FITNESS BUSINESS

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【NEXT 6月特集】世界で活躍する日本人トレーナー  

2017.06.16 金 スキルアップ
6月号⑫

#7 杭州緑城フィジカルコーチ 池田誠剛さん

【杭州緑城】
中国、浙江省杭州市をホームタウンとする、中国プロサッカーリーグ(中国甲級)に加盟するプロサッカークラブ。過去に、元日本代表監督の岡田武史、フィリップ・トルシエなどが監督を務めたトップクラブ。現在は、元韓国代表監督の洪明甫のもとに、韓国人コーチ、中国人コーチ、日本人アスレティックトレーナーと、池田さんがフィジカルコーチとして選手たちをサポートしている。

池田誠剛さんは、サッカーの「フィジカルコーチ」として、これまでに日本、ブラジル、イタリア、韓国、中国のトップチームで経験を積みながら、数々の実績を残してきている。その活躍は、書籍『日本人初の韓国代表フィジカルコーチ 池田誠剛の生きざま』をはじめ、数々のメディアで知ることができる。

「フィジカルコーチ」とはサッカーの技術や戦術も含めトータルで選手たちの身体づくりができる存在で、池田さんは、トレーナーとコーチの役割をトータルに捉えてトレーニングを組み立てることにこだわってきた。資格も、サッカーのテクニカルライセンスである日本サッカー協会(JFA)公認のA級コーチと、日本体育協会アスレティックトレーナーの資格を持ち、選手一人ひとりの最適な身体と動きづくりをサポートする。


特にサッカーは、足で行うスポーツであることから下肢に特異なケガが多い。「技術とケガには相関があるはず」と、“フィジカルトレーナー”ではなく、“フィジカルコーチ”であることを追求するのは、自身の体験がきっかけになっている。池田さんは自身、サッカー選手としてエリートコースを歩み、実業団時代には、アジアクラブ選手権で日本初の優勝を勝ち取った。

だが、強気なプレイスタイルからケガが耐えず、29才のときには試合中に前十字靭帯を損傷。2年後には選手としてのキャリアを断念せざるを得なくなる。度重なるケガの経験が、フィジカルコーチへの思いを強くした。

「フィジカルコーチに興味を持ったのは高校生のとき。ブラジルではチームにフィジカルコンディションを整えるコーチがいることをサッカー雑誌などで読んでいて、大学も運動生理学や解剖学、バイオメカニクスなどが学べる学科を専攻しました。実業団に行ってからも何で自分はケガを繰り返すのかと、大学時代の文献をかき集めながら自問自答する日々でした。

自分のようにケガで泣く泣くピッチを去らなければなくなる選手を一人でも減らしたい。そのためには日本のサッカーにフィジカルコーチが必要だと思ったんです」

選手を引退して間もなく、実業団でアシスタントコーチのオファーを得て、東京大学でサッカーを専門にスポーツ科学を研究していた戸苅晴彦研究室で学びながら、フィジカルコーチを目指し始めた。特に当時は、フィジカルコーチという肩書きで仕事をする人が少ないこともあり、その後、世界最強チームのフィジカルコーチとの出会いに恵まれることになる。

池田トレーナーのキャリアステップ


池田さんには、師匠と仰ぐ人物が2人いる。一人が、元ブラジル代表およびサンパウロFCのフィジカルコーチ、モラシー・サンタナ氏。もう一人が元イタリア代表およびACミランのフィジカルコーチ、ビンチェンソン・ピンコリーニ氏。2人とも、池田さんの情熱に触れ、自国のチームに招いて、現場でフィジカルコーチの真髄を共有してくれた。

「モラシーさんからは、『チーム全体のトレーニングプランを立てることは言うまでもないが、その中で選手を一人ひとり細かく観察し、一人ひとりに合ったプランをつくるが非常に大切』と教えられました。ビンチェンソンさんから学んだことは、積極的に仕事するチームを変えること。

同じチームに長くいると、メンバーそれぞれやチームとしての課題も解決プランも、新たに考えたり工夫する機会が減ってしまいます。ビンチェンソンさん自身も頻繁にチームを移籍していて『チームを変わるのは、自分のためにプラスになるぞ』と話していました。

私も、ブラジル、イタリア、韓国、中国のチームで活動してきましたが、人種の違いや、生活習慣の違い、メンタルの違いも見えて、それぞれのチームで高いパフォーマンスを引き出そうと工夫することで自分の対応力も高められます。日本人選手やチームの課題や解決策も見えてきます」

池田さんは、今後フィジカルコーチが活躍できるフィールドは広がると断言する。「サッカーだけでなく他の競技でも、それぞれの競技特性に特化したアスレティックトレナーであるフィジカルコーチは必要だし、サッカーだけを見ても、アジアや世界に目を向ければ、優秀なフィジカルコーチを必要としているチームは数えきれません。

特にアジア各国はスポーツにお金を遣う余裕がでてきている一方で、トレーナーとして知識と経験を持つ人がまだまだ少ない。トレーナーとして活動の幅を広げたいという志があるのなら、とにかく行動すること。トレーナーとして活動の場を見つけて、指導した人から感謝される体験が何よりのエネルギーになりますよね。日本で機会が少ないと感じているのなら、思いきって海外に出ていくことを勧めます」

【特別インタビュー】

元MLBシアトルマリナーズ アシスタントアスレティックトレーナー 森本貴義さん

【世界で活躍する日本人トレーナー】

#1 マリア・シャラポワ専属フィジカルトレーナー 中村豊さん
 
#2 元EXOSパフォーマンススペシャリスト 阿部勝彦さん
 
#3 元MLSロサンジェルス・ギャラクシーアシスタントアスレティックトレーナー(パートタイム) 黒子甫さん
 
#4 元NBAサンアントニオ・スパーズアシスタントアスレティックトレーナー 山口大輔さん
 
#5 元NBAミネソタ・ティンバーウルブススポーツパフォーマンスディレクター 佐藤晃一さん
 
#6 ACミランメディカルトレーナー 遠藤友則さん
 
#7 杭州緑城フィジカルコーチ 池田誠剛さん

 ※特集内容はインストラクター・トレーナーのキャリアマガジン誌「月刊NEXT6月号」でもご覧いただけます。

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