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10January,2013 www.fitnessjob.jp2012年のキーワード高橋 震災から1年8个月が経過していますが、今も続けられている復興支援活動は何らかの仕組みができていると感じます。震災直後は、人々の関心も高く、活動に参加する方法も見つけやすい状況でしたが、時間が経ち関心が薄れるにつれて、活動の場も減っています。そこで感じるのは、復興支援の活動でも、運動指導者としての資質とは別に、継続して活動を続けられる仕組みを作る力が必要になるということです。そういう意味で、今年は、フィットネスを通じてどのように復興支援ができるのかを模索し、仕組みにできるかが問われた年だったと思います。 イベントも全国的に年々増えてきていますが、それを将来の活動にいかに繋げられるかが問われた年となりました。イベントのいいところは、経営の練習ができるところだと思います。開催までの様々な手続や集客、当日の運営に至るまで数々の意思決定に迫られます。さらに、できればイベントに参加した方に今後どんな提案をしていくのか、自分の事業にどう繋げていくのか考えておきたいものです。イベントが増えているだけに、将来への展開を考えている方と、それがないまま単にイベントを開催している方の差が出てきたのも、今年だと思います。 フェイスブックについては、使う方が急増しました。インストラクターはもちろん、お客様の利用も増えています。私が住んでいる東北地区ではまだあまり普及していませんが、関西や東京のお客さまからの友達申請も多く、地方のインストラクターが首都圏に情報を発信できるツールになってきていると感じます。また、フィットネス指導者が一般の方にダイレクトに情報が発信できるツールとしても有用性が高まっています。先日ボランティア団体の方と一緒にボクササイズのイベントを企画してフェイスブックのイベントページで募集したところ、今までスポーツクラブに行ったことのない方からの参加申込みがすぐに数十名あり、新たな顧客層にアプローチできた事例となりました。フェイスブックによってこれまで全くフィットネスに関わりを持たなかった方々へのアプローチも可能になってきています。田中 ロングブレスについて流行った理由を考えると「効果が出る」ということがあると思いました。これまで流行った健康法やダイエット法の多くは、メディアの影響によるもので、理論的裏付けが乏しいものも少なくありません。でも、ロングブレスは呼吸法であり、呼吸法はヨガやピラティスでも重視されているもの。簡単でありながら理論的背景がしっかりしているという点で新しかったと思います。 体幹トレーニングというワードは、流行語大賞にノミネートされるほど浸透しました。「体幹」という言葉がついた書籍も数多く発売されました。言葉が普及するとともに、長友選手など有名選手が行っている体幹トレーニングが紹介されるようになり、新聞、雑誌、テレビなど、さらにメディアでの露出が増えていきました。最初は「タイカン」という言葉を何となく知っていたという人が、体幹トレーニングについてより深く知るようになり、トレーナーの中でも改めて体幹について勉強し直した人も多かったのではないでしょうか。 ファンクショナルトレーニングについては、昨年その考え方が注目され始めましたが、今年は確実に「ファンクショナルトレーニング」という言葉自体を目にすることが増えました。これまでの脂肪燃焼や筋肉をつけるトレーニングとは違い、ファンクショナルトレーニングはヒトが本来持っておくべき身体機能を向上させることを目的とし、動きや姿勢の改善を行えるので、効果をその場で体感して頂きやすいです。このことは、トレーニングを始めよう、続けようと思っていただくにも効果的です。また、機能改善のためのトレーニングニーズは今後拡大することは確実です。インストラクターとトレーナーが学び合う時代へ高橋 お客様がトレーニングの効果を求めることはグループ指導をしていても感じます。同時に、 "効果を提供する"という点でインストラクターとトレーナーの間で実力の差が開いていることを感じます。例えば、グループエクササイズの指導力を高めようとDVDを見ても、主に学べるのは振付。どのように動くと運動効果を高められるかについての説明は数分に1回あるかないかです。それに対してトレーナーの方々は、効果的な方法を、いかに効果的に伝えられるかを追求していますよね。そこで差がどんどん開いていく危機感があります。今後、トレーナーによるインストラクター向けワークショップも増えるといいなと思います。田中 私も先日復興支援に関わらせていただきました。人生初めてのボランティアとなりましたが、言葉にならないほど、何にも変えがたい貴重な経験をさせていただきました。私自身は復興支援の活動を継続して続けることに正直難しさを感じていますが、ボランティアの体験を北海道に戻ってお客様に話したりするだけでも「忘れかけていたことを思い出させてくれてありがとう」といったお声をいただきました。人々の関心が薄れていくのは避けられないものとして、仕組みづくりに取り組むこと、それを忘れないように一人ひとりができることを続けることもまた重要なのだと感じました。震災後、多くの人々が共感した「絆」という言葉でさえ、あまり聞かれなくなっていますし、震災の後自分で歩けること、動けることの重要性を感じた人も、時間が経つにつれてそのありがたさが薄れつつあります。フィットネス指導者としては、継続的に復興支援にかかわれずとも、震災や支援活動で感じたこと、体験したことを広く人々に伝え続けることも重要だと感じます。高橋 復興支援の活動を継続しているのはグループのインストラクターが多いのですが、運動を楽しく伝えられることは、グループインストラクターの秀でた資質と言えます。今まではトレーナーとインストラクターは別の分野という認識を持つ人も多かったと思いますが、これからはお互いが持っている良さを共有していくことが大切ですね。田中 私たちトレーナーもインストラクターの方々に学ぶことが必要と感じています。今後トレーナーに必要なこととして、講師業とグループレッスンがあると感じていますが、ここで必要となるのが、複数の方に対して伝える力。トレーナーは1対1の環境で伝えることは得意ですが、グループ指導には苦手意識を持たれる方が多いと感じます。ですが、今後パーソナルトレーニングの価値を広く啓発するうえでも、グループでの指導力は欠かせません。そういう意味では、先ほど高橋さんがおっしゃっていたことの逆で、インストラクターがトレーナー向けに、グループでの指導法を教えるワークショップが増えるといいなと思います。今後は、グループとパーソナル指導の両方ができる人材が求められると思います。田中 私も今はグループ指導に専念していますが、基盤にあるのはジムでのフィットネストレーナーの仕事なんです。お客様の挨拶からはじまり、コミュニケーションをとってお客さまのニーズを知ると、様々な要望があることが分かります。その中で、お客様の要望に応えるうえで自分の強みがどこにあるのか、個別指導もグループ指導も経験した中で、グループ指導を選んだという経緯があります。エアロビクスをやっていても、戻るところはジムかなと。グループ指導でやっていきたいと考えている人にも、まずはジムでのトレーナーの仕事をがんばって貰いたいと感じます。田中宏明さんが選んだ2012年のキーワードロングブレス体幹トレーニングファンクショナルトレーニングNOBU高橋さんが選んだ2012年のキーワード復興支援イベントフェイスブック

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