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【NEXT 12月特集】世界から見る日本のフィットネス "イギリス"篇

2015.11.25 水 スキルアップ

フィットネス業界が成熟期から、次のステージへの変革期に入っている。これまで世界のトレンドに影響されながら成長してきた日本のフィットネス業界。日本独自のフィットネス文化が息づく中、近年ではインストラクター・トレーナーがダイレクトに世界最先端の情報やプログラムをいち早く日本に紹介し始めている。今回は、日本と世界のフィットネス・トレーニング市場を良く知る関係者に世界的視点から見た日本のフィットネスの現状と今後について訊いた。

イギリスから見る日本のフィットネス
無料~高級まで階級別にフィットネス環境が整備幼稚園からフィットネスを学ぶ

幼稚園でストレッチも筋肉のことも学ぶ

2014年6月からロンドンへ移住しました。まずこちらに来て日本との違いに驚いた点が2つあります。

一つは、公園や中庭のようなスペースにトレーニングマシーンが(すべて自重で行うもの)あちこちに設置してあることです。子供の遊具と並んで設置されていて、もちろん無料で、散歩の途中や、週末などに皆さん集まって体を動かしています。専門的にトレーナーをつけてマンツーマンでトレーニングを行っている方もよく見かけます。木にはTRXがぶら下がっていたり、ヨガマットもあちこち敷いてあって、公園が多いロンドンの環境だからでしょうか、日本との違いを感じます。先日はママたちがバギーを持って行うグループエクササイズも公園で行っていました。フィットネスがとても身近にあり、皆さんの生活の一部になっているように見えます。
 
二つ目に驚いたのは、こちらの幼稚園では、カリキュラムの中にフィットネスが組み込まれていることです。息子が通っている幼稚園では、月曜日はアジリティー、火曜日はテニス、水曜日はダンス、木曜日はフットボール/ラグビー、金曜日はヨーガといった感じで行っています。すべて外部から専門家を招いて子供たちへの指導を行っています。ウォーミングアップやストレッチ、筋肉のことなども教わっているのには驚きました。
 
イギリスは階級制度がある階級社会なので、例えば病院にしても国営とプライベートとあり、国営は登録すれば診察無料ですが、プライベートはとても驚くような診察料を支払わなくてはいけません。恐らくフィットネスについても似ていて、無料で利用できる公園などの施設がある一方で、民間のクラブでは、階級によって利用する場所が違い、料金体系もはっきりしているように感じます。

日本ならではの丁寧な指導や高齢者向けプログラムを強みに


ロンドンに来ていくつかレッスンも参加してみましたが、やはり日本人の指導はとても緻密で丁寧で親切でわかりやすいと思います。世界から見ると日本人にしかできない接客や指導を行っているのではないでしょうか。ただ、我々日本人は集団行動(群れる)ことが好きな人種なので、他人と同じことで安心したり、流行に流されやすかったりするのは、個性が失われてしまうことに繋がるのかもしれません。
 
今後、よりフィットネスを地域に根づかせられるような環境づくりや、高齢化社会である日本ならではのプログラム、様々な身体の問題を解決していけるようなインストラクターを目指すことが大切だと感じます。また新しいものを外国から輸入するだけでなく、日本から輸出できるものを作り出していけるようになると素晴らしいですね。

インタビュー:吉田知子さん
競技エアロビック選手として2006年引退までに12年連続全国大会へ出場、世界大会へは6試合の出場経験を持つ。指導者としてもスポーツクラブの他に高校・専門学校にて非常勤や各種セミナー講師として活躍。 NHKBSのエアロビック番組の制作・出演をはじめ、マスメディアの出演も多数。2014年、夫の転勤ためイギリスへ移住。現在、4歳の考介くんの育児の傍ら、ロンドン駐在員向けにストレッチやトレーニング指導に携わる。

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【記事出典】
月刊NEXT 2016/December No.105 

【企画・構成】
株式会社クラブビジネスジャパン
オンライン事業部フィットネスビジネス編集部:庄子  悟