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で日本の職人が編むという最高技術で作ってくれる工場を探し当てた。高原価の商品提供を支える環境 日本のものづくり技術を集結させていることから、もちろんコストは高い。だが、職人の技術できめ細かい調整で品質を保つことができる。例えば綿は年によって質が違うが、編み方や縫製で微調整が加えられる。また、問屋を通さず直接工場から仕入れユーザーに販売できることで中間コストを削減しながら小ロットでも商品を流通できるシステムが構築できる。こうして、コンスタントに商品を市場に提供できるビジネスモデルが出来上がった。 在庫を朝川さんが拠点を置く宮城県多賀市の会社の本社敷地内に置くことでもコストを低く抑えていた。だが、2011年の東日本大震災後の津波で、社屋が全壊、商品が流されてしまう。朝川さんにとっても厳しい環境となったが、被災地での復興への機運を高めるためにも、フィブラソックスを力強く市場に出し続けたいと工場の協力も得ながら生産を再開させ、現在マーケティングにも注力している。開発者の朝川さんはこう話す。 「ソックスという市場で、高い原価で高い耐久性を保つ商品は利益に繋がりにくく、大手や海外ブランドも参入しずらいと思います。だからこそ、その本質的な価値を求めるユーザーに、この地でこの環境だから作り続けられる、本質的な価値を備えた商品を提供し続けたいと思います。」オリティが落ちてきていることを感じていた。そして約7年前、とうとう安心して履けるソックスがなくなってしまったこと。それを機に、「それなら自分で作ろう」と開発に着手した。 欲しいソックスの仕様は明確だった。製造中止になってしまったお気に入りのソックス。15年間使い続けても安心して履き続けられていたものだ。その当時、ソックス市場を賑わせていたのは、特別なコンプレッション機能をアピールするものだった。だが、トライアスロンで何十時間もの運動を快適に続けられるのは、何より全体を快適にサポートして、肌への刺激が少ないベーシックなもの。汗をかいても伸びたり不快感を与えないとにかく“自然”“基本” を大切にした素材と形だと感じていた。 そこでまずこだわったのが糸である。糸を探すことだけでも3年がかかった。素材は綿に絞り、独特な縒り方で理想とする素材がつくれる糸を製成できる工場にめぐり合う。その次は縫製技術だ。ここでも、世界を探しても珍しいイタリア製の機械糸と製法にこだわり抜いた商品は高原価。ユーザーに直販、在庫は自社内に置くなど、中間コストをなくして商品の継続供給を可能にしている24March,2014 www.fitnessjob.jp

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