可愛い嘘を許しましょう
2016年11月21日
女性が不機嫌な顔をしている時に「どうしたの?」と聞くと「何でもない、大丈夫」。
そのとき男性がそれを放置しておくのは不正解。だって嘘ですから。
男性がお酒を飲んで酔って帰ってきたとき「そんなに呑んでいない。」は間に受けてはいけません。だってたくさん呑んだ罪悪感からの嘘ですから。
こんな風に、たわいのない嘘を私たちは日々ついています。
たわいのない嘘なら、まあまあ…と思うでしょう。では、自分にとってショックな嘘をつかれたら? 子どもが自分に嘘をついたら?
怒りますよね。
親の相談でも多いのが、“子どもの嘘”に悲しく不安になっている悩みです。
カウンセラーも嘘については敏感に反応します。その嘘が、悪い方向にいくこともあれば、よい方向にいく、本音がわかることのきっかけになることもあるからです。
そして、子どもにとっては成長のマイルストーン(しるし)みたいなものなのです。発達の過程では必要ともされています。褒められたいための嘘、逆に寂しい子どもは叱られたいための嘘をつくこともあります。
でも、親は嘘をつかれるとものすごく怒り、ショックを受けるようです。
では、嘘をついた子どもの気持ちを考えてみましょう。「ああ、すごく怒られる」と思っているかもしれないですし、「親に嫌われてしまうのではないか」と不安に思う子もいると思います。
先ほどいったように、誰にでもある“嘘”は成長の証。不安だけを与えては成長の材料になりません。
“嘘をつくこと”は悪だといいがちですが、「嘘をつかない方がいい選択だ」と思ってもらえるように伝えるべきなのです。
“嘘をついたこと”を懇々と叱ることは、「次はバレないように嘘をつきなさい」といっているようです。
“嘘をつくこと”を叱るよりも「嘘はつかなくていい」と伝えるのです。
小さい子どもなら、なぜ嘘をついたのか聞いてみましょう。
少し大きい子どもなら、嘘をつくメリットは何か考えさせましょう。
旦那さまなら、嘘をつかない方が(怒るけれど)ケンカは長引かないことを伝えましょう。
私は10年以上カウンセラーをしていますので、嘘をつく子どもが悪い子にならないことを知っています。ただ気をつけなくてはならない嘘は“巧妙な嘘”です。私は嘘はみんながつくものだと思っていますが、この“巧妙につく嘘”だけは頭にきます。頭がいい子は、先手して嘘のいき先を考えておきます。そうなると、自分の嘘と自分の本当のボーダーがいつしかわからなくなり、自分自身に不安が襲ってきます。これは、修正してあげなくてはいけません。
最初の嘘がバレないようにつく2番目以降の嘘は、リスクが高くなるのです。
でも嘘をつかない癖がついてくると、自分は信用されるに値する人間なんだという自信がついてきます。そして、大切な人から信頼されているという実感は、人生の大きな武器になります。
最後に、お母さんたち、よく考えてみて。自分のこと棚に上げていませんか。
人間はそんなものなのです。嘘をつくつもりじゃなかったけれど、子どもにとっての“親の嘘”だっていっぱいお腹の中にあるはずです。でも、親を恨んだりヒステリックに怒ったりしないはずです。
嘘からの成長を私たち親が見守ってあげたいですね。
許していきましょうよ、可愛い嘘。
☆土屋 未来