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ピラティスでの体幹感覚を再現したい コアヌードルの開発は、稲葉さん自身の持病である脊椎すべり症による痛みが、ピラティスで改善されることに気づいたことに始まる。約10年前、稲葉さんはロサンジェルスのマウントサンアントニオカレッジでアスレティックトレーナーとして働いていたが、自身の腰痛改善については小康状態が続いていた。大学のダンススタジオで実施されていたピラティスに参加するようになってから腰痛が気にならなくなっていたことに気づくと、自身のトレーニングに採り入れようと試みるようになる。ところが、ピラティスレッスンの時のように体幹を意識することがなかなかできない。手軽に利用できるギアとして、当時から米国で浸透していたフォームローラーに目をつけたものの、その高さと硬さから、その上に仰向けに寝ると、骨盤が前傾してしまい痛みが出てしまう。そこで、近くにあったプールのヌードルに目をつけた。 ロサンジェルスと言えば、プール付きの家も多く、プール用ヌードルは大型量販店などで多種多様に販売されている。安いものでは1本3ドルくらいからある。そこで、太さや素材が違うものを買い揃えては何とか体幹を意識できるものはないかと実験する日々が始まった。 最初は様々な太さを1本で試してみたものの、骨盤が前傾しない高さの場合、ヌードルが潰れてお尻が床についてしまう。それが複数本数を敷くことで解決され、それを前提に素材を探すことに切り替えた。しかし、プール用ヌードルは、水に浮くことを優先して作られているため耐久性がない。使い始めはちょうど良い形状であっても、3回も使うと潰れたまま復元されなくなり、買い替えなければならなかった。1本数ドルとはいえ、これでは不便。そこで、稲葉さんは日本に帰国した際に、理想のヌードルが製造できる工場を探し始めた。 広いネットワーク持つ知人の協力で、 製造できる会社を見つける事ができ、商品開発がスタート。自然な生理湾曲を包み込むような理想の柔らかさを追求し、試行錯誤の後、 1年で製品化に漕ぎ着けた。そして、2004年には「ヌードルを筏状に並べて使う」ことを実用新案登録し、その年に日本で「コアヌードル」の発売を開始した。稲葉さんはこう話す。 「とてもありがたいことに、商品開発には多くの方々に協力いただき、臨床実験も何度も実施することができました。また、製造工場の努力により、私の追求した自然な生理湾曲を保つ理想の柔らかさを実現する商品が出来上がりました。コアヌードルの絶妙な不安定感を作り出すために中心に空洞を空けていますが、通常の金型製法では、1mもの空洞を真ん中に作る事は厳しいのです。それを 押出発砲成形という製法を採用する事によりその不安定感を実現することができました。また、コアヌードルの特徴である独特の柔らかさと形状復元性は、 EVA系樹脂という特殊な素材を使う事により生み出されています。この EVA系樹脂の配合もコアヌードル専用に調整しています。この素材を押出発砲成形製法に取り入れることはとても難しく、細やかな日本の製造工場にしか製品化することができない技術でしコアが意識できる体幹トレーニングギアが治療院や高齢者市場に浸透Hit File06元全日本バレーボール選手の稲葉晃子さんが、自身の腰痛改善にと開発したコアヌードルが、日本では高齢者に浸透。2004年に発売を開始し、現在までに累計2万本を販売するに至っている。コアヌードル開発者ロマージュ株式会社 代表取締役 稲葉晃子さんMarch,2014 www.fitnessjob.jp19

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