行えます。
STEP1. 軽めのジョギングやランニングを行い心拍数を上げる
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STEP2. 肩甲骨や股関節を中心に動かし、筋肉の温度と柔軟性を高める
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STEP3. 徐々に刺激を与えながら筋肉を伸ばす
最近では動的ストレッチとして体幹トレーニングを取り入れることで、より短時間で効率的に筋肉の温度と柔軟性を高めるストレッチトレーニングも多く出てきています。
比較的軽視されやすいストレッチですが、運動・スポーツのパフォーマンスを向上させるためには非常に重要なトレーニングです。運動前にはケガ防止・パフォーマンス向上に向けた”動的ストレッチ”、運動後には蓄積した疲労物質を排出するための”静的ストレッチ”を行うことが大事です。
日常的に動的ストレッチを取り入れることで肩周りの血流が良くなり、肩がとても楽になる人もいるはずです!まずはストレッチを毎日継続して続けてみましょう。変化を実感できるはずです。