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2020.06.26 金

ジムでのトレーニングに新型コロナウイルス感染拡大の恐れはないーノルウェーの研究チームが発表

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ノルウェーの研究チームによる実験の結果、たとえジムで激しいトレーニングを行ったとしても新型コロナウイルス感染拡大の恐れはないことが分かった。ミヒャエル・ブレットバウア教授率いるオスロ大学の研究チームは、ウイルス感染や新型コロナウイルス感染症の増加がジムに起因しているものかどうかの調査を行った。

◯研究概要

調査対象:新型コロナウイルス感染症に関連する併存疾患を持たない18歳から64歳までの一般市民

調査人数:3,764人

調査期間:2020年5月22日から3週間

全対象者3,764人のうち、約半数(1,896人)の人がジムを利用、残りの半数(1,868人)は利用しなかった。前者はそれぞれ下記5つのジムを利用した。

SATS Sjølyst、CC Vest、STOLT Stovner、Rommen、EVO Bryn

調査期間中、ノルウェーはまだロックダウンが解除されていなかったが、今回の調査のために特別にジムを開いた。利用できるアクティビティには、ジムフロアでのトレーニングやグループレッスンなど、普段提供しているすべてのサービスが含まれていた。

しかし、何の制限もなくジムを利用できるわけではなく、ジムに訪れる対象者はノルウェー公衆衛生研究所が作成したウイルス予防ガイドラインを守る必要があった。ガイドラインには、ソーシャディスタンス(床での運動は1メートル、高強度のクラスは2メートル)、手や施設の目に見える部分の衛生管理の強化などが含まれており、いずれも極端な制限でなかった。すべてのマシンやマット・スタジオなど、トレーニングスペースの周辺には消毒剤が用意されており、ユーザーが利用するたびに清掃できるようになっていた。
これは、実際に日本の多くのフィットネスクラブでもすでに徹底されていることだ。

また、ジムのスタッフが、対象者のジムへのアクセスの管理やユーザー間の適切な距離の測定を行うことで、密集を避けることができていた。

研究チームは、2週間後に鼻腔、口咽頭、喀痰の自己採取を行い、3週間後に電子カルテへのリンクによる臨床疾患の有無を各人に検査した。検査を行った3,016 人のうち、1人の陽性者がいた。陽性者は「ジムグループ」に属していたが、陽性検査前にジムを訪れておらず、経路を追跡した結果、実際に職場で感染していたことが判明した。3週間の調査期間中、どちらのグループでも新型コロナウイルス感染症による外来受診や入院はなく、また、調査期間中にジムで働き、かつデータ提供に同意した91人の従業員のうち、83人(91.2%)がSARS-CoV-2の検査を受け、いずれも陰性となった。

研究チームは、結論として次のように述べている。

「私たちの実験により、良好な衛生状態とソーシャルディスタンスを保てば、ジムでのウイルス感染や新型コロナウイルス感染症の増加は見られないと分かった。
緊急事態宣言により、パンデミックの間、ノルウェーではすべてのトレーニング施設が閉鎖された。それは、施設でのトレーニングがメンバー間でのウイルス感染のリスクを高め、その結果、メンバー、スタッフ、地域社会の間で新型コロナウイルス感染症が発生するという仮定があったからだ。しかし、基本的な手洗いやソーシャルディスタンス(1~2メートル)のウイルス感染防止策としての効果は十分に証明されている。これらの対策は実行も容易く、大きなリソースも必要としない。
パンデミックの際、各国は、単純な対策だけではウイルス感染を封じ込められないと考え、重要な社会活動の閉鎖を導入した。しかし、接触者の追跡や検疫、手洗いの徹底、個人的なソーシャルディスタンスの取り方などの封じ込め施策でウイルスの拡散を防ぐのに十分であれば、もはや閉鎖の必要はなく、結果的に被害が減少する可能性がある。
私たちの実験では、ジムの閉鎖が本当に必要かどうか、あるいは実際の施設でウイルス拡散を防ぐための十分な衛生とソーシャルディスタンスが可能かどうかを検証しようとした。衛生面とソーシャルディスタンスを保つための対策ができるのであれば、ジムやトレーニング施設を開いても安全であると仮定し、結果的に、ジムやトレーニング施設での新型コロナウイルス感染症の増加は見られなかった」。

他国と比べて感染者の少ない日本においても、緊急事態宣言によりジムの営業中止が余儀なくされた。また、緊急事態宣言が解除されたあとでも、トレーニングを行う際のマスク着用義務(たとえ高強度でさえも)などの過剰な対策を行い、逆に身体が危険にさらされてしまうという事例がある。
今回のノルウェーでの研究結果を念頭に、手洗いやうがい、適切なソーシャルディスタンスを保つなど、意識すれば誰もができることを徹底し、過剰な対策なしに新型コロナウイルスと向き合うことが、新しい生活様式においても重要になってくるのではないかと考えられる。

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