NEXT93
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験を持ち、ペプシ、スターバックス、デルコンピュータをはじめ、フォーチュン500(米国の総売上高トップ500社)に入る数々の企業でアドバイザーも務めてきている。1996年IDEAフィットネスインストラクター・オブ・ザ・イヤーをはじめ、数々の賞を受賞。エクササイズDVDも多数ヒットさせ、インターナショナルプレゼンターとして世界各国でワークショップも行う傍ら、ニューヨークのイクイノックスでアドバイザーも務めていた。ブラニックさんと以前一緒に働いたこともあるアーニーさんは、その仕事ぶりをこう振り返る。 「ジェイは相手の気持ちへの理解や状況を判断して何が求められているのかを理解する力がずば抜けています。当初グループエクササイズインストラクターとして頭角を現しましたが、参加者のモチベーションを引き出す逸材で、その後大手フィットネスクラブのプログラム開発に携わるようになると、その開発力とマスタートレーナーの育成力でも高い評価を受けました。その後大手企業の仕事を受けるようになると、経営陣たちとのコミュニケーション力や理解力を発揮し、フィットネスプロフェッショナルとしてフィットネス業界以外でも活躍できることを証明してくれました」 テクノロジーの進化でフィットネスを取り巻く環境が大きくかわりつつある。相手への理解力と状況判断力を磨くことで、フィットネス指導者の社会的価値を大きく高められるチャンスが広がりつつある。課題解決に活用できる可能性があり、大手企業が参入してきているが、そのデータ収集には、一般生活者が継続的にそうしたデバイスを使用する必要がある。その継続利用を促すうえで注目されているのが、リアルな人による指導サービスだ。例えば、健康維持増進のための食事の指導ができる栄養士や、運動の指導ができるインストラクターやトレーナーなどによる個別指導は、今後データが増えるほど、オンライン・オフラインともにニーズが高まることが予想される。米国では、オンラインで栄養士やインストラクター・トレーナーによる指導が受けられるサービスも増えており、リアルタイムでの指導環境も整ってきている。 さらに、インストラクターにとってのビッグニュースがある。米国トップインストラクターとして知られるジェイ・ブラニックさんがアップルウォッチのヘルス&フィットネス部門の開発プロデューサーに就いたことだ。アップルといえば、今世界最先端の開発を進める企業の一つ。そこで、トップクラスのエンジニアたちとともに、フィットネスの専門家として、開発に参画しているのだ。ブラニックさんは、これまでにもナイキやノーチラス、シュウィン、ゲータレードなど大手企業でもチームを率いた経験を持ち、フィットネス指導者の専門性と発想力が、最先端の商品やサービス開発分野で必要とされていることを証明してくれている。 ジェイ・ブラニックさんは、グループエクササイズからパーソナルトレーニングまで幅広い指導経ピラティス市場の中心はメディカル分野へ ピラティス創始者のジョセフ・ピラティス氏が、自身が考案したピラティスメソッドを広めるべくアメリカに渡ったのが1926年。身体や動きの軸に敏感なダンサーにまず広がり、次第にアスリートからセレブに広がり、フィットネスクラブにも導入が進んだのが1990年代。米国ではブティックスタジオの先駆けとして専門スタジオが増え、現在も専門スタジオ、フィットネスクラブともに高付加価値のフィットネスプログラムとして支持されている。 米国でのピラティスブームを受けて日本でもピラティスレッスンや指導者養成コースが受けられるようになったのが、2005年前後。日本ではピラティスの本質的価値が広く認識されるまでに時間を要したものの、現在に至るまでに底堅い人気を集め、スモールスタジオを中心に浸透している。 日本でいち早くピラティス指導者の育成に乗り出し、現在もスタジオ経営、指導者育成をはじめピラティスの啓発を進める高田香代子さんは、ピラティスの最新動向についてこう話す。 「米国のピラティス界の大きなトレンドとして、市場の中心がメディカル分野に近づいてきていることが挙げられます。理学療法士のピラティス指導者も増え、病院でのリハビリとしてピラティスが提供されることも増えていることがその要因です。また、ピラティススタジオと理学療法クリニックを併設するケースも増えてきています。これにより各種の関節症や認知療法としてのピラティス効果のエビデンスも揃ってきており、エクササイズとしての本質的な価値が浸透しはじめています。ですが、一方で健康づくりのためのピラティスとしてのエビデンスは少ないのが現状です。つまり理学療法士がリハビリの一環としてピラティスを活用することは今後も拡大が見込まれますが、認定インストラクターとしてメディカル的な分野に踏み込むことはまだできません。今後ピラティス指導者は、この違いを認識したうえで指導を行う必要があると感じています」 日本でのピラティスは、フィットネスプログラムというより、ピラティス専門スタジオでのレッスンとして浸透が進んできている。その経緯から、日本ではフィットネスの知識や指導経験を持たず、ピラティス指導者になる人も増えてきている。今後フィットネスや健康づくりに広くピラティスが浸透するためには、指導者が総合的な健康づくりに関する知識や指導力を備えることも必要となる。高田さんは、世界的にピラティスがメディカル領域でニーズが高まっている動向を踏まえ、今後、国家資格を持つピラティス指導者が増えていくことを期待している。エルダーから、指導者の世代交代へ 米国では現在も数百のピラティス流派があるが、なかでもフィットネス領域に近い指導内容として知られるのがピークピラティス、メディカル領域に近いのがポールスター、というように棲み分けも進みつつある。それぞれの流派がターゲットする分野や提供しようとしている価値を差別化してきていることも、近年の一つのトレンドといえる。 もうひとつ、ピラティス業界で注目される動向の一つとして、「エルダー」と呼ばれる直接ジョセフ・ピラティス氏に育てられた指導者が少なくなってきていることがある。もともと10人と言われていたエルダーの中でも、現在も存命中の指導者は2人。徐々に指導者の世代交代が進むことでピラティス業界の再編が進むことも予想される。ピラティス最新事情お話を聞いた方高田香代子さんピラティスアライアンス代表恵比寿と鎌倉にピラティス専門スタジオを経営。養成コースやワークショップ企画・開催も定期的に行っている。ピークピラティスマスターインストラクター。ピークピラティスフル認定、ストットピラティスフル認定。海外のフィットネスプログラム情報にも通じており、株式会社文教センターで商品開発や海外プログラムの輸入などに携わる。14December,2014 www.fitnessjob.jp

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