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March,2013 www.fitnessjob.jp33 そのために、責任の所在は明確にしながらも、常に申し送りができるように各人が管理している。OKJ設立当初から、自然とこのような環境がつくられてきた。そして、「出産・育児・介護で仕事を休んでいる間の経験は、すべてレッスンに活かされる」というのが上田さんの考えである。仕事と思わずママと子どもの笑顔のために 子どもの低体力化や運動能力低下、また母親の育児環境など時代背景から、OKJのプログラムはニーズが高まっている。OKJのインストラクターのほとんどは個人事業主として活動しており、各地でレッスンをもっている。一方で、スポーツクラブなどの施設からはOKJと契約してプログラム提供およびインストラクターの派遣を依頼されるケースも増えている。 上田さんは「今後、OKJプログラムが〝これがあってこそ、子どもが育つプログラム〞という存在になってほしい」と考えている。そのためには、指導者の拡充も必要だ。OKJ指導者となってほしいインストラクター像については、人が好きな人、子どものころ運動が苦手だった人、運動が好きな人、話すことが好きな人、話すことが苦手な人という。「運動もコミュニケーションも、得意な方々は大歓迎ですが、苦手な人だからこそ参加者の気持ちがわかることもあります。ただ、子どもの命を預かる仕事ですから、養成コースは厳しい部分もあると思います。指導者の疑問や要望には適宜応えていきますので、まずはチャレンジしてほしいと思います」(上田さん) 実際に養成コースを受けて、現在は運営スタッフとなっている4人に、OKJで働くことの楽しさを訊いた。割をもつ。インストラクターからの要望に応じたオーダーズセミナーを開催している 統括マネージャーを務めるのは小池奈々子さん。スポーツクラブなどの受託を行う際にインストラクターの派遣などを行っている。また、OKJを広めるための広報的活動も行う。体育が苦手だった小池さんは、OKJのプログラムを通じて、子どもたちが身体を動かすことを楽しいと思える機会をつくっている。 高石明子さんは、上田さんを除く4人のなかで最も活動歴が長い。インストラクターの養成を行うほか、3月に行われる一般親子の参加型イベント「わくわく親子フェスティバル」(昨年は、約500名が参加)のコーディネートを行っている。 黄木久子さんはユース育成を担当。約25年間、高校、短大、専門学校で体育教師を務め、現在も高校の非常勤講師を務めている。2012年からOKJの活動にも視野を広げている。エアロビック選手の育成も行っている。 全員が、子どもをもつ〝母親〞の顔をもっているため、プログラムに参加する母親たちの気持ちに共感できることも多い。それぞれ、週に20本ほどのクラスを担当しながら運営業務をこなし、さらに家事・育児も行っている。仕事のペースをそれぞれが調整できる環境をつくっていることが、OKJらしい特徴である。 「女性が働くうえで、出産・育児・介護など、『今は仕事と同じくらいに大切なものがある』という時期があると思うのです。そういうときに、働き方のペースをコントロールできる環境にしています。忙しかったり慌ただしかったりするよりも、余裕をもって〝よい加減〞で仕事に取り組むことが大切だと思います」(上田さん)OKJエアロビックファミリー 和、腰痛、肩こりの予防などの効果も期待できますし、仲間とコミュニケーションをとって育児の疲れを発散できます。母親の心と身体をケアして充実させることで、子どもへの愛情も自然と溢れていきます。家族みんなをサポートするプログラムでありたいと思っています」(上田さん) 以前から、OKJが掲げていたコンセプト。それが〝芽育〞という言葉になったのだ。OKJスタッフそれぞれの役割 現在200人以上のインストラクターを抱えるOKJ。メインスタッフとして運営に携わっているのが、この日集まった5人とユース育成部で活躍する、小野里輝美さん、山口洋子さんの7人だ。〝芽育〞を行うためにそれぞれが適した役割を担っている。 事務局長を務めるのが、森理映さん。インストラクターの統括や全国各地で行われている養成コースをまとめる役 「OKJを知る前、自己流で親子の体操を指導していたことがありました。そんなときにOKJの養成コースを受けて、プロクラムの一つひとつにしっかりと裏付けがあり、安全性に基づいた楽しさを学ぶことができました。横のつながりが広く、ひとりじゃなく連携をとり合いながらレッスンができるのもいいですね」(小池さん) 「OKJには、マインドが同じ人、目指すことが同じ人が集まっています。私は育児をしていたころ本当にダメなママだったのですが、逆にそれが今に活きていると思います。OKJでは、マイナスがあっても、それらをすべてプラスに捉えるのです。今の仕事は天職ですね。仕事というよりも生きがいです」(森さん) 「それまで、高校生から高齢者までを指導していたのですが、やはり子ども時代の身体づくりが大切だと感じていました。OKJで子どもたちに指導して、改めてそれを感じました。クラスで指導しているのは私ですが、参加者から受け取っていることもたくさんあると思います」(黄木さん) 「参加者が前向きになる様子を見ていると、暖かい気持ちが伝わっていると感じ嬉しくなります。イベントではOKJマインドをもつ有志の人たちが助けてくれて、運営がうまくいくとやりがいを感じます」(高石さん) 上田さんも含め、皆に共通するのは「仕事だけど参加者のために仕事を忘れる。ママや子どもが笑顔になってくれるのが嬉しい」というOKJのマインドである。家族みんなの身体と心を元気にしたい 昨今、プログラム参加者から夫婦のコミュニケーションについて相談を受けることも増えているという。母親のためのクラスや父親のためのクラスも参加者はどんどん増えている。「プログラムを通じて、コミュニケーションの機会も増やし、家族みんなの身体と心を元気にしたい」というのが上田さんの願いだ。 「子どもたちが『生まれてきてよかった』と思い、親が『この子の親でよかった』と思うことが当たり前になるようなレッスンを提供していきたいですね。養成コースで教える確実な品質に、インストラクターそれぞれの個性が加わったレッスンを、地道に提供していきます」 上田さんがこう話すように、OKJのスタッフは、これからも〝芽育〞をキーワードに全国の親子の笑顔を咲かせていくことだろう。親子、ベビー、キッズ、ジュニアなど、全国約450クラスを展開。子どもの体力づくりはもちろん、パパとママの健康づくり、親子のコミュニケーションの場として多くの人が参加している。

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