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誰かを120%HAPPYにさせようとすることが高いモチベーションを引き出す 「結果と行動を生み出す1枚のチャート」。これが全脳思考のキャッチフレーズである。1枚のチャートを使い、感情面と理論面の両方で目標までのストーリーをイメージすることで、行動と結果に繋げられるモチベーションを維持できるというもの。ピラティス指導者であり、メンタルコーチとして活躍する葉坂多壱貴さんがフィットネス分野にこれを応用し、効果を出している。全脳思考は、カリスマ経営コンサルタントとして知られる神田昌典氏が、コンサルティングというロジカルな分野での経験と、様々な心理学や思考メソッドを統合した思考テクニック。葉坂さんはフィットネスカウンセリングでこのテクニックを使いはじめてから、クライアントへの提案のクオリティが高まり、成果と継続に繋がりやすくなったと話す。その要因は、このテクニックがクライアントの感情面に効果的にアプローチできる点にあると分析する。 「全脳思考は、もともと企業でのプロジェクトやマーケティング活動を確実な成果に繋げるための思考テクニックとして提案されているもので、私自身も最初にこれを知ったのは、インストラクターになる前職でのことでした。全脳思考では、目標として誰かを120%HAPPYにさせることをイメージして、そこまでのストーリーを順を追って発想していく手順をとりますが、その通りにやってみると、企画や提案の質が高まって、仕事での受注の数もお客様からの喜びの声も増えたのです。そこで、トレーナーになってからも、このテクニックを応用したところ、クライアントの目標がより的確に共有できるようになり、感情面と理論面の両方でアプローチすることで、クライアントのモチベーションや行動を確実に引き出すことができるようになりました」結果と行動を生み出す1枚のチャートのメカニズム 全脳思考は、図のような1枚の横長の正方形を6つに分けたチャートを用いて行う。チャートの上半分は感情面でプラス、下半分は感情面でマイナスとして、右が未来、左が現状として、5つのステップでチャートを完成させていく。 ここで特にポイントとなるのが、右上の未来をイメージする時、できるだけ自分以外の誰かが120%HAPPYになることを想定することだ。ほとんどのクライアントの目標は、「体重や体脂肪を落としたい」「腰痛を直したい」など、自分のためのこととして認識している。だが、人は自分のことよりも人のために何かを実現しようと思うとモチベーションが高まりやすく、継続もしやすいという特性を持つ。これは、人間性心理学の生みの親と言われるマズローが理論化した人間の欲求段階説に、晩年、付け加えたとされる6段階目の欲求エシカル・利他・コミュニティ発展欲求にも示されていることである。人間の成長欲求と人を喜ばせたいという欲求を全脳思考は同期させる。 「多くの方が、120%HAPPYにしたい相手に、子どもさんや家族を挙げます。まずその対象の人が120%HAPPYになった時、どんな状態になるかを五感でイメージしていただけるように問いかけます。その目標が実現された時、その人がどんな様子で、どんなことを話していて、それを見て自分はどのような気持ちを抱くか。そのうえで、現在の状態も同じように五感で確認したうえで、現在から未来に向けて、曲線を書き入れます。そして、線が曲がるところで、それぞれ『うんうん』『うわっ』『ふー』『うぉー』など気持ちが動く様子を曲線の下に言葉で書き、その言葉を引き出すための具体的なエクササイズや行動を線の上に書いていきます。こうすることで目標達成への途中段階も、感情面と理論面の両方で進捗が確認できて、共感しながら行動を継続できることになるのです」 全脳思考にはクイックモデルからフルバージョンまであり、上記はクイックモデルの応用であるが、クイックモデルだけでも、1日のセッションのプランから、3ヶ月や1年といった中長期プランまでに応用できる。パーソナルトレーナーにとっては、カウンセリングツールとしても、将来自身が実現したいことの実行プランづくりのためにも強力なツールになるはずだ。全能思考とは1 枚のチャートを完成させながら右脳と左脳を活性化させ、論理と感性を同時に満たすクオリティの高いアイディアを生み出す思考法。望む結果を得るまでのシナリオを自ら作り上げるため、ロジカル思考の限界を突破し、心理面に深くアプローチするため行動につながりやすく、結果を出すことができるのが特徴。経営コンサルタントの神田昌典氏が開発したもので、主にビジネスの世界で活用が広がっている。全脳思考とその活用法心理学CASE0110September,2012 www.fitnessjob.jp

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