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【NEXT 3月特集】 マインドフルネス ヨガ&ピラティス "Pilates"篇

2017.02.25 土 スキルアップ

【Pilates】

CASE #1 - 第二世代ピラティスティーチャー櫻井淳子さんに学ぶマインドフルネス
 
CASE #2 - ピラティススタジオを展開する株式会社ぜんにおけるマインドフルネス
 
CASE #3 - ピラティスの大手流派STOTTピラティスにおけるマインドフルネス
 
CASE #4 - 生理心理の研究を行うピラティスティーチャー高田香代子さんに学ぶマインドフルネス
 
CASE #5 - 米国でピラティスとヨガ両方に精通するトップインストラクターゾーイ・トラップさんの特別インタビュー

CASE #3 ピラティスの大手流派STOTTピラティスにおけるマインドフルネス


世界有数のピラティス流派の一つ、STOTTピラティスでは、これまで展開してきたプログラムを「マインドフルムーブメント」として、全プログラムにマインドフルネスのコンセプトを導入し、指導法の転換を図ってきている。

イントラセプション(内受容)がキーワードに


STOTTピラティスは、これまでピラティス市場の拡大によるニーズの多様化に合わせて、プログラムを拡充してきた。バレエの動きをベースにした「トータルバー」、コアコンディショニングやアスレティックパフォーマンスに焦点を当てた「CORE」、ファンクショナルトレーニングのコンセプトに沿った「HALO」など、それぞれにブランドプログラムとして展開してきた。

2012年の新プログラム「zenga」のリリースとともに、「マインドフルムーブメント」のコンセプトを全プログラムに導入し、指導法の転換を図ってきている。その流れは、2016年の「FascialMovement」の登場に続いている。


STOTTピラティス認定リードインストラクタートレーナーで、スタジオビーキューブでSTOTTピラティス認定コースなども運営、指導する上泉渉さんは、この取り組みについてこう話す。

STOTTピラティスでマインドフルムーブメントのコンセプトを導入してから注目するようになったキーワードに"イントラセプション(内受容)"があります。

これまでは身体や動きのバランスをつくるのに大切な役割を果たすプロプリオセプション(固有受容)に焦点を当てていましたが、この固有感覚を刺激しながら内受容を引き出していく。つまり、動くことで身体に刺激を入れながら、その時にどう感じるかの感覚を磨くことに、焦点をより当てるようになりました。

各プログラムの構成や動きなどは変わりませんが、指導の方法を変えることで、マインドフルネスプログラムとして深化させようとしています。具体的には、インストラクションにおいて、動きを指示するキューイングを少なくし、どう感じているかに意識を向けるキューイングを中心にしていきます。

STOTTピラティスでは、究極的に適切な関節動作(オプティマル・ジョイント・ファンクション)を得る要素として、①構造、②力学、③運動制御、④意識と感情という4つを挙げている。

中でも④に焦点を当て、インテリジェントエクササイズ(意識して動くエクササイズ)として全プログラムを集約しようとしている。

自由に楽しめるピラティスへ


マインドフルネスには、「今の自分に意識を向け、良い悪いの判断はしない」というコンセプトがあるが、まさに自分が感じたことをそのまま受け止めることを促す。

上泉さんは、これにより、ピラティスがより自由なものとなり、より多くの人が楽しめるものになることに期待をかける。「ピラティスでは動きの正確さや、インナーの筋肉や各関節を正しく動かすことを意識する魅力がありますが、時に堅苦しさやむずかしさを感じてしまう方もいらしたと思います。

マインドフルネスとしてのピラティスでは、自分の身体が、感覚に正直に動くことで洗練されていきます。ですので、よりリラックスした気持ちで動けると思います。ただ日本では、自分がきちんとできているか知りたくなったり、効果を感じたいという方が多いとも感じます。

マインドフルネスのコンセプトが日本にも浸透することで、ピラティスでも、より多くの方に身体を動かす心地よさと、心への効果を感じていただければと思っています」

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【zenga】

マインドフルムーブメントのコンセプト導入のきっかけとなった「zenga」。

60分のプログラムで、10~15分の呼吸から始まり、20~30分の筋膜刺激を行い感覚が鋭敏になってから、ダイナミックな動きを10分行う構成となっている。

筋膜を刺激するエクササイズに時間をかけるところが特徴的だが、筋膜には筋肉の何倍もの固有受容器があり、筋膜を刺激することで、膜のネットワークを通じて、神経や脳の働きを活性化することができる。

また、レッスンでは、お客さまの感性を育てるために、各動きの目的や、どの筋肉を動かそうとしているといった説明はせず、「今行った動きを、どのように感じましたか」と感覚的にしか答えられないような問いかけをして、意識や感情に焦点をあてていく。


お話を聞いた方 上泉渉さん
STOTT PILATES認定リードインストラクタートレーナー、株式会社スタジオビーキューブ代表取締役。学生時代の米国留学時、スポーツ医学に出会う。その後柔道整復師 免許を取得。リハビリやトレーニングに携わる中、セルフ・ケアの重要性を感じ、STOTTPILATES 本部(カナダ)にて認定を受け、指導経験を重ねた後、日本でスタジオビーキューブ®を設立。国内外でピラティスの普及と指導者育成に尽力している。

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