FITNESS BUSINESS

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【NEXT 9月特集】フィットネス・スポーツ業界で活躍する 栄養士の食事指導法 for Fitnsss

2016.08.25 木 スキルアップ

食コンディショニング法
“時間軸の食事で体調を整える”

管理栄養士で、産業栄養指導者としての経験を豊富に持つかたわら、健康運動指導士、ヘルスケアトレーナーの資格をもつ現役ランナーとして、一般生活者からトップランナーまで広く食事指導をしてきている小島美和子さん。数多くの指導経験を経てたどりついたのが、時間医学に基づいた「時間栄養学」とその食事法である。一般的な食事指導では“何を食べるか”に焦点があたりがちだが、時間栄養学では、身体の代謝機能に合わせて“いつ食べるか”にまず焦点を当て体調を上げていく。その効果について小島さんはこう説明する。

「フィットネスもトレーニングも、成果に繋げるためには続けることが重要です。でも運動を始めてみたものの、疲れがとれない、体調がよくない、という理由で継続できないことも多いのが現状です。また、体調が悪いまま運動や食事内容の調整をしても、身体の代謝機能が低下しているので思うように成果が得られない。フィットネスもダイエットも成果につなげるためには、まず体調を整えることが大切なのです」

そこで小島さんは、時間医学の分野で解明されてきている、1日の人間の生体反応に合わせた食事のリズムと内容を整理した。具体的には、1日の体内時計リセットポイントや、血圧や体温の日内変動、消化吸収力が高まる時間帯、肥満や睡眠障害に関する知見をもとに、朝ごはん、昼ごはん、夜ごはんのポイントをまとめた。

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これを実践することで、実際には同じ食事量を摂取しても、代謝がよくなることから体重も適正に近づけられる。2016年7月にランニング専門誌の企画で読者ランナー6人にこの食コンディショニングをしてもらったところ、1週間で全員内臓脂肪量が減るという結果が出た。期間中ランニングをした回数は0~1回で、運動でカロリー消費をしなくても代謝が高められることが実証されている。小島さんは、食事制限より時間を意識することで食べることに前向きになれることも、フィットネスやダイエットを継続するモチベーションに繋がると話す。

「一般的に食事をするときは『お腹がすいたから』と消費した分を補おうと考えますが、食コンディショニングでは、『次の食事まで、何をどのくらい食べれば代謝のいい状態が保たれるか』と考えます。活動とセットで前向きに食事を考えることで、フィットネスやダイエットの効果を自分で高められる方法を見つけることができ、自分でモチベーションを維持することができるようになるのです」

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有限会社クオリティライフサービス 代表取締役小島美和子さん 管理栄養士/健康運動指導士/ヘルスケアトレーナー/食コンディショニングプロデューサー。
企業・健保の保健指導企画のほか、地域の健康づくり企画や、食品関連企業・健康増進施設、その他健康サービス事業者への、各種プログラム・コンテンツ開発などを展開。TV、ラジオ、雑誌での出演・企画、各種研修・セミナー講師等多数。食コンディショニングアドバイザー養成講座主催。※食コンディショニング® は(有)クオリティライフサービスの登録商標です

カロリー大前提の食事指導法
“カロリーバランスと食べるものの優先順位と体内水分量に着目”

片岡さんの食事指導では、ただ制限をすることで一時的に体重を落とすことを目標にするのではなく、正しい食の知識を身につけてもらい、適切な食習慣に導いていくサポートを大切にしている。

「多くのメディアや広告の、『この時間に食べれば、これさえ食べれば痩せられる』という情報に影響されて、小手先のテクニックばかりに目が向いている人が多いです。それ以前に食べ過ぎたり、または動かなかったりすれば太りますが、減量したいという方の多くは、自分が食べ過ぎてしまっていることに気づいていない。まずは前提として摂取と消費のカロリーバランスが大切であることをお伝えし、今の食生活と向き合っていただくところから始めます」

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とはいえ、ただ食べる量を減らせば良いわけではない。身体にはどんな栄養素が必要であり、自分はどれくらいの量を食べる必要があるのか。そういったことを知り、毎日の食事を選択していくことが大切だ。正しい食習慣をつけて頂けるよう、片岡さんは毎回レッスンの際に正しい食習慣をつけるための情報を伝えている。

最優先でお伝えするのは、たんぱく質と野菜の必要量。糖質の量は、その人の目指す体重によって調整する。多く場合、そのバランスは逆になっており、たんぱく質や野菜が少なく、朝パンとコーヒー、お昼はおそば、夜はコンビニ弁当など、糖質のみの食事となっている人が多い。

また、日々の体重の変動は脂肪ではなく、体内の水分量の増減であることも伝えている。1~2㎏の体重は簡単に変動するメカニズムを伝え、日々の水分量の体重変動に一喜一憂することなく、実質的な体重減を実現できることをサポートしていく。片岡さん自身、共働きの家庭で育ち、正しい食習慣が身につかず、小さいときに太り気味だったことが、栄養や食事に興味を抱いたきっかけだったと話す。現在はダイエットなどに明確な目的を持っている人へのサポートが中心だが、もっと多くの人に正しい情報を伝える為、将来的には自分の身体の状態への意識が低い人にも運動や栄養の大切さを伝えていきたいと話す。

imok株式会社 きゃっとばっく表参道店マネジャー 片岡秀人さん
病院栄養士を経て、パーソナルトレーナーに。2013年より猫背改善専門スタジオ「きゃっとばっく」に参画。管理栄養士兼 パーソナルトレーナーとして、クライアントの姿勢や食生活のサポートを行う。 管理栄養士、健康運動指導士、モチベーションアカデミー・マスターフィットネスモチベーター、PHIピラティスマット1&Ⅱインストラクター

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【記事出典】
月刊NEXT 2016/September No.114 

【企画・構成】
株式会社クラブビジネスジャパン
オンライン事業部フィットネスビジネス編集部:庄子  悟

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