数々の賞を受賞する台湾発のフィットネスマシン、日本上陸 インテンザフィットネス
2019.03.25 月 トレンドサービス
マシンの進化が止まらない。かつては必要最低限の機能を備え、その利用方法は限定されたものであった。
今では様々な機能が搭載され、サーキットトレーニング始めマシンが主役の時代となりつつある。そうしたなか、2017年、高性能とデザイン性で世界66 ヶ国に製品を提供する台湾発のインテンザフィットネスが日本に上陸し、注目を集めている。
新しい価値提供に取り組む
インテンザフィットネスは、2012年に台湾にて設立されたフィットネスマシンメーカー、ヘルスストリーム社のプレミアムブランド。「HOWFITNESS SHOULD FEEL」をテーマに、マシンを通して一人ひとりが快適と感じるフィットネスライフを発見してもらえるように、開発に取り組んでいる。
始まりは小さな貿易業を営む会社として、長年、ODM(Original DesignManufacturing)にてマシンの開発に取り組んできた同社。そこで技術や知識を蓄積し、満を持して自社ブランドを設立した。性能はもちろん、高いデザイン性を実現した製品は評判を呼び、これまでにアメリカやドイツ、韓国、シンガポールに拠点を開設。世界66 ヶ国にわたるフィットネス施設や住宅、大学などに製品を提供してきた。
そして’17年には、ついに日本支社を設立。代表のマーク・チャン氏は同社の理念について「私は『用心突破、創新價值』(一心で新たな道を切り開き、新しい価値を生み出す)ことを理念に20年間取り組んできました。そしてその理念を私自身が世界をまわり、各国で働くスタッフにも伝えています。
ユーザーの皆さまにもこの理念に共感いただくことで、我々のブランドに信頼を寄せていただけたらうれしいです」と話している。同氏が「ブランドの差別化は経営者としての最大の課題」と語るように、同社のマシンは「オリジナリティ」「創造性」「デザイン」「品質」において付加価値を生み出すことを意識して開発されている。
細部に至るまでのこだわりが伝わるからこそ、ブランド価値が世界的に認められてきたのだろう。
「当社のマシンを使うことで、フィットネスが習慣化していない方にも、その楽しさ、面白さが伝わることを願っています。そして、それぞれが自身に適した快適なフィットネスライフを見つけていただきたいと願っています」(チャン氏)
ODM で磨き上げた技術
同社の強みはなんといっても20年間、フィットネスマシンのODMで磨いた知識と経験を活かした、オリジナリティあふれる製品開発だろう。その代表が、’17年に発売された、世界初となる、ステップの高さと傾斜を調整できる『エスカレートステアクライマー550 Ce2』だ(写真1)。
下半身や心肺機能を効率的に強化できるステアクライマーは海外の施設ではよく目にするものの、日本ではあまり見かけることがなかった。
「これまでのマシンは、日本を含めたアジア人の小柄な体型に適していなかったのです。また、身体的な問題で使用できない方もたくさんいました。そこで、我々はよりどなたでも楽しめるように、利用者の歩幅によってステップの高さや傾斜を調整できるようにしました。これにより、それぞれが、自分に適したトレーニング強度を設定できるようになりました。この革新性が話題となり、’18年TaiwanExcellence(台湾エクセレンス賞)では、『デザイン』『研究開発』『品質』『マーケテイング』の4部門において最高ランクの評価をいただきました。さらに’18年にドイツのRed Dot製品設計賞、グローバルプロダクトデザイン賞も受賞することができました」(チャン氏)
同マシンには、タッチパネル式のコンソールにも特徴がある。内蔵しているIntenzacast™(インテンザキャスト)機能により、ユーザーのスマホやタブレットなどモバイルデバイスの画面をそのままコンソールに映し出すことができるのである。これにより、さらにパーソナライズしたフィットネス体験を提供し、より楽しいトレーニングを可能にした。
自然に優しいマシン
チャン氏が「インテンザ製品の特徴の1つが、流線型のアルミフレームに代表されるスタイリッシュなデザインです。
当社の技術力を集結して生み出したもので、ほかにはまねのできないものであると自信をもっています」と語るように、これまでのマシンにあまり見られなかった高いデザイン性は、先の受賞に現れるように高く評価されている。その製品を生み出しているのが、’13年に台湾・台南に建設した最新工場だ。
トヨタ生産方式とインダストリー4.0の考えを参考に、徹底したコストカットとIT化を実施。ロボットによる溶接や、自動車業界レベルの塗装ライン、無人搬送システムなど、効率化を図りながらも高い品質を実現することが可能となっている。
「出荷後、もし問題が発生した際にも30分以内にすべての生産履歴を洗い出すことができます。また、この工場の生産ラインは毎年国際品質規格(ISO9001:2015)も取得しています」(チャン氏)
さらに同社が意識しているのが、環境への配慮だ。
マシンを通じて人々に健康や幸せを提供する企業として、自然環境への配慮は欠かせないと考えているのである。工場の屋上には太陽光パネルを設置し、太陽光発電を利用するほか、雨水のリサイクルも実施。自然換気ができるよう、天井も高めに設計されている。
日中は電灯が不要なほど明るい自然光が降り注ぎ、窓が西向きに設置されていることもあり、空調なしでも室外より約10度低い温度を保てるという。このようにしてエネルギー効率100%を実現しながら、熱帯気候の台南においても、従業員が快適に働ける職場環境を提供しているのだ。
施設側にとっては、導入後のアフターフォローは重要だが、同社ではその部分においても重要視している。上記でも記したように、生産時の厳しい品質管理に加え、製品自体にAI機能を導入。マシンに異常が発生した際には、自動的にサービスエンジニアにエラーコードを送信することで、素早く問題点を突き止め、迅速な修復対応が可能としている。
最後にチャン氏は次のように述べている。
「フィットネス業界が多様化するなかで、ユーザーは、会費ではなく自分のライフスタイルに合ったクラブを選択するようになりました。我々も、高いブランド価値や、卓越した設計と魅力あるデザインを実現することで、より多様性のある、そしてエンタテインメント性が高いフィットネス体験を提供していきたいと思います」
目的や年齢に限らず、様々なユーザーが利用しやすいマシンは、日本でも多くのユーザーや施設を魅了していきそうだ。