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June,2012 www.fitnessjob.jp1717アスリートの強い身体の緊張を深部からほぐして動かすヨガ女優、レーシングドライバーなどを経て、現職。24歳で子宮がんを患い、健康づくりを運動と栄養面から支えようと、ヨガスタジオと自然食スイーツメーカーを経営。ヨガは仕事などでのケガやがんの克服のために追求しているうちにその素晴らしさに気づき、全米ヨガアライアンス資格を取得。その他、自身の身体のケアのために通っていた整体やマッサージの手技を組み合わせたオリジナルメソッドのヨガを開発。この6月養成コースもスタートする。力で動かすよりも緊張をほぐして動かす プロ野球選手を中心に、ラグビー選手やトライアスリートなど、数多くのアスリートに厚い支持を受けている岡本香了さんのヨガレッスンは、ハタヨガをベースに、マッサージと整体の手技を組み合わせたもの。ヨガのポーズで身体と心を解放した状態で、マッサージや整体の手技でさらに深部の筋肉にアプローチしていく。トレーニングを重ねたアスリートの強い筋肉は、硬くなりやすい側面を持つ。また常に高い緊張下で最高のパフォーマンスを求められるアスリートたちは脳や神経が張りつめており、その緊張は筋肉や組織をもこわばらせる。その状態からアスリートたちを解き放つことで、パフォーマンスを高めることを実現するのが、このアスリートヨガなのだ。 岡本さんがこのヨガに行きついたのは、自身の体験がもとになっているという。 「24歳の時に子宮がんを患ってから、本格的にヨガに取り組むようになりました。がん手術の後遺症でバックベンドなどいくつかのポーズをとることはできないものの、ヨガによって身体も心の調子を取り戻すことができました。その体験から、ヨガを通じて少しでも人の役に立ちたいと思ったんです」 がんの病棟で若い女性を数多く目にしたことから、当初は、自身のようにストレスを抱えながらうまくそれを発散できない女性のためにと小さなスタジオでヨガセッションを提供し始めた。そのうちに、岡本さんのヨガによって心と身体が深部から解放されていくことがクチコミで広がり、気づけばクライアントにアスリートが増えていた。また、当初はグループレッスンから始めたものの、一人ひとりの方に自分の身体を知って貰い、自分に合ったヨガのポーズを無理なく行うことで早く結果を手にして欲しいと、プライベートレッスンでのセッションが中心になっていったという。身体の深部まで自分を知る レッスンは、多くのヨガレッスンと同様、呼吸法から始まり、仰向けや座位のポーズで体幹部から動きを作っていく。腰部、肩甲骨、股関節については特に、その関節に関与する小さな骨や内層部にある筋肉も含め、一つ一つの動きを確認していく。ゆっくりとした大きな動きで、少しでも固く動きが悪くなっている部分を見つけては、そこで必要な方向にハンズオンでのストレッチやマッサージ、整体のメソッドでほぐしていく。ヨガのポーズを活用しながら、各関節を構成する一つ一つの筋肉の動きを確認し、深部までほぐしていく感覚だ。左右差や前後差などもきめこまやかに確認し、本人にもその差を確認する。そして、固くなっている部分を解した後に、再度同じポーズをくり返すことで、自分の身体が動きを取り戻していくことが実感できる内容となっている。 「パフォーマンスを高めたり維持するために、たいていのアスリートはやれることはやり尽くしています。そうしたアスリートが最後にこのヨガに辿り着くのは、このヨガは何かを改善するというよりも、まず自分に気づくこと、そして力で動きをつくるのではなく、緊張している部分を解放することで動CASE 01きをつくるアプローチをとるからだと思います。緊張続きの日常から、ヨガをすることで無になったり解放されることで、心も身体もいいバランスを取り戻せる。そのことが、高いパフォーマンスに繋がるのだと思います」 アスリートの場合、特にオフシーズンで徹底的に身体の動きを取り戻しつつ、自身の身体を知って貰うことを重視してセッションを提供しているという。 「自分が感じている痛みや動きの悪さは、まったく違う部分に原因があることも多いんです。たとえば、腰痛に長年悩まされていた選手の原因が、足首の硬さだったこともあります。トレーナーの存在意義は、その原因に気づける機会を作ること。自分で身体の状態に気づくことさえできれば、自分でケアしたり、気をつけるようになり、そのことが怪我やストレスをなくすことにも繋がります。自身で動ける身体を維持できるようになることが、大事な時に高いパフォーマンス発揮し続けるうえで最も大切なことなのです」YOGAStory岡本香了さんとヨガ

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