【月刊NEXT特集】疲労回復&機能改善のジム運営#1 ZERO GYM
2018.05.28 月 キャリアアップ スキルアップ リクルート血流を促すトレーニングとマインドフルネスで
身体と脳のマイナスを、ゼロに戻す ZERO GYM
お話を聞いた方
(左)株式会社ビジネスライフ
コンテンツマーケティング部部長 高橋孝介さん
(右)ボディデザイナー兼エグゼクテ
ィブプログラムディレクター 松尾伊津香さん
“最高の脱力”が、身体と脳の疲労をリセット
Z E R O G Y M は、「最高の脱力(ZERO)」をキーワードに、日常生活でたまりがちな身体と頭の疲労をリセットすることを目的とした少人数(定員6名)のセッションを提供。「疲労回復ジム」として2017年末の日経トレンディで紹介されたこと機にメディアでも注目を集めている。同ジムの母体は株式会社クロスメディア・パブリッシングというビジネス書の出版社。同社で発行するビジネスパーソンの悩みや課題に応える書籍の中でも、健康、睡眠、食事などコンディショニングやヘルスケアについてのシリーズの売上が好調で、よりダイレクトにビジネスパーソンの課題解決にチャレンジすべく、2017年に株式会社ビジネスライフを設立。
「本気でコンディショニング」をコンセプトにしたオンラインメディア「BUSINESS LIFE」とともに、直営ジム「Z E R OGYM」を2017年6月にオープンした。当時マインドフルネス関連の書籍の売上が好調だったことも受けて、ジムで提供するプログラムは、コンディショニングとマインドフルネスのコンセプトで構成している。
プログラム開発を担当したのは同ジムエグゼクティブプログラムディレクターの松尾伊津香さん。松尾さんは大学時代に心理学と精神医学を専攻し、その後米国に留学してヨガ哲学やメディテーションを研究、その後ヨガインストラクターや女性専用ダイエットジムでの指導者店長経験を持つ。
その知識と経験から着目したのが、身体の疲労回復には血流を促すトレーニング、脳の疲労回復にはマインドフルネスで、それぞれのトレーニング効果を高めるべく「ほぐす(ストレッチ)→流す(自重トレーニング)→緩める(瞑想・マインドフルネス)→抜く(脱力)」という流れに構成。75分間で、日常生活でマイナスになっている身体と脳の状態を、ゼロの状態に戻すことをテーマに、午後から夜の時間帯を中心にプログラムを提供している。
「プログラムの前半は、ヨガやストレッチをはじめ、様々な要素の動きを“血流を促す”ことに焦点を当ててアレンジしています。関節をポンプのように使ったり、頭を下にするなど、通常のフィットネスプログラムではあまり出てこない動きも採り入れています。自重トレーニングでは十分な強度で行うことで、動きに集中して思考が止まりやすい状態を作っていきます。また強度の高い動きで体温を上げ、その後の脱力時に体温が下がることで、副交感神経が優位になるという身体のメカニズムも活用して、脳の働きをゼロに近づけていきます。疲労回復と言うと『癒す』イメージを持たれる方が多いですが、科学的に身体と脳の状態をゼロに戻すこと目指した結果、前半はかなり『トレーニング』のイメージが強い内容となりました」
同プログラムの効果は、医学博士のもとでウェアラブルセンサーを活用して行った実験でも実証されている。
トレーニング時はもとより、トレーニングを行った日の就寝中に至るまで、交感神経と副交感神経が適切に機能して、身体の回復が促されることがデータとしても確認された。自律神経の機能が整うことで、食習慣も改善できるというエビデンスもあることから、今後は食事の改善もサポートして、さらなる疲労回復やコンディショニング効果、ダイエット効果に繋げる計画だ。
出版社的発想で、ジムのコンテンツを編集・訴求
「疲労回復」というビジネスパーソンに刺さるキーワードで、その課題解決に焦点を当てたプログラムの編集・構成で一般生活者の興味を惹くマーケティングには、書籍編集のノウハウが活かされていると言える。
「疲労回復」「最高の脱力」というキャッチコピーと、そのコンテンツとして、身体と脳それぞれのアプローチだけでなく、身体と脳との関係にも着目して、さまざまなエクササイズと瞑想のメソッドを柔軟に採り入れているのが特徴だ。
今後も、「疲労回復」をコンセプトに他社との協業も計画しており、血流や体温の保温効果で副交感神経を優位にできるリカバリーウェアや、内臓疲労の回復に効果があるとされるコールドプレスジュースなど、さらなるコンテンツも融合していく。書籍編集者ならではのマーケティング力、編集力を活かして、マイクロジムやトレーニングの新たな価値提案に繋げていくことが期待される。