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ココン株式会社 倉富佑也氏に訊く Venture Spirits

2016.09.25 日 オリジナル連載


倉富:海外で注目されている会社の成長スピードと比べると、まだまだスピードは遅く、後悔していることばかりです。ただ、着実に成長できている理由のひとつは、0か100かの事業ではなく、これまでは主にBtoBの軸で積み上げ型の事業を展開してきたからだと思います。私は、21世紀は、インターネットの成熟と資本主義の加速トレンドの一つであると捉え、時代の波に思いを馳せて展開しています。インターネットセグメントの企業の買収も行っています。魅力的な社長との出会いがあり、昨年3社、今年1社M&Aを行ったことで、企業の成長スピードを加速させることができたと思っています。

溝口:インターネットに可能性を感じている人はたくさんいますし、そのなかで実際にチャレンジして失敗している人もたくさんいます。倉富さんは、失敗した人と比べてどこがよかったと考えますか。

倉富:幸いに早い段階で経験を積むことができたからだと思います。大学入学直後に、大学を休学して、言語や商習慣を学ぶために上海に移住しました。そして、18歳のときに飲食店を始めました。当時は中国語が話せず、飲食店で働いた経験もありませんでしたが、とてもありがたいことに、融資してくださる方や、商品開発を応援してくれる方との出会いがありました。このときは結果的に1,500万円ほどの損失を出してしまったのですが、早い段階で失敗ができたことは貴重な経験になりました。

溝口:機会の偶然が重なったことが大きな要因なのですね。運がよかったと成功した人は皆言います。私もそう思っていますが「運も実力のうち」とよく言われます。運というのは、人との出会いがすごく大きいと思います。運を掴める人は、応援してもらえる素養があり、応援してもらえる事業を計画していて、経営者としても魅力的であることが重要だと思います。倉富さんはそれが強いのでしょう。若くて挑戦心があり、素直で人の進言に耳を傾ける。でも自分の軸がぶれないのだと思います。応援してもらえる要素として「若い」ということも大事ですが、それが通用するのは20代までです。30歳を過ぎてからは、ビジョンや共感性のあるテーマをもつことが必要で、その確固たるものをそれまでに見つけることが大事です。日本の起業社数のうち上場する会社は1万分の1程度です。24歳でそれを達成しようとしているのはすごいことだと思います。将来はどう在りたいと思っていますか。

倉富:インターネットが世の中の仕組みの在り方を急激に変えました。コンピューターも急激に成長して、シンギュラリティ(人口知能が人間の能力を超えること)も近々訪れるかもしれないといわれています。また、新興国が勃興していて、国際社会におけるパワーバランスが変わってきています。そのような、変化の大きい時代において、文化文明を前進させることに当事者として関われるようなことをしていきたいと思っています。また、事業家として、解決困難な課題に取り組んでいきたいです。

溝口:社会、世の中の良好な発展に寄与したいということですね。そのような感情が強い人はそれほど多くないと思いますが、そのように考えるのはなぜですか。

倉富:せっかく世の中に生を受けて、事業家として生きることを決めたのだから、世の中のためになることをしたいと考えるようになりました。

溝口:そのような気持ちになったきっかけは何かありますか。中学生のころから事業家になりたいということですが、そのように考える背景にある、子どものころの体験や環境などがあれば教えてください。

倉富:何か大きなターニングポイントがあった訳ではないのですが、いつの頃からか、事業家になりたいと考えるようになっていました。学生のときに、’15年7月に亡くなられた堀場製作所の堀場雅夫会長のお話を拝聴する機会があり、堀場会長の経営者としての生き方やお考えに感銘を受けたことは影響しています。

溝口:これからチャレンジを考えている人にメッセージをお願いします。

倉富:中国のアリババ・グループの社長ジャック・マー氏が、「事業家にとってもっとも大事なことは経験である」と言っていました。失敗したり成功したり、そういった曲がりくねった道を辿ってきた経験が大事だと。自分自身の経験からも、その通りだと思います。たとえ失敗しても、経験を積むことがプラスになりますから、どんどん挑戦していくことが大事だと思います。

溝口:その通りですね。私も迷ったらやることにしています。成功か失敗かは後からついてくる結果ですから、まずは挑戦して経験を積むことが大事ですね。

ありがとうございました。

インタビュー:溝口勇児
’84 年生まれ。’03 年、フィットネスクラブ運営企業に入社。同社では新店のオープン、新規事業の立ち上げに参画、並びに約2年間で営業利益1億円の増収を達成。’12年 4月、株式会社FiNCを創業し、代表取締役に就任。

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