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HIIT:High Intensity Interval TrainingBurgomaster et al(2008)の研究30秒間の全力ペダリング運動を4~6セット実施する群と最大酸素摂取量の60%の強度で40~60分間に持続的ペダリング運動を行う群とが6週間トレーニングを実施。その結果、最大酸素摂取量やクエン酸合成活性(筋有酸素能力と関連)は両群とも有意に増加し、両群間に差が認められなかった。Gilbala et al(2012)の研究最大酸素摂取量の80~90%の強度で60秒間の最大下ペダリング運動を60秒間の休息を挟んで10回反復した結果、30秒間の全力ペダリング運動を用いた従来のHIITや長時間有酸素トレーニングと同様に、全身持久力を向上させることが可能である。Little et al(2011)の研究最大心拍数の80~90%の強度で60秒間の最大下ペダリング運動を10セット、週3回、2週間実施した。その結果、24時間当たりの平均血糖値が有意に低下した。Stein et al(1990)の研究最大心拍数の75%の強度で行う有酸素運動はHDLコレステロールの改善効果が認められたが、65%の強度では変化が認められなかった。Tabata et al(1997)の研究最大酸素摂取量の170%に相当する強度で、20秒間の運動を10秒間の休息を挟んで8セット実施(合計4分間)。その結果、6週間で無酸素性持久力と有酸素性持久力が28%増加した。HIITの導入法High Intensity Interval Training[ハイ インテンシティ インターバル トレーニング]菅野昌明さんNPO日本トレーニング指導者協会理事、教育・交流委員会委員長1987年より民間フィットネスクラブにおいてチーフトレーナー、ディレクター、事業部長などを歴任。1995年よりプロレーサー、ラグビー、ラクロスなどのコンディショニング指導を行う。また、大学や専門学校などで非常勤講師を務める。株式会社エム・スポーツコンサルティング代表取締役社長。論文や書籍、講演も多数。お話を訊いた方ACSMの有酸素運動のガイドラインの比較(抜粋)トレーニング方法とその効果(Cooper,1982)出典:ACSM’s Guidelines for Exercise Testing and Prescription (Seventh Edition)2006 ACSM’s Guidelines for Exercise Testing and Prescription (Eighth Edition)20112006年のガイドライン2011年のガイドライン強度酸素摂取予備量の40/50~85%酸素摂取予備量の40~60%強度での運動が成人の健康・体力を改善させるための最低強度として推奨される。しかしほとんどの成人では中等度と高強度(酸素摂取予備量の60%以上)の運動を組み合わせが健康・体力の改善を達成・維持することができる理想的な運動である。時間20~60分間の継続的な運動あるいは10分の運動を1日に何度か繰り返す中等度の運動を1日30分以上または、高強度の運動を20~25分または、両者の組み合わせを20~30分以上頻度週3~5回中等度の運動:週5回または、高強度の運動:週3回あるいは、中等度と高強度の運動を組わせた週3~5回的持久力を高めるトレーニングを行います。これがインターバルトレーニングやレペティショントレーニング(間に完全休養を挟む)などで、LSDから段階的にこのトレーニングに移行します。また、単に高強度なスプリント走を間欠的に繰り返すだけではなく、パワーや敏捷性の要素を取り入れたエクササイズを組み合わせて行うこともあります。したがって、一般の方もまずスタンダードな有酸素運動から始め、その後にインターバルトレーニングやこれに類似する方法を段階的に採用するといいでしょう。 高強度運動と完全休息、あるいは低強度運動を組み合わせた場合には、心拍数の増減が著しいため、不整脈を引き起こしやすくなるという。そのため、導入には対象者の体力レベルや健康状態の確認が必要となる。、フィットネスシーンでHIITを行う場合には持続的な有酸素運動で・VO2Rの70~80%程度の強度でトレーニングを行うことができる水準に達していることが望ましいと菅野さんは言う。また、はじめは心拍数の変動を少なくして、徐々に高強度運動の強度を高めるように注意することが必要。また、高強度運動は整形外科的傷害の発症リスクも増大するため、動作様式によって生じる可能がある外傷や障害を理解したうえで、エクササイズを検討することもも重要なポイントとなる。 「さらに導入に際しては、局所的な疲労の蓄積を予防するために、実施するエクササイズや配列に注意することも必要です。一般の人でも、パワーや敏捷性の要素を取り入れたエクササイズを高強度運動に組み合わせれば、バリエーションも増えて、加齢に伴い低下する体力要素を総合的に高めることもできます」HIITの可能性 今後、パーソナルトレーニングやスタジオプログラムへのHIIT系プログラムの導入についてはこうアドバイスする。 「HIITの効果を示す先行研究は、共通して20~60秒間の高強度運動を行っているため、エネルギー供給システムは解糖系を用いることが前提条件となります。その強度ー時間関係で大筋群の多くが活動する運動様式であれば、年齢や体力水準に応じて多くのプログラムを創造することができるでしょう」本物のトレーニングを一般生活者にも 「HIITは、エビデンスにもとづいた本物のトレーニングメソッドですから、アスリートでも一般の人でも、誰にとってもいいものだと思いますよ。僕は、そもそもアスリートがやっているトレーニングは、一般の方にもフィットするという確信があって、『R-body project』を創設しました」 そう話し始めた鈴木岳さん。ただし、提供の仕方に大きなポイントがあると言う。 「アスリートと一般の人のトレーニングにおいて、何が大きく違うのかを考えた時、それは、サービスの違い、つまりオーダーメイドの度合いに違いがあります。アスリートは、こうなりたいという目標に対し、周囲に、栄養、心理、トレーニング、治療などの専門家がいて、その矢印が自分に向かっています。しかし一般の人は、周囲にはそういう専門家がいませんから、自分で探さなくてはならない。つまり矢印が外側に向かっているのです。今はフィットネスの情報はあふれているけれど、自分にとって何がいいのかがわからない。そしてとりあえず自分で選ぶ本物のトレーニングとしてのHIITの可能性 鈴木岳有酸素性能力筋力レジスタンストレーニング変化なし30%以上増加持久力トレーニング15~25%増加0~12%増加サーキット・トレーニング5%増加18%増加スーパー・サーキット・トレーニング12%増加23%増加July,2013 www.fitnessjob.jp13

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