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【HitItem】 AI を活用したダイエットアプリを内製  FiNC Fit

2018.07.23 月 オリジナル連載 スポーツクラブ情報 テクノロジー ヘルスケア/ウェルネス

多くの女優やモデル、アスリートなどが利用する月額制パーソナルジムを運営する株式会社FiNC Fit(以下、FiNCFit)。「最新の遺伝子検査」「姿勢分析」「人工知能搭載アプリ」などを通じて一人ひとりに最適なプログラムを提供しており、現在では人工知能を搭載したパーソナルトレーナーAIアプリを活用し、事業を展開している。ITテクノロジーの活用を知るうえで決して見逃すことができない。

お話を訊いた方

株式会社FiNC Fit 取締役COO 廣澤 忍氏

FiNC-ひろさわさん

目標達成のためにジム外の167 時間を変える

「遺伝子検査や姿勢分析など、科学的なアプローチを活用することによって、お客さまの体質・傾向を分析する」「米国発のトレーニングツールViPRを使った9,000以上の種目から、各自にあったマンツーマントレーニングを提案」「国家資格をもつトレーナーや管理栄養士、エステティシャンなど、ヘルスケアや美容のプロフェッショナルが、お客さま一人ひとりの目標達成をサポートする」など、他社にはない画期的な取り組みを続々と打ち出してきたFiNC Fit。

その先駆的なチャレンジは、日本のフィットネス産業の歴史を根本から塗り替えてきたといっても過言ではない。

FiNC Fitの活躍を支える大きな柱として、現在大きな注目を集めているのが、グループ会社の株式会社FiNCが開発しているヘルスケアアプリ「FiNC」である。

FiNC FitとFiNC が監修した動画コンテンツから、一人ひとりのニーズや好みに応じて、専用のプログラムを提案。これにより、ジムに通っていないときでも、効率よくダイエットを行うことができるのだ。

「設立当初から当社ではITテクノロジーの活用を推進してきましたが、一段階上のステージを目指し、ヘルスケアアプリ『FiNC』の開発に乗り出したのは、リアルでできることはすべてやり尽くしたという実感から。ヘルステックベンチャーとして、ますますお客さまの満足度を高め、成果をあげるお手伝いをするために何ができるか考えたとき、行き着いたのがアプリの活用だったのです」と廣澤氏。

例えば、週1回ジムでトレーニングをするお客さまの場合、その1時間をいかに密度の濃いものにしたとしても、ジム以外で過ごす時間は167時間もあるのだ。

「目標を達成するには、いかにして、これを有効に活用してもらうかが肝心」と考え、自宅でもオフィスでもいつでもアクセスできるアプリの開発を目指した。開発したアプリは、従来のヘルスケアやダイエットアプリとは大きく異なり、AIによるパーソナルトレーナーを搭載したもの。

アクセスしたすべての人に一定のプログラムを提供するマス向けのサービスではなく、個々に最適化されているという点に特徴がある。

「ジムにいらしたときだけでなく、それ以外の日常に、どのようにフィットネスを存在させるか。この167時間をもっと充実したものに変えることによって、お客さまとの信頼関係を醸成させ、また、お客さま自身の行動変容を促すことができるのだと考えています」

いずれは最新技術を活用したプログラム提供も視野に

機能充実とコンテンツの充足に力を注いだ準備期間を経て、正式にアプリがローンチしたのが2017年3月。ジムでのトレーニング中に、スタッフはPCにメニューや成果を書き込み、必要に応じてお客さまのフォームや課題などを図で示す。

トレーニングが終わると、スタッフは今日のトレーニングのおさらいや、自宅で行っていただきたいプログラム、メッセージ、チケットの残り回数などをメッセージとして飛ばす。

自宅での“宿題”は、アプリ上に2.9万点以上(’18年6月時点)も用意されているコンテンツへリンクして行っていただく。約30秒とコンパクトにまとめられたエクササイズ動画はわかりやすくトレーニングに対するモチベーションを向上させる。

「コンテンツの開発は、FiNCのクリエイティブ部門が担当。モデルのアサインから撮影、動画編集まですべて内製しています。エクササイズだけでなく、レシピ、マッサージなどあらゆる角度からお客さまをサポートします。今後もコンテンツ数はどんどん拡大していく予定です」

同社の特徴はここにある。つまり、施設の「内」だけでなく「外」も、さらに、「エクササイズ」だけでなく、「食」も「美」も、すべてのジャンルを超えて全方位的にお客さまの満足度を高めるための方策を隙間なく張り巡らせているのだ。その貪欲なまでの姿勢は、「お客さま以上に、お客さまの成果に対して真剣でありたい」という廣澤氏の言葉にも表れている。

「将来的にはVRといった最新技術なども検討しながら、さらにお客さまの満足度を高めるサービスを追求したい」と、今後の展開にも積極的だ。