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NASMの教科書には、実は「ファンクショナルトレーニング」という言葉がない。「トレーニング」の要素を、「ファンクショナルフレキシビリティ(機能的柔軟性)」「ファンクショナルバランス(機能的バランス)」「ファンクショナルエフィシェンシー(機能的動作効率)」「ファンクショナルストレングス(機能的筋力)」という言葉で分けつつ、機能的な身体の動きをつくることを提唱している。 NASMの資格保持者が特にフィットネスクラブやマイクロジムなどR-body projectコンディショニングトレーナーR-bodyアカデミーNASMコース講師 米国BOC公認アスレティックトレーナー(ATC)で、NASM公認パフォーマンスエンハンスメントスペシャリスト(NASM-PES)およびNASM公認パーソナルトレーナー(NASM-CPT)の資格を持ち、現在日本でのNASM認定コースの講師を務める。 日本オリンピック委員会(JOC)医科学強化スタッフ・バドミントン日本代表チームトレーナー(2002-2004)などを経て、現在アマチュアチームトレーナー、大学講師などとしても活躍中。お話を聞いた方八田倫子さんファンクショナルトレーニング基礎理論 NASMにおける ファンクショナル トレーニングの基礎理論 NASMの推奨するトレーニングのプログラミングの基本理論はOPTモデル(Optimum Performance Training)とよばれるパフォーマンスを最適化するための理論。表のように大きく3段階、合計6段階でターゲットするトレーニング要素レベル分けし、土台を積み上げていくようにトレーニングをプログラミングしていく。 ターゲットするトレーニング成果は、「スタビリティ」という動きの安定性をつくる段階、「ストレングス」という動きの強さを増す段階、「パワー」という必要な時に必要な力を発揮すべく、力に加えてスピードの要素を加える段階に分けられているが、具体的なトレーニングは、「フレキシビリティ」「コア」「バランス」「リアクティブ(パワー)」「レジスタンス」で構成される。 「スタビリティ」では、フレキシビリティやコア、バランスなどのトレーニング要素が多くなり、段階が上がるにつれて、より高度な「ファンクショナルストレングス」と「神経筋効率」を達成するトレーニングが付加されていく。 理論開発マイケル・クラーク氏 理学療法士で、米国バスケットリーグ(NBA)のトップチームの一つ、アリゾナフェニックスサンズのトレーナーとしても活躍した。スポーツ医科学のエビデンスに基づき、人間動作科学、機能解剖学、運動生理学、キネシオロジー、機能評価、プログラムデザインなどすべての要素が盛り込まれている。 基本理論 NASMでは、トレーニング理論として「インタグレーテッドトレーニング」という概念を用いており、「ファンクショナルストレングス」と「神経筋効率」に着目している。神経―筋の反応にアプローチして適切な「動き」をつくる理論といえる。 「ファンクショナルストレングス」とは、動作が「加速」「減速」「動的安定性」という3つのフェーズで構成されていることに着目し、そのどのフェーズでも身体を安定させつつ、適切な筋力を発揮できることを目的としている。つまり、静的な状態での筋力発揮でなく、動いている状態での適切な筋力発揮を実現していくことを目指している。 「神経筋効率」とは、上記の3つのフェーズで、「主働筋」「拮抗筋」「協働筋」「安定筋」を相乗的に動員することが必要で、それぞれの動作で働く筋肉を「フォースカップル」と位置付けるとともに、それぞれの筋肉が協調しながら適切に効率的に身体を動かせるよう中枢神経を機能させることを主眼に置いている。ここでは、効率的な力の発揮を制御する要因にも注目する。そのため、それぞれの筋肉の長さを適切に保つ筋膜リリースやストレッチなどによる「フレキシビリティトレーニング」、拮抗筋を緩めることで主働筋の出力を最大化させる「相反抑制」、主導筋の筋力を最大に発揮させる「コアトレーニング」などの理論も含まれている。そのうえで、同じ筋力でも、筋の伸長反射を利用することで強い力が発揮できる「ストレッチショートニングサイクル」を上手く利用するトレーニングに繋げていく。NASMにおける基礎理論米国でファンクショナルトレーニングの指導者資格として多くのトレーナーが習得し、フィットネスクラブやマイクロジムなどで活躍している人が多いNASM認定。米国ではこの資格を持っていることでトレーナーとしてのキャリアの選択肢が広がり、高い報酬が得られるとされている。sec1 セッションの基本構成●フレキシビリティ:セルフ筋膜リリースおよびPNF神経筋ストレッチ。および必要な部位にスタティックストレッチやアクティブアイソレーテッドストレッチを行う。アスリート向けトレーニングで、すぐ後に最大筋力の発揮が求められる場合はダイナミックストレッチを行う。●コア:腹圧を高めるとともにインナーマッスルの動員。体幹部を安定させるフォースカップルのバランス調整●バランス:静的バランスから動的バランスへ移行し、「加速」「減速」「動的安定性」のそれぞれにおける姿勢や動きのバランスを習得●リアクティブ(パワー):ストレッチショートニングサイクルを活用し、少ない力で強い力を発揮できる動きの習得●レジスタンストレーニング:必要な筋力を高めるトレーニング※目的に応じて流れや組み合わせを変えるNASM資格者のファンクショナルトレーニングマーケティング12July,2014 www.fitnessjob.jp

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