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がるヒントがあると感じている。 「特に佐保田先生がいなかったら、今、日本にこんなにヨガは浸透していなかったでしょう。当時、習いに来ている方はほとんどがおばあちゃんやおじいちゃん。その目的は、体の不具合、病気の改善のためのようでした。その後、私は、廣池ヨーガに出会いましたが、そこでは『生活ヨーガ』を提唱していて、台所や就寝前のお布団の上でやるなど、とても生活に根付いたものでした。私にとってはそこにピンとくるものがあり、これを深めようと今に至っています」 山田さんが今後の課題と感じているのも、高齢者の方々へのヨガの提案だ。特に高齢者は膝が痛かったり、股関節が硬くてマットに座れなかったり、ポーズがふらふらしてしまうなど、ヨガに親しみにくいところがある。そこで、今開発しているのが椅子を使ったヨガや、ゴルフボールやテニスボール、ビー玉など様々な大きさのボールで筋肉や関節をほぐして、とにかく気持ちよさを感じて貰えるヨガなど。 今後インストラクターに求められることに関しては、次のように話している。 「様々な年齢層のお客様とのコミュニケーションを図り、自分なりの発想でヨガを提供していける時代だと思います。日々勉強して、自分なりのヨガが開発できるようになれることを目指すと、将来活躍の場は大きく広がります。また、日本では中高年層のマーケットに広がりがありますので、その方々に興味を持っていただくうえでは、音楽の使い方や、話術についても、研究を深めていくことが必要です。ヨガインストラクターとしては、発祥地のインドに行ってみることや、日々様々なことにアンテナを張っておくことが、ヨガの良さをより多くの方に伝えられる景から、ストレッチ系や癒し系のヨガの方が主流になってきていると感じます」 ヨガブームにより、日本でもこれまでに72の流派が紹介されていると言われ、特定のヨガ流派に興味を持つ人は、ヨガ専門スタジオを選び、その流派を追求する流れが見られた。だが、ヨガが浸透し、幅広い層の人がヨガに興味を持つ昨今では、ヨガを始めようとする人が、敢えてフィットネスクラブを選ぶ動きも見られるという。 「フィットネスクラブのいいところは、他のプログラムやトレーニングとヨガを組み合わせられることや、様々な道具を使ったヨガができるなど、参加しやすく、自分に合うヨガを選びやすいことがあると思います。とくに道具に関しては、フレックスクッションやウェーブストレッチリング、フィットローラーを使ったヨガは、『ヨガをするには身体がかたい』と感じている方々にも親しみやすく、実際に各ポーズの効果が適切に得られることをサポートしてくれるので、効果も感じていただきやすく、継続にも繋がると思います」日本のヨガ第一世代が提唱した『生活ヨーガ』に回帰へ 現在活躍するヨガティーチャーたちの中には、日本のさまざまなヨガ創始者たちから教えを受けた人が多いという。佐保田鶴治氏、綿本昇氏、番場一雄氏など、日本のヨガ一次ブームを支えた指導者たちの元で当時ヨガを続けていた人の多くは高齢者だったという。山田さんがヨガに傾倒したきっかけも、その第一世代の一人である故・廣池秋子氏のヨガに出会ったことだった。山田さんはここに、今後のヨガ市場が広フィットネスクラブでのヨガに再びニーズ ヨガと出会ったのは35年前、ヨガの指導を始めて30年を迎えるという山田多佳子さん。フィットネスクラブを中心にレッスンを提供してきた。近年のヨガニーズの変化をこう捉える。 「当初のヨガブームは主にパワー系のプログラムがけん引していましたが、現在は、リラックス系のプログラムに人気があります。日本でヨガがブームになってから約10年が経過しますが、やはり日本人はアメリカ人と違い、激しい動きがあまり得意ではないし、社会の不安定な動きに心を癒したい若者や、高齢化社会に伴う健康志向からヨガに興味を持つ人も多い。そうした背山田多佳子さん東京女子体育大学卒業後、(株)後楽園スポーツ勤務を経て、1993年から保健所、高齢福祉施設、民間スポーツクラブでエクササイズインストラクターとして活動中。 アメリカスポーツ医学会(HFS)、廣池ヨーガ健康研究所(師範)をはじめ、多くのライセンスを保有し、公共・民間の運動施設でマタニティ、ベビー、産褥者から中高齢者まで、幅広い運動指導で活動。お話を訊いた方ヨガティーチャーに訊く、ヨガの今とこれからJune,2013 www.fitnessjob.jp15

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