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ライフスタイルアクセント株式会社 山田敏夫氏に訊く Venture Spirits

2016.03.31 木 オリジナル連載

溝口:すばらしいですね。当社も最初からナイキジャパンなどで代表を務めていた秋元(征紘)さんが応援してくれていました。自分に信用がないことはわかっていたので、補っていくことが必要だと考えていました。そのための仲間や支援者を集めてこられるかどうかが、起業家には大事なのだと思います。「虎の威を借る狐」といいますが、最初は狐でしかないのですから虎の威を借りていいと思うのです。そして、いつか自分が虎になればいいと考えていました。

一流の人には本気なのかどうか見透かされてしまいますから、パッションやビジョンは大事です。一方で、若い人たちから「明確なビジョンがない」「パッションをもてるものが見つからない」などと相談されます。山田さんはどうしてそこまでの情熱をもてたのですか。

山田:最初の1歩を踏み出した後は使命感です。ひとつは、これだけ著名な人たちに宣言したのだからやるしかないという思いです。もうひとつは、誰が商品をつくっているか、工場の人たちの顔が浮かぶのです。そうすると簡単には辞められません。

私は、ビジョンが見つからないならそれでもいいと思います。そのような人は沸点が高い人と一緒に働くとよいのではないでしょうか。普通の人の沸点が30℃だとしたら、何かをやりたいと思っている人、チャレンジしたいと思っている人は50 〜60℃ぐらいあるでしょう。100℃、200℃を超えている人と一緒にいれば、上がっていきます。沸点が上がれば、ビジョンが見えてくると思います。

溝口:それは面白い考えですね。山田さんも私も、ひとつの仕事を一生懸命やっていたら、課題が見えてきたということだと思います。一生懸命になればなるほど、その課題をなんとかしたいという気持ちがわいてきます。それがどんどん高次になってきたのが今だと思います。私の場合、世界的に日本は少子高齢化で医療費が上がっているという課題があります。そのなかでモバイルヘルスというのは課題解決に直結する事業です。その分野で当社以上にヒト・モノ・カネが集まっている会社はありません。私たちがやらなかったら誰がやるのだと今は思っています。起業したころはそこまでは思っていませんでした。「ビジョンがない」「やりたいことがない」と言っている人は、動かずに立ち止まっていると思います。

山田:そうですね、自分が動いて経験を得ることが大事です。会いたい人には会えるし、本気でやりたいことはできるのです。面白い仕事をするか、仕事を面白くするしかありません。最初から面白い仕事に就けた人はそれでいいと思いますが、そうでない人が仕事を面白くできるかどうかは本人の考え方次第だと思います。

溝口:事業を営んでいるなかで、転換点はありましたか。

山田:組織づくりにおいて、外部からの経営幹部を採用するかを検討したことです。将来大きな組織になることを見据えたときに、自分がマネジメントをするだけでなく、マネジメントする人を育てなくてはいけません。今いる創業メンバーを成長させると同時に、目指す世界が大きい分、会社全体の成長のために外部から採用することも考える必要はあると思います。

溝口:当社は社員が100人、アルバイトが50人いますが、半分以上はFiNC がある程度有名になってから入社していて、実績も能力も経験も高い人材です。一方、何もなかったころからがんばってくれている社員は、すごく情熱があります。でも、最近入社した人のほうが重責を負っている場合が多い。それをまとめていくのが経営幹部の役割だと思います。組織のステージはどんどん変わり、課題も変わります。大きくしていくためにはそこを超えないといけません。山田さんは今の段階で先まで見据えているので対処しやすいと思います。

最後に、若い世代へメッセージをいただけますか。

山田:仕事はがんばった分だけ感動があると思います。自分の可能性にふたをせずに、大きなものを目指してほしいです。それが見つからなくても、沸点が高い人と一緒に働けば上がっていきます。焦らなくてもいいと思いますが、立ち止まらずに行動することが大事だと思います。自分がやりたいと本気で思ったことはできる時代ですから、やらないのはもったいないです。

溝口:せっかくチャレンジできる土壌があるのだから、もっとチャレンジしてほしいですね。

山田:そう思います。特に健康産業は可能性がありますよね。これを読んでいる人たちは、すごく有望な業界にいます。アパレル業界は、大手は経営が悪化していますが、業界の市場規模は10兆円で変わっていません。企業によって、ヒト・モノ・カネが効率よくまわっていく適正規模というものがあると思っています。当社は1,000億ぐらいが目指せるところだと思っているので、そこに向かって市場を伸ばしていきます。

溝口:ありがとうございました。

インタビュー:溝口勇児
’84 年生まれ。’03 年、フィッ トネスクラブ運営企業に入社。同社では新店のオープン、新規事業の立ち上げに参画、並びに約2年間で営業利益1億円の増収を達成。’12 年 4 月、株式会社 FiNC を創業し、代表取締役に就任。

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