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【NEXT 11月特集】機能改善トレーニング最前線 Vol.1

2016.10.25 火 スキルアップ

「健康寿命」という言葉が浸透し、アクティブシニアや介護予防のプログラムが進化してきている。特に高齢者の機能改善として注目されているのが、脳機能の改善と、身体機能の改善。脳と身体は連動して動くことから、ともに身体活動を伴うトレーニングプログラムとして開発されることが増えている。今回は高齢者が「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」である健康寿命を延ばすことに有効な、最先端のトレーニングプログラムを紹介する。

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 シナプソロジーⓇ 
“楽しいから続けられる、誰でも教えられる”

シナプソロジーⓇとは?

ルネサンスのソフト開発チームが世界で支持を集めている各種の脳活性化プログラムを研究し、オリジナルに開発したプログラム。参考にしたのは、ドイツやアメリカのエクササイズ。プログラムを開発しながら日本人での効果検証も進め、現在までに高齢者の機能改善、アスリートのパフォーマンス向上、幼児教育の学習力向上などでエビデンスが得られてきている。

10分または20分間の介護予防エクササイズや各種トレーニングの準備体操として活用されているほか、仕事やセミナーなどのアイスブレイクなどにも利用されている。基本動作からスパイスアップする(認知機能に対する刺激や五感からの入力刺激のパターンを変えること)で、感覚を覚醒させると同時に、脳での認知機能や、動作としてのアウトプットするための神経の伝達速度と正確性を高めることができる。

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コミュニケーション促進機能にも注目

シナプソロジーⓇは、2011年にルネサンスがスタジオプログラム向けに開発をスタート、2012年4月からクラブでの展開をスタートさせた。運動参加が継続できない理由のひとつに「できない」「ついていけない」という体験があるとの課題意識から「できなくてもOKなプログラム」をコンセプトに開発を進めた。その気軽さや楽しさから、フィットネス以外のシーンに広がり、認知機能や運動機能の改善はもとより、集中力やコミュニケーション力向上などの効果も注目されるようになってきている。

高齢者分野では、アルツハイマー病の原因の一つとされる海馬の萎縮予防への有酸素運動の効果が注目されており、シナプソロジーⓇと有酸素運動を組み合わせて提供することで、より確実な認知機能の向上につなげられることが分かっている。シナプソロジーⓇの開発から検証、普及へと指揮をとる望月美佐緒さんは、その汎用性の高さをこう説明する。

「基本動作とスパイスアップを、対象者の身体機能に合わせてアレンジできるので、年代も体力レベルも、場所も問わず、誰でもどこでもできるのが特徴です。基本動作は『記憶動作系』『空間認知系』などの効果軸と、『じゃんけん系』『アシンメトリ系』など動作軸で、全6系統に分けられ、毎回違う系統のエクササイズを選ぶことで脳活性化効率を高めていきます。

スパイスアップも、形や色の視覚情報から、『青』『グー』など声のサインにすることで聴覚情報からの入力刺激を変えたり、記憶や計算、言語といった認知機能に対する刺激を変えるなど、ガイドラインに沿って指導者が自由に組み立てられ、運動の知識や経験がなくても提供が可能です。

最近では、ヤクルトレディーさんのような地域住民の方と密着にお仕事されている方々に普及員になっていただき、シナプソロジーⓇを活用いただいたり、自治体の元気な高齢者の方に資格を取っていただくことで、地域のコミュニケーション促進に繋げる導入事例が増えています。人とのつながりは健康維持で最も重要であることに加えて、我々も、この10月から創設された健康サポート薬局や、ヘルスケア分野の各種プレイヤーとつながりが持てるプログラムとしても期待しています」

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プラチナプログラム 
“理学療法メソッドで構築したプレコリオプログラム”

プラチナプログラムとは?

パーキンソン病の運動療法プログラムとトレーニングの分野でエビデンスがあるエクササイズをくみあわせて構成したプログラム。4つの運動要素(①運動神経活性化運動、②姿勢制御活性化運動、③関節機能向上運動、④抗重力筋強化運動)について、それぞれ7~10種類のエクササイズを選定し、合計35のエクササイズを一連の流れにした。クラスは、ここから4要素がバランス良く入るように15~20程度のエクササイズをインストラクターが選んで提供する。

プレコリオプログラムのように動きと流れが決まっている中から選ぶ動きを変えるだけで、毎回違うエクササイズが提供できる仕組みとなっている。クラスの長さも自由に変えられる。手軽にエビデンスのある効果の高いプログラムを提供できることから介護予防プログラムとして急速に浸透し始めている。またプログラムの中には運動機能評価項目が盛り込まれており、指導者は厚生労働省推奨の測定項目の測定方法も習得できることで受ける側に効果を実感していただける内容となっている。

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リハビリのエッセンスを介護予防グループプログラムに

プラチナプログラムは、理学療法士とトレーナーで構成されたチームが、2013年から開発をスタート。プレコリオプログラムのようなパッケージにまとめ、2014年から指導者育成も含めた展開を加速させている。大きな特徴は、介護予防に目的を特化して、理学療法やトレーニング分野で既にエビデンスがあるエクササイズ要素を組み合わせていることだ。

4つの運動要素のうち、①の運動神経活性化運動プログラムは、パーキンソン病の運動療法として医学的にも認められているプログラムを参考にしている。②の姿勢制御活性化運動は、バランスセンサーの機能を高めるため、重心移動を認識する足 裏の感覚機能を高めるとともに、体幹部の関節をやわらかく使えるようにすることで、重心やバランスを安定させるメソッド。

公衆衛生学会でエビデンスが認められている。③の関節機能向上運動は、ストレッチで可動域を広げるとともに、関節に適切な動きや圧をかけることで関節の滑液分泌が増えるというエビデンスが得られているエクササイズ。そして④の抗重力筋強化運動は、筋肥大や筋力増加にエビデンスのあるスロートレーニングを採り入れている。

椅子に座った状態で行えるエクササイズを中心に構成することで、高齢者に広く安全に取り組んでもらえる内容にまとめている。同プログラムの開発に携わった岩田諭さんはこう話す。「一つひとつのエクササイズが、高齢者の機能改善としてエビデンスのあるものなので、指導者としても自信を持って提供することができます。またレッスン中にも、それぞれのエクササイズの効果を、エビデンスをもとに説明できるので、参加者の方々にとっても納得感が高く、継続しようというモチベーションを持っていただけます。そのことも確実な成果に繋がる要因となっています」

指導者は、35種類のエクササイズとキューイングを覚えるとともに、1回のクラスを構成するエクササイズの選び方さえ覚えれば、すぐに提供が可能。2日間(12時間)の研修で「高齢者運動指導士Ⓡ」として活躍できる。プレコリオプログラムのように指導法が習得しやすく、指導の品質が維持しやすいことから、デイサービスのスタッフや、自治体スタッフが指導員として活躍するケースも増えている。またスポーツの専門学校などでも『これからは実践的な高齢者への運動指導が大切』と必須科目として積極的に高齢者運動指導士Ⓡ資格の取得に力を注いでいる。

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