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【Vol.1-自らが体現者として生き続ける】82歳ロリータ・サン・ミゲェルに学ぶ指導者としての在り方

2017.03.25 土 スキルアップ

2017年2月。ピラティス界の最も偉大な指導者と言われるロリータ・サン・ミゲェルが来日しました。Pilates Aoyama主催による東京ワークショップからスタートし、Pilates BODY STUDIO主催による沼津市でのピラティス指導者養成コースLolita’s Legacy ™(ロリータズ・レガシー)最終試験、及びワークショップと来日記念パーティーが開催されました。

当日は、全国各地から集まった参加者を圧倒的な存在感で魅了し深い情熱で会場を沸かせました。沼津での全イベントを主催し、かつロリータとの特別対談を行った櫻井による「ロリータに学ぶ指導者としての在り方」を、全3回の連載企画でお伝えしていきます。

ロリータ・サン・ミゲェルとは

1934年10月9日生まれ、82歳。ピラティスメソッドの創始者であるジョセフ・ピラティスから公式にピラティス指導者としての認定を受けた2名のうちの1人(現在生きているのはロリータのみ)という稀な存在で、現在でもピラティスを最新の科学とともに発展させながら世界中で伝え続けています。

今回の来日では、どの会場でもロリータが登場すると自ずと拍手と歓声に溢れ、その瞬間から受講者の学びがスタートしました。これは、見るからに整った美しい姿勢や会場全体への配慮、立ち振る舞いなどから滲み出る「ピラティスの体現者」としての在り方から伝わる、言葉を超えた学びでした。

この圧倒的な存在感は、今日まで続けてきた長年の取り組みが裏付けとなっているのでした。

世界最高峰のピラティス指導者への歩み

日本滞在中には、エクササイズだけではなくロリータがどのようにしてピラティス指導者としての道を歩んできたかについても多くの情報が提供されました。ロリータは幼少期からはじめたダンスで輝かしい実績を積み重ねてきましたが、1958年に膝の怪我に悩まされました。その時に訪れた病院の医師に、カローラ・トリエーの元でピラティスに取り組むことを勧められました。これが、ピラティスとの運命の出会いでした。

カローラは、ジョセフ・ピラティスの弟子の中ではじめて自分のスタジオを開設して指導をしていました。ロリータはほぼ毎日通った結果、驚異的な回復を見せ3ヶ月で舞台復帰を果たしたことでピラティスの熱狂的なファンになりました。その後も熱心に通い続けて7年もの月日が過ぎたある日、カローラから「ピラティスの指導者にならないか」と言われたことをきっかけに資格取得のためのトレーニングがはじまりました。

このため、さらなる毎週20時間6ヶ月に及ぶ520時間の見習い生活に取り組み、ニューヨーク州立大学の後援のもとカローラから公式な認定を受けた世界唯一の人物となりました。

その後、カローラのアシスタントをしていたキャッシー・グラントにジョー(ジョセフ・ピラティス)のところに行こうと誘われました。ロリータは、“ミスターピラティス”はすでに他界しているものだと思い込んでいたので非常に驚き、二人ですぐにジョーのところに向かいました。はじめてジョーに会った時の印象を「白髪で黒いパンツと白いタートルネックのシャツを着た、非常に個性的な人物だった」と話しています。

★ワークショップ4

そして今度はジョーから直接学ぶことになったのです。ロリータとキャシーは、ニューヨーク州立大学の職業転換プログラムを利用し、ジョーの元での修行をスタートしました。そして、ここでもまた週20時間6ヶ月、520時間に渡り修行を続けたのです。

ジョーの元で修行している間、残りの時間をカローラのスタジオで過ごすというさらにハードな日々を送りました。またジョーから直接、このメソッドへの想いや信念について多くのことを教えられました。こうして世界でロリータとキャッシーの2名のみが、1967年2月2日ニューヨーク州立大学を通してジョセフ・ピラティスが考案したピラティスメソッドの公式な認定者となりました。

その後、1977年に両親の祖国であるプエルトリコに移りバレエ団を設立しました。このバレエ団では4歳からプロのダンサーに至るまで全ての団員に毎日ピラティスを指導しながら自らも実践し、この活動は2005年にバレエ団の芸術監督を引退する70歳まで続けました。

それ以降は世界規模でピラティスメソッドを教えることに全精力を注ぎ続け、拠点も米国に移しています。

対談をしていて、特に印象的だったのは「今でもピラティスを毎日続けています。たとえどんなに体が疲れていたとしても、ピラティスをやることで、心身ともに良い状態になることを知っているからです」という言葉。82歳になった今も、世界を飛び回りながらピラティスを続けています。

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PB

指導者とは実践者でもある

ジョーはよく「ローマは1日にしてならず」と話していたそうです。ロリータも、まさに忍耐強く継続したことが今の在り方に繋がっていることがわかります。運動指導をする上でテクニックを学ぶことは非常に役立ちます。ですがその基盤となる地道な取り組みこそが確固たるものとして心と体に身につくのだという、「真の指導者とは実践者である」という言葉を誰もが実感しました。

さらには、実践から得た「このメソッドは多くの人や社会の為に役立つ」という信念こそが、圧倒的な存在感として現れているのでしょう。

また、ピラティスに取り組むということは、フィジカル面だけの取り組みではありません。心も体も整った状態であり、日々を幸せに生きることまでが含まれています。来日中のロリータと過ごすことで、ロリータ自身がプロフェッショナルに仕事と休息のバランスをとり、多くのことに関心や感動を抱くマインドを持ち、好奇心旺盛で日々を楽しんでいる姿を目の当たりにしました。

まさに、素晴らしいピラティス体現者そのものでした。
さて、このように59年間ピラティスに取り組み続けてきたロリータは、来日中も「私たち指導者は生涯学び続け、発展させ続けるべきだ。」というメッセージを強調して伝えてきました。

次回は、真髄を貫きながらメソッドを発展させていくロリータの提言を中心にお伝えいたします。

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