今回の新コ禍で、経営者らが最も感じたのは、”エンゲーメントの大切さ”ではないでしょうか。
そう、つながりです。つながりは、「人間」という文字が示す通り、人と人の間にできるもの。とりわけ、サブスク的なビジネスモデル(*今あるほとんどのクラブのシステムは、サブスクと似た課金システムをとっているだけであり、その本質をとらえたシステムにはなっていない)をとるフィットネスクラブでは、インストラクター・トレーナーとファンであるお客さまとのつながりの強さは、とても大切なものと言えるのではないでしょうか。単なるつながりというより、相思相愛や信頼といった感情を伴ったエンゲージメントにしていくことが求められます。
そうであるにもかかわらず、積極的にクラブ内でスタッフとメンバーがつながることを促すサービスデザインを意図してつくり込み、日々エンゲーメントを強めていくことに努めているクラブは、稀有ではないでしょうか。むしろ、制限のようなことさえしているクラブもあるのではないでしょうか。もちろん行き過ぎた公私混同はいけませんが、例えばインストラクター・トレーナーとお客さまが、つながるきっかけづくりをすることや利用継続の魅力の一つとなるコミュニティづくりをしたり、クラブ外でもSNS等でつながって良識の範囲内でコミュニケーションを交わしたりすることなどは、もっとしてもいいのではないかと思います。
今回の新コ禍でも、休会や退会が多いクラブは、こうした人と人とがつながることで、お客さまが喜ぶ取り組みを避け、ほぼ施設提供しかしてこなかったところが多いのではないでしょうか。休業期間中にもウェブでのサービスなどを通じて、つながりをつくったり、維持したりすることはできますし、そういう取り組みをしているかしていないかで、収束後、再びクラブを訪れてくれる方の多さやクラブの活気なども変わってくるものと思います。
また、フリーのインストラクター・トレーナーの方々についても、クラブだけでなく、サークル活動をしたり、独自のプログラムをもっていたり、小さいながらも自身のスタジオやジムをもっていることなどにより直接生活者(ファン)とつながっていることの重要性を感じたのではないでしょうか。BtoBtoCではなくBtoCあるいはD2Cのモデルにも取り組んでおくことは、今回の新コ禍のようなことが起こったとき、安定的に暮らしていくためのリスクを軽減することにもなります。オンラインでのエクササイズ配信やパーソナルトレーニングサービスなどにも、最近取り組むインストラクター・トレーナーが増えてきていますが、以前から直接ファンの方とリアルなつながりを深めていたインストラクター・トレーナーのほうが、影響力を発揮できていると思います。さらに言えば、お客さまと直接のつながりができるようにしてその関係を維持するためには、トレーニングやフィットネスに関する専門的な知識や技術に加えて、お客さまとの間に信頼関係が築ける人間性も培っていくことが求められます。そこまで備えた”本物”のインストラクター・トレーナーになることを目指しましょう。
今回起こったことをファクトベースで確認し、明日につなげるためのリフレクションをきちんとすることが大切だと思います。そもそもなぜこのフィットネスサービスを私はするのか?誰がお客さまなのか?お客さまに届けるものは何か?将来、どういう世の中にしたいのか?今、フィットネス事業に取り組む一人ひとりは、こうした問いに改めて虚心坦懐答えを見出そうとすることが大切だと思います。そして、本来すべきだったことを、今日から始めるようにするのです。
フィットネスビジネス編集長古屋のFacebookより引用(3/21 12:58 投稿)
※編集部コラムは、最新号刊行のお知らせや本誌の見どころ記事だけでなく、フィットネスビジネス編集長 古屋のFacebookでの投稿を中心に、編集部が得た気づきや学び・フィットネス業界への想いの丈を発信したものとなっております。