FITNESS BUSINESS

facebook twitter googleplus

フィットビット・ジャパン福田社長に訊く(後編) Venture Spirits

2016.01.29 金 オリジナル連載

フィットネス業界唯一の経営情報誌『FitnessBusiness』の連載企画「Venture Spirits」がWEB版でも掲載スタート!

本連載では2012年4月に独立を果たし株式会社FiNCを立ち上げた溝口勇児氏が名立たる企業で卓越した経営手腕を発揮されている経営者や起業家と対談していく。今回のゲストは、フィットビット・ジャパン合同会社社長福田強史氏です。

前編では福田自身のこれまでのキャリア、フィットビットとの出会いをお伝えしましたが、後編ではフィットビット・ジャパンの今後の展開、5年後・10年後のビジョンについてお話をお伺いしていきます。

s_Fitbit

溝口:日本での展開はまだ2年目ですが、今後どのような会社にしていきたいですか。

福田:日本では、フィットビットに限らず、ウェアラブルの認知度が圧倒的に低いので、そのベネフィットなどをわかりやすく日本のお客さまに伝え、認知度を高めていくことからしていきたいと思います。そのためにはお客さまにしっかりと寄り添える会社にしたいと思っております。アメリカではすでにこのカテゴリーの認知度が高く、そのうえで、デザインや機能を選ぶ段階になっていますが、日本ではこれからウェアラブルとは何かというベースを広めていく必要があります。

溝口:アメリカでも、現在の日本と同じステージだった時期があったはずですが、どのようにステップアップしたのですか。

福田:社会そのものが日本とアメリカでは違います。アメリカではフィットネスがライフスタイルに根付いていますから、そのためのツールも広まりやすいのです。根本には、社会保険や健康保険など制度の違いがあると思います。

溝口:5年後、10年後のビジョンはどのように描いていますか。

福田:フィットビットはこれからグローバルの活動も広げていきます。私はこれまで6ヶ国・10名の上司の下で働いてきましたが、ダイバーシティの難しさを感じてきました。今までの経験を十分に活かして、あまり先のことは考えずに、目の前にあることに最善を尽くしたいと思っています。学生のころは将来のビジョンを決めていましたが、出会う人や環境によって考え方、動き方が変わることを知りました。

溝口:おっしゃる通りだと思います。特にIT業界は栄枯盛衰も早く、5年後にどうなっているかはわかりません。 私は目の前のことを一生懸命やっていれば、先の可能性は広がると思っています。

福田:だからこそ、周りの人や自分の感性を大事にしたいのです。テクノロジーの進化はこれからも続くと思いますが、大切なのは人がどのような思いで何をするかです。

溝口:私も、起業してから特に、人のつながりや信頼が最後は強いと思うよ うになりました。私が目指すのは世界最大のウェルネスカンパニーです。FiNCの最大のリスクは、つぶれることではなく、ただの中小企業になってしまうことです。だから迷いなく誠実に突き進むことができます。仮にそれでつぶれたとしても、信頼は壊れないと思うのです。

福田さんは、すごくフラットで真摯な方ですから、多くの人から信頼を得ていると思います。信頼関係を築ける人にとっては、ベンチャー企業の経営者になることはまったくリスクではないと考えています。

福田:私は1人でいることが苦手で、人と一緒に関係を築きながら何かをやっていくことが好きです。社長は1人で孤独だと思っていましたが、実際になってみると支えてくれる人は周りにいることがわかりました。同時に、今までどれだけ人に助けられていたかも実感しました。それを心に留めておくと、人を大事にできます。

溝口:私も起業当初同じように感じました。社員が周りにいると、雑務は誰かがやってくれますが、起業したころは自分ですべてやるしかなく、人のありがたさに気づきました。

また、一流の人に触れることで、自分が経営者としてどこまでできるのかがわかりました。自分がプロになれない分野は最適な人に任せればよく、自分がどこで突き抜ければよいかも見えてきました。少し前までは実力でここまできたという思いがありましたが、 運が重なって今の環境にいられるのだと思えるようになりました。

福田:運というのはたしかに大事です。でも、運をよくすることもその人次第ではないでしょうか。

溝口:同感です。笑顔でいる、コミュニケーションをとる、目の前のことに一生懸命取り組むなど、運をよくすることはできると思います。福田さんは第一印象で受容してくれる方だと感じました。フィットネスクラブで接客することで、私はそれを身に付けられたと思っています。 福田さんは日本の健康産業をどのようにしたいと考えていますか。

福田:日本とアメリカの大きな違いは、日本は労働時間が圧倒的に長いことです。そして健康への優先順位が低い人が多い。優先順位は低くても、健康を気にしている人が多いのも事実です。 フィットビットを使うことで、忙しいなかでも健康に対しての新たな気づきを得られます。そのことを伝えていきたいです。フィットビットが広がれば、フィットネスはもちろん、医療やスポーツなど様々なところにつながっていくと思います。

溝口:最後に、若い世代へメッセージをいただけますか。

福田:何歳になっても「今さら」ということはありません。「今から」チャレンジしてみることが大切です。若いときにチャレンジしたことは、失敗しても必ずどこかで役に立ちます。

溝口:ありがとうございました。

フィットビット・ジャパン福田社長に訊く(前編) Venture Spirits

インタビュー:溝口勇児
’84年生まれ。’03年、フィットネスクラブ運営企業に 入社。同社では新店のオープン、新規事業の立ち上げに参画、並びに約2年間で営業利益1億円の増収を達成。’12年4月、株式会社FiNCを創業し、代表取締役に就任。

FB82-003-216x300『FitnessBusiness誌』最新号の内容・お申し込みは下記をご確認ください。
  FitnessBusiness誌 No.82『ブランディング』