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April,2015 www.fitnessjob.jp15子育てや介護と仕事との両立は、現代の女性が共通に抱える大きな課題である。その中でも、力づよく役割を全うしつつ、自身や家族の闘病生活で学びを深め、それを仕事に活かしていることが、多くの縁を呼んでいる。全力で日々を生きる真摯な姿勢が高く評価された。受賞理由仕事と子育ての両立には欠かせない車とiPad。そしていつも行動を共にしている手帳と、パーソナル指導で使用するエクササイズギアインストラクターとしての活動の原点で、現在も大切にしている高齢者サークル。年に2回の食事会ではレッスン以外のお話がたくさん聞ける楽しい時間母と妹のサポートなしでは今の活動は成り立ちません。19年前、親子3人でダンスのステージに立っていた頃の写真高齢者サークルレッスン風景シナプソロジー教育トレーナーとなり、様々な方と繋がることができ、学びや刺激が増えた。養成講座前に教育トレーナー・ディレクターとパチリMUST ITEM!ちを強めることになる出来事が重なった。 ひとつは自身の乳がんが発覚したこと。そしてもう一つが、ほぼ時を同じくして父がすい臓がんを患い、余命13ヶ月を宣告されたことである。幸い自身の乳がんは、できる治療をすべて行い、術後5年を経て小康状態を保つに至っている。父は、その後3年間命をつなぎ、高橋さんも家族も「できる限りの孝行ができた」と感じる中、見送ることができた。その経験を通じて、2つの思いが心に残っていると話す。 「一つは、自分がインストラクターの仕事を通じて伝えたいと思っているのは『命』だということです。父の死へのカウントダウンが始まってから『死』と向き合う時間が長く、今の時間を大切にしたいという思いばかりが募っていました。父が逝った後も、自分の乳がんがいつ再発するか分からない恐怖感から『死』にばかり目が向いていたのですが、ある時、『高橋さんが伝えたいのは命なんだね』と言われて、ハッと気づいたんです。確かにインストラクターの仕事を通じて感じていたかったのは、1分1秒をわくわく過ごしたい。そこで『生きること』『命の大切さ』を伝えようとしていたんだと気づくことができたんです」 そして、高橋さんが壮絶な経験の中で心に刻んだもう一つのことは、「笑うことの大切さ」。 高橋さんは、地域の仕事を何より大切にしていることから、自身の闘病、父の介護を続けながらも、レッスンを休むことはなかった。レッスンに行けば、つくり笑いもする。その後シナプソロジーの仕事に携わるようになってからは、それをするだけで参加者の方から自然に笑顔がこぼれ、それにつられて自分も笑顔になる。どんなに辛く過酷な環境でも、つくり笑いでも続けることで心が救われ、次第に自然に笑えるようになることを経験した。「最近は、バカ笑いもできるようになりました」と、はにかむ高橋さんは笑顔の有難さを誰より知る一人。だからこそ、今では指導でも、日常でも笑顔を欠かさない。笑顔が自分をも強く支えてくれるから。夢を持って、学び続ける 癌の治療は術後5年が目途とされているが、2014年で5年を迎えた高橋さんは、「改めて夢を持てるようになった」と話す。そして、その夢とは「3年バカ計画」。とにかく「こいつバカだなぁ」と思われることをやろうという計画だと話す。 具体化していることの一つが、「イタリア留学」。以前イタリアリミニに短期留学をして以来、いつか長期留学を果たしたいという気持ちを持っていた。その後もイタリアとは様々な縁があり、イタリア行きを実現する環境は整いつつある。イタリアに行って、日本が生まれのフィットネスやエクササイズを紹介したいと夢をふくらませる。 もう一つは、「フラッシュモブ」。フラッシュモブとは、もともとインターネットやクチコミで不特定多数の人々が申し合わせて、雑踏の中の通りすがりを装い公共の場に集まり突如としてパフォーマンス(ダンスや演奏など)を行うもの。 「メンバーさんと一緒にやれたら楽しいなって、ひそかに計画中なんです」 そして、ピラティスインストラクターとしての勉強にも、さらにお金と時間の投資をしていく計画だ。 「私は母の背中を見て育ってきましたが、その母も、祖母から『人を教えるためには自分も常に習っていないとだめ。勉強を続けなさい』と教えられたと良く話してくれます。母は、現在も仕事も現役で、ダンスをはじめ母自身のレッスンも続けています。私が仕事で出会った尊敬する教育トレーナーの先輩方も、常に広い分野のことを学び続けている方ばかり。私もそうあり続けたいと思います」 これまで5年間、自身の命や役割と向き合い、真摯にそれを全うしてきた高橋さん。だからこそ「生きること」「つながること」の大切さが伝えられる。2015年から再び新たな夢に向けたチャレンジがスタートする。人生満足度+100%0%20062005200420032002200720082009201020112013201420152012高橋さんのこれまでの仕事人生グラフ母のアシスタントとして勉強になり、楽しかった長女出産 仕事を一年間休職鎌倉市見田記念体育館オープンに伴いエアロビクス、キッズダンス講師スタート仕事と子育ての両立で大変だったり、学びの時間がなくて悶々としていた長男出産 産後1か月で復帰したものの、仕事を続けるべきか転職すべきか迷う両立は大変だったが学べることが楽しくて仕方がなかったルネサンス港南台ジムトレーナーとして勤務・高齢者サークル指導スタート病気発覚 。ピラティスIR資格修得闘病中も仕事を継続。ルネサンス契約インストラクターになる神奈川県体力づくり体操連盟理事就任。シナプソロジーIR修得ひめトレ教育トレーナーになり、初めて子どもを預けて福岡出張。シナプソロジー養成コース開催様々な職種の方と繋がり、仕事の幅が広がる5年治療終了。夢をもって仕事に取り組めるようになる父他界。シナプソロジー教育トレーナーになる

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