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2015.11.04 水

体幹トレーニングだけで競技力は向上しない – 今こそ真の目的を理解しよう-CNC mag

トレーニング

アスリートパフォーマンス情報サイト『CNC mag』の中からスポーツパフォーマンス向上に役立つ記事をご紹介します。

CNCmag

体幹と呼ばれる身体の部位の再認識から!

個人的な意見として「体幹」と言う認識をしっかり理解しないと競技力向上に全く結びつかないと思います。

例えば、体幹トレーニングとしてよく取り上げられるプランク(床に向かって、両肘・つま先を付けて、ドローインする)だけ行ったいても競技力は上がりません。体幹トレーニングをやってもパフォーマンスが上がらないと悩んでいるアスリートも多いのではないでしょうか。

先ず、体幹と呼ばれる身体の部位の認識ですが、横隔膜・腹横筋と内腹斜筋・多裂筋と胸腰筋膜・骨盤底筋群と言った「腹部周辺をBOXに囲う部位」が身体の中心にあり、そこから先の上肢を支配する肩甲帯〜下肢を支配する股関節周辺部まで全てを体幹と認識する事が大切です。下肢の具体的な部位はハムストリングスまでを含める認識です。

では体幹トレーニングの目的は何か?

次に体幹トレーニングの意味をしっかりと理解しないといけないと思います。そもそも体幹が強いとは腹部などの深層筋の強さを指しているだけではないはずです。

インナーマッスルを鍛えれば、競技力が向上するのか?

決してそうではありません。つまり、体幹の強さは力の強さを意味するものではないのです。(これは身体の中心部の筋力が強い事を否定する意味ではありません。)

本来、体幹トレーニングで強化するべきものとして、

1. 普段意識しない身体の深層筋を意識化することで、神経と筋肉をコネクトする神経筋の発達を促す

例えば、瞬時に体幹を固められる神経系の発達。ラグビーで見えない方向からや予期せぬタイミングでタックルをされた時に、瞬時に腹部がブレーシングされ、身体が固まることで、そのタックルに耐えることができますね。

アスリートでは非常に重要なトレーニングでもあるパワークリーンなどは、このタックルに対するディフェンス能力を向上するトレーニングだと言えます。もっと言えば、パワークリーンなどの爆発的パワートレーニングは、ただ瞬発力やジャンプ力を高めるだけでなく、その大きなパワーを引き出すために一気に腹圧を高める(ブレーシング)と言うような競技能力も向上させてくれるのです。

2. 身体の筋バランスや機能的動作の強化

腰椎を安定させて、肩関節や股関節を可動させるような複合的動作を組み合わせるトレーニングをすることで競技力向上を実現するはずです。

この点に関しては、前回のコラム「チームの勝敗を分ける個の運動連鎖 – スプリントスタートを強化しよう」を参照していただくとイメージできると思います。

3. 競技の特異的な動作を理解し、それに体幹部の動作を当てはめてトレーニングすることで、競技動作における四肢への動作伝達速度を上げる

ここで一つ動画を紹介します。テニスなどで見る回旋系のトレーニングです。

単に身体を回すというトレーニングでなく、アスレティック・ポジションから地面を足で押し込んで、その力を腕にスムーズに伝達させる体幹トレーニングです。こう言う意識化されたトレーニングが(競技)パフォーマンスで無意識に発揮されるのだと思います。

競技に有効な動作を自在に行える身体にしなければ意味がない

体幹トレーニングと言って、ただ単純にプランクだけを行ってもパフォーマンス(競技力)向上は期待できません。また体幹部だけ強化して、四肢の単体の筋力が弱くても意味がありません。

パワーある四肢が体幹とスムーズに連動することで競技力は向上すると言え、それは運動連鎖を意味しています。つまり、大切な事は体幹トレーニングをもっと広義に捉え、競技に有効な動作をどんどんインプットし、自分の身体を自由自在にコントロールできる能力こそ、アスリートが求める身体なわけです。

ぜひ、上記を参考に今行っている体幹トレーニングを再点検してみてください。

>>Write By ROKIYA WASEDA

rikiya-150x150専門はストレングス&コンディショニング。プロ格闘技の選手及びキッズアスリートの指導が中心。それと並行して、アメリカの最新スポーツビジネスにおけるサービスを幅広く手掛けるネットワークが強み。現在、ELEMENT ATHLETIX、STROOPSなどを国内へ導入しライセンス普及を推進。また、スポーツに欠かせない身体パフォーマンス向上をデータで実証するコーチング事業を展開する株式会社CORE N’ CODEを設立し、日米の企業から様々なオファーを受けている。STROOPS Master Trainer, NSCA-CSCS

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