NEXT97
13/52

April,2015 www.fitnessjob.jp13過疎が進む城下町という、商売を成長させるには二重も三重もの逆風が吹いている地で、着実に実績を積み、ビジネスを成長させてきていることが高く評価された。また、スタッフ育成についても具体的施策がなされており、今後事業が大きくなっても強いチームが創り続けられる仕組みが構築されつつある。将来の夢に向けて戦略的・具体的に取り組んでいる。受賞理由での商売を軌道に乗せるまでには果てしない努力があった。 「お金がなかったので、物件の保証料もオーナーさんに交渉して1年後に半分を後払いする了承を得たものの、1年経っても赤字が続いていました。ただ、オープン時たった一人だったお客様の和が確実に広がってきていたことで、自分の信念を大切にビジネスを育てることができました。私は独立する以前の仕事で、理念があっても経済的に不安定だったことで身体をこわし、その後、経済的安定を手に入れたものの人間関係のストレスで心を病む経験をしました。その経験から、いくら素晴らしい理念を掲げて価値ある仕事をしても、自分が心身ともに健康でなければ目的を達成することはできないと痛感したんです。だから、難しい状況の中でもまず自分が健康でいること。そして、家族、スタッフ、お客さまの健康も、自分ごととして大切にしています。そのうえで、社会、国家、世界へと、一歩一歩規模を広げていきたいと思っています。社名の『グローバルヘルスプロモーション』には『世界中のすべての人が心豊かに幸せに生きること』への思いを込めていますが、今は愚直に、その礎づくりをしています」 山村さんは7人家族。4男1女の、5人の子どもたちに存分に愛情を注ぐお父さんだ。忙しい仕事の中でも、布おむつの手洗いから、キャンプや旅行、サッカーの試合の応援にも行く。奥様にも、結婚記念日と誕生日には必ず2人で食事に行き、一人の女性として輝く時間をプレゼントする。お互いを大切に思うことが元気と健康のもとだ。 人材育成については、徹底して人間力と専門力を高められる環境をつくっている。「個を良くするのではなく、全体を良くすることで、そこにいれば自然にみんなが良くなる」環境づくりを進めていると話す。ここでもスタッフ自身はもちろん、スタッフの家族もが、心も身体も健康でいられることを目指している。 いくつかユニークな取り組みを挙げると、例えば朝礼。毎朝全店舗のスタッフ全員が集合して15分間で行われる朝礼では、瞑想から始まり、挨拶訓練、社訓唱和、ナンバーワン宣言、今日の行動指針、感謝したい社員、お客様自慢、ハッピートークなど、志を一つにして、前向きに具体的に取り組むことをお互いに宣言する。円陣を組んでスタートする1日は、最高のチームワークと生産性が発揮されることになる。その他にも、「両親への手紙」「バーベキュー大会」「(田舎町の)お祭り参加」など、家族や地域に感謝の気持ちを伝えたり、楽しい時間を共有する機会を数多くつくっている。専門性に関しては、研修や勉強会はもちろん、「夢ミーティング」「ビジョンモチベーション」など、スタッフ自身の目標や仕事の目的を確認する場を設けることで、自主的に自身を高められるようにしている。一人ひとりが常に自分に何ができるかを考え、それを実行に移す習慣をつけることで、お客さまへ、地域へと本質なサービスが提供できることになる。 こうした社内環境も、試行錯誤を経て今の形になったと山村さんは振り返るが、スタッフたちは、「会社に来るのが本当に楽しい」と定着率も高く、強いチームの基盤が確実にできている。日本の和の精神を、世界に 山村さんの将来の夢は大きい。「動物も自然も宇宙も人間も愛に包まれ、本当の意味で、国家間や人種間に境界線がない状態を実現すること」。日本の和の精神や大和魂を持ち、フィットネスを手段として実現していくことを目指す。それを、同社の行動指針にもある「Think globally, Act locally, Play full Fun」に沿って具体的に行動している。