健康管理システム「からだステーション」IoT・データ活用による退会抑止事例
2019.03.25 月 トレンドサービス~スマホアプリを活用した会員継続施策とクラブ外へのサービス展開~
豊田通商株式会社 食料・生活産業本部 リビング&ヘルスケア部
ヘルスケア事業G 土屋勇吾氏
豊田通商株式会社が開発した健康管理システム「からだステーション」は、2015年の商用化から導入を拡大し、全国40店舗以上のフィットネスクラブで導入されている。
最近では総合クラブ以外にもパーソナルジムや24時間ジム、高齢者施設等、幅広い施設で導入されている。会員の継続促進や退会抑止、オプションサービスによる売上増加のツールとして活用されている。フィットネスクラブにおけるIoT活用・退会抑止の事例について訊いた。
からだステーションは、スマホアプリ・ウェアラブルを用いて、施設内・外の運動データや各測定機器と連動した身体データをクラウド上で一元管理し、スマホ・タブレット・PCなどで閲覧できるシステム。クラブからアプリを介して、利用者の入会動機やクラブ利用状況、属性に応じて、アドバイスやクーポンを自動配信でき、施設外での会員との接点増、館外も含めた会員サポートの強化・効率化も実現できる。
IoT活用の流れ・成功要因
データの収集
からだステーションでは、専用ウェアラブル端末「Karamo」を装着するだけで、施設内外の歩数・消費カロリー、クラブ内で測定した体組成・血圧等を自動で記録し、定量的なアドバイスや指導を行うことができる。スマートフォンのみでデータを管理しようとした場合、スマホを保有していない会員やクラブ内でスマホを持ったまま運動しない会員も存在することや、手動で運動を記録する必要がある。防水型のウェアラブル端末とスマホアプリを組み合わせることで、館内・館外でシームレスにデータを取得することができる。
データの可視化・閲覧
からだステーションはスマホ、館内のタブレット端末、PC上でもデータを閲覧することができ、若年層から中高年・高齢者層まで幅広い会員にサービスを提供することができる。ピっとタブレットにタッチするだけでデータを更新・閲覧でき、複雑な操作も不要だ。
データの分析・活用
①退会予兆の検知・クラブ内フォロー強化
からだステーションの管理機能には、退会予兆を検知する機能があり、専用画面から退会リスクの高い会員や各会員のデータを把握し、重点的にサポートを行うことができる。
スタッフ間で入会時のヒアリング~入会後のサポート・指導結果をタブレットで共有化することも可能だ。スタッフ毎の接客状況も把握し、教育に活かすことも出来る。
②プッシュ通知によるクラブ外サービス強化
クラブ外の会員にも、アプリのプッシュ通知機能で、継続期間や平均来館数、未利用期間など、退会リスクが高くなる事前に、自動又は個別に来館を促すことができる。クラブごとの退会傾向から、人手をかけずに打ち手を講じることが可能になる。
③オフライン・店頭サービスとの連動
管理機能を用いて、来店を促進するイベント開催やポイントサービスを提供できる点もからだステーションの特色である。
実際に同システムを利用したある総合クラブでは、新規入会者の入会1年後の継続率が10%以上アップしたという事例がある。「ある小型ジムでは、導入後に新規入会者の中で退会者がほぼいなくなったというお声も出てきている。小型ジムにおいても差別化・付加価値増のツールとして有効に機能すると考えている。」(土屋氏)。
手厚いサポートも特徴で、納品前の研修や、設定の補助、訪問フォローはもちろん、365日対応のコールセンターやオンラインでもサポートが受けられる。
マニュアル・販促ツールも備えている。「からだステーションは、導入店舗様の意見を取り入れ、常にサービスを進化させており、コンサル型のご提案・サポートに努めています。今後も会員価値向上や、コスト削減に繋がるような新しい機能の開発を行っていく予定です。」こう土屋氏は語る。
健康経営の機運の高まりから、従業員向けにからだステーションを導入・利用する企業も増えてきている。
また、ある医療機関では生活習慣病予防・改善を目的に、日常データの管理ツールとしてからだステーションが利用されはじめた。今後同社では企業や医療機関、フィットネスクラブの橋渡しとなるようなサービスの開発・運営も行っていく方針だ。
(文/FitnessBusiness編集部 通巻101号から抜粋)