実際に、山村さんのトレーニング指導も会社経営も、大きな愛をフィットネスという手段を通じて伝えようとしていることが分かる。お客さまやスタッフ一人ひとりのありのままを認め、感謝し、自信を惹き出して、つながりを増やす。そのアプローチが、確実に和を広げてきているのだ。 社名にもあるとおり、会社設立当初から世界に目を向けたのは、幼少期から世界の様々な人と触れ合う機会を両親が与えてくれたからだと話す。社会福祉の仕事をする父と、保育士の母のもとで育てられ、家にはホームステイする外国人が出入りした。小学5年生でバングラデシュを訪れた時には、ストリートチルドレンとされる同年代の子どもたちと寝食を共にした。国境も貧富の差も超えて、誰もが健康を享受し、笑顔でいられる世界の大切さは、子ども心に刻み込まれたこと。一人ひとりの課題を解決しながら、そこに近づくことが、育ててくれた両親や先祖への恩返しと、強くしなやかな心で未来を見つめる。 直近では2015年に、下関にリハビリトレーニングや、「脳」や「動作」を鍛えるメディカルコンセプトのジムと、2020年のオリンピックを見据えたジュニアアスリートのパフォーマンス向上に特化したジムをオープンすることを計画。あと数年は下関で、各マーケットに特化したビジネスモデルを構築しながら課題解決力や環境対応力を高めていく。その経験と実績を持って、日本へ、海外へとその和を広げていく計画だ。 高齢化、過疎化をはじめ、課題を多く抱える下関で、強いチームをつくりながら着実に歩を進めるトレーナー山村勇介さん。下関でまた一つ、時代が動き始める。創業当時、長男が父の日にプレゼントしてくれた絵。会社のデスク前に飾り、毎朝朝礼後にこの絵を見ている。多くの方の応援と支えに感謝の気持ち、初心忘れず専門家向けの研修講師に留まらず、津々浦々、業界外からも講演依頼多数毎年出場している地元の市民マラソン。海や山での自然遊び、キャンプなど、家族の時間を大切に過ごすMUST ITEM!人生満足度+100%-100%0%20062005200420032002200720082009201020112013201420152012山村さんのこれまでの仕事人生グラフ仕事の失敗の連続知識やスキル、社内や業界の厳しさを痛感担当レッスン数や仕事の幅、お客様が増え、充実し始めた矢先、経営悪化により給与が激減「好きな仕事」と「一家の主としての責任」で葛藤し、1年後の退職を決意会社退職地元に帰省し大学へ編入学熱意と愛情で行動し続け、評判が広がりオファーで予約が一杯に。指導者派遣事業開始本物の健康情報を伝える、地域の重要なコミュニティを創りたく、念願の店舗オープン多くの方の支えがあり、OPENしたにも関わらず、経営の苦難が続き、職員にも裏切られる。倒産のピンチ職員が増え始め、経営者としての仕事やマネジメントの問題にぶつかる新下関店OPEN浜浦店OPEN現場のトレーナーとして活動再開トレーナーと経営者の二足のわらじの限界を感じる。海外での学び、活動を増やす業界の最先端知識、多くの深い学びを経験し、弊社理念「健康教育で 人々を幸せに」の実現に向け邁進断固たる決意で行動し、お客様が増え、仕事の幅も広がった体調が回復、一念発起し起業(株)GHP設立心は安定、経済は不安定な日々尊敬する先生のトレーナー会社就職結婚守るべき家族ができ、必死に働く貪欲に学び、働き、仕事や運動指導の楽しさを感じ、徐々に自信が芽生え始めるNSCA-CPT資格取得大学卒業管理職昇進し、ストレスを抱えながらも仕事と家庭の安定を獲得人間関係のストレスにより1年間体調不良服薬の量が増えても効かず、精神的にも病んでいく安定を捨て、病院退職衣食住を倹約し、勉強にお金を投資健康運動指導士資格取得病院就職健常者ではなく生活習慣病患者を中心に運動療法を開始

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